インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

AI監獄ウイグル

もう20年以上前のことですが、中国の新疆ウイグル自治区を旅行したことがあります。陝西省の西安から長距離列車で甘粛省の敦煌、そのあとウルムチに入り、さらにバスでカシュガルまで向かいました(当時まだウルムチ・カシュガル間に鉄道は開通していません…

ウィル・スミス氏の平手打ちに見る「有害な男らしさ」

先日のアカデミー賞授賞式で、俳優のウィル・スミス氏がプレゼンターのクリス・ロック氏を平手打ちにするという出来事がありました。私はスマートフォンのネットニュースで事の次第を知りましたが、そのニュースについている多くのコメントがウィル・スミス…

いらすとや

今朝の新聞にフリーイラストの素材集サイトとしてあまりにも有名な「いらすとや」さんのお話が載っていました。いまやありとあらゆる分野で同サイトのイラストが見かけられるようになった理由を「驚きの網羅性」とし、「人々の暮らしに寄り添う『汎用性が高…

天丼

ジムのトレーニングに行った帰り、天気もいいので地下鉄の駅をやり過ごして歩いていたら、路地裏に小さな天ぷら屋さんを見つけました。場所柄、そこそこお値段は張ったのですが、ちょうどベンチプレスの数字がひと月ぶりに上がったところだったので、なんと…

フィンランド語 160 …日文芬訳の練習・その73

先日、とあるラーメン屋さんに十数年ぶりで行きました。ところが味が変わっていて、私にはとても重く感じられました。がっかりしてお店を出たところで、ふと悟りました。お店の味が変わったのではなく、自分の嗜好が変わったのだと。もうこうしたラーメンを…

台湾の高校生が歌う『旅立ちの日に』

昨日仕事からの帰りに、いつも使っている乗換駅の改札を出たら、袴姿やスーツ姿の学生さんと思しき若い方々が大勢いました。近くに規模の大きい大学があって、そこの卒業式だったようです。私が勤めている学校でも先日卒業式が行われました。昨年と一昨年は…

気の長い注文

今年の二月頃でしたか、ネット上でとあるフィンランド語の読解の教科書を見つけました。内容的にはそれほど難しくなさそうで、いまの私のレベルにちょうど合っているのではないかと思い、注文しました。その教科書の在庫があったのはスペインはマドリードに…

赤い闇 スターリンの冷たい大地で

先日、夕飯を作りながら「報道1930」というニュース番組を見ていたら、今次のロシアによるウクライナ侵攻に関連して『赤い闇』という映画が紹介されていました。ホロドモールと呼ばれる、1932年から33年にかけてウクライナを中心に発生した大飢饉を扱った作…

現代経済学の直観的方法

先日、某所で、中国語と日本語の単語に関する授業を担当しました。その中で日本語に多く見られる一連の外来語(カタカナ語)を取り上げました。特に中国語母語話者のみなさんにとって、この節操がないと言ってもいいほど頻出するカタカナ語は「鬼門」のひと…

教えようとしても教えられない

ずっと以前に古本屋さんで購入した、十四世喜多六平太氏の聞き書きをまとめた『六平太芸談』を読んでいたら、こんなひと言がありました。 教えようたって教えられない、習おうたって習えないところに値打ちがあるのさ。学者ぶりは芸には禁物だよ。 斯界の泰…

ヘッドフォンの選択で途方に暮れる

昨年の6月に再購入したAftershokz(アフターショックス)の骨伝導ヘッドフォンが、また壊れました。前回同様、右側の音を振動で伝える部分の中でカラカラと小さな音がし始め、そのうちにビリビリ音にまで亢進し……使用開始からほぼ1年でそうなるところまで…

フィンランド語 159 …話し言葉の数字

フィンランド語のオンライン授業で、口語(話し言葉)で使われる数字について学びました。1から9までの数字について、右側のように短縮された話し方になることが多いそうです。 1 yksi yks 2 kaksi kaks 3 kolme kol 4 neljä nel 5 viisi viis 6 kuusi kuu…

フィンランド語 158 …日文芬訳の練習・その72

昨年はロシア帝国成立300周年で、今年はソビエト連邦成立100周年だそうです。ロシアによるウクライナ侵攻は、こうした節目に乗じたものではないかという論考を読みました。にわかには信じられませんが、ナショナリズムというものはそういう理由と親和性が高…

NHKのロシア語番組が終了というニュースに接して

『デイリー新潮』に、「NHK『ロシア語番組』終了の波紋」という記事が載っていました。Eテレのロシア語講座「ロシアゴスキー」が今月で終了するのはウクライナ侵攻の影響かとの憶測を打ち消す一方で、日本におけるロシア語教育の危機を訴える研究者の声を紹…

中国語の敬語とヒエラルキー

最近ジムでトレーニングしている時によく聞いている『ゆる言語学ラジオ』、先日は「母語の違いで人の認識はどれくらい違うのか」というお話をされていて、ついつい聞き入ってしまいました。トレーニングに身が入らなくて困ります。youtu.be個人的かつ卑近な…

