インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

しごと

日本語のアウトプットに消極的なのはなぜ?

私が勤めている学校のひとつは、学生が全員外国人留学生です。母語は中国語、英語、タイ語、スペイン語、ベトナム語、イタリア語、ミャンマー語、スウェーデン語、ロシア語……と実にさまざま。ビジネスレベルの日本語習得を目指すと同時に、通訳や翻訳の訓練…

やめましょうよ。

朝日新聞デジタルに、興味深い記事が出ていました。菅政権の発足に伴って文部科学副大臣と政務官が初登庁したという記事ですが、認証式などで時間が遅れ、なんと深夜11過ぎになったうえ、同省の職員が100人以上待機して出迎えた……というものです。www.asahi.…

中国語のあまりに巨大な存在感について

何十年か前、はじめて香港へ行ったときのこと、とあるお茶屋さん(茶葉の販売店)で中国語(北京語)を使ったら、あからさまに無視されたことがありました。何度話しかけても、まるで私がそこにいないかのように無視をする。私も海外ではいろいろな目に遭っ…

試験も成績もいらない?

夏が終わり、期末試験の季節がやってきました。私が勤めている学校のうちの一つは四月に開講して、前後期の二学期制なので九月の末に前期末試験があるのです。毎年この時期になると不思議に思うのは、普段の授業にはあまり身が入っていないように思える学生…

じいさんばかりが跋扈する

昨日の東京新聞朝刊に「フェミニズムの過去・現在・未来」という記事が載っていました。「女らしくすべし」でも「女は毅然と生きるべし」でもない「ここに居る女」として生きる、右でも左でもない真ん中を生きるとおっしゃる田中美津氏。かつては女性学がア…

哲学しててもいいですか?

三谷尚澄氏の『哲学しててもいいですか?』を読みました。副題に「文系学部不要論へのささやかな反論」とあるように、注意深く、かつ控えめな筆致で、でも大きな危機感を持って書かれた本です。最終的には主題通り、大学の文系学部、なかでも哲学教育の大切…

ゴムの伸び切ったような人間になってはいけません

ブログ『脇見運転』の酔漢さんが、かつて恩師に言われたという「丁字型の人間を目指してください」という言葉を紹介されていました。そのこころは「丁の縦棒は専門性を深く掘り下げること、横棒は専門以外の知識を広く浅く身に付けること」だそうで、なるほ…

「まだこんなことやっていたのか」と呆れる

少し前のことですが、今年三月の都議会で「なぜツーブロックはだめなのか」と池川友一都議が質したところ、都の藤田裕司教育長が