料理の四面体

初めて料理というものをしたのはいつの頃だったでしょうか。私の場合は、確か小学校の3年生だか4年生だかの時に、お湯に片栗粉を溶くと粘性のある液体ができるということを知って試したのが最初だったように思います。料理と呼べるかどうかははなはだ疑問…

ファファモ

同僚から「三回目のワクチン接種はいつ?」と聞かれました。私は今月末の予定ですが、つづいて「ファファファ? それともファファモ?」と聞かれました。何のことやらと思いましたが、なるほど、ファイザー製かモデルナ製かということですね。私は一回目と二…

弔旗を見かけました

先週の金曜日、つまり3月11日はいつものようにお弁当を作らなかったので、お昼休みに職場の外へ買いに出かけました。お弁当を買った帰りにとあるオフィスビルの前を通りかかると、弔旗が掲げられていました。一瞬「えっ、誰か有名な人が亡くなったっけ? そ…

まるまる二年間の留学生活をコロナ禍の中で

先日、勤務先の学校では卒業式が行われました。私が担当している学科は二年制の専門課程で、全員が外国人留学生です。この学生さんたちは二年前の春に入学してきた人たち。つまり、この二年間をまるまるコロナ禍の中で過ごしながら勉強してきたわけです。留…

フィンランド語 157 …日文芬訳の練習・その71

数の起源に関する本を読んでいたら、多くの言語で5と10という単語には「指」との類似性が見られるという話が載っていました。例えば英語の“five”は“finger”と同根なのだそうです。私はフィンランド語の1と2がそれぞれ9と8に似ているのがずっと不思議で…

ラーメンが重いのです

きのう妻は知人との会合で食べてくるから夕飯はいらないと言っていて、私も所要で帰宅が遅くなることが確定していたので、夜は何も作らず外食で簡単に済ませることにしました。そこで、ちょうど帰宅途中の乗換駅近くに、かつて大好きでよく行っていたラーメ…

スライド資料を「引き算」する

今週末、都内某所でセミナーのようなものの講師を仰せつかっておりまして、昨日はせっせと当日使用するPowerPointのスライド資料を作っていました。……が、私はいつも、このスライド資料を作りすぎてしまいます。これは定期的に行われているセミナーで、毎回…

「ロシア帝国300周年」と「中国夢」

かつてエストニアのタリンを訪れたとき、郊外にある墓地を見に行きました。そこに「タリン解放者の記念碑」という、旧ソ連時代に作られた銅像があるからです。私はこの銅像のことを、とあるサイバーセキュリティに関する講演会の映像で知りました。もともと…

ウクライナ侵攻から見る内なる差別

先日、とある報道番組にロシアの軍事に詳しい専門家がゲストとして出演されていました。そのときに考えさせられたのは「今回のウクライナ侵攻で、内なる自分の差別を意識させられた」というその方の発言でした。録画していないので正確ではないですが、おお…

料理をしない・できないということ

著者とのご縁、というようなものがあるようでして、世上の評判高く、複数の知人友人からも「とてもいいですよ」と勧められて読んでみるものの、どうしても肌の合わない本やその著者という存在はあります。批評家で随筆家のR氏も私にとってはそんなお一人で…

FIRE

今朝の新聞に「FIRE」を目指す人々のお話が載っていました。FIREとはご案内の通り、“Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期退職)”のことです。給与収入に頼らずとも資産の運用益などで暮らしていける状態を達成すべく、とくに若い世代の…

フィンランド語 156 …日文芬訳の練習・その70

ロシアがウクライナに侵攻しました。各国がロシアへの制裁を検討していますが、当初アメリカとEUとでは温度差があると伝えられていました。ロシア産天然ガスへの依存度が大きく異なるからです。EUはカーボンニュートラルの目標を2050年としていますが、今回…

数の語源がおもしろい

ジムのトレッドミルで走りながら『ゆる言語学ラジオ』を聞いていたら、人間は本能的に数字の1、2、3までは把握できるが、4以上は文化的な習得が必要で、言語によってはそれ以上の概念がないものもあるという話をしていました。よくいわれる「いち、に、…

もうあきらめるしかないのかも

留学の目的ってなんでしょう? それはもちろん人それぞれでしょうけど、目的のうちでも大きなひとつは語学の習得だと思います。自国で母語話者に囲まれている環境から、外語の海に飛び込んで自分をその外語漬けにする。否が応でもその外語をインプットし、自…

語学も自分との対話

通勤時間を使って英語とフィンランド語を学んでいるDuolingo、一週間ごとに30アカウントからなる「リーグ戦」が行われていて、上位5名に入るとひとつ上のリーグにあがることができ、逆に下位5名に入るとひとつ下のリーグにさがってしまいます。いちばん上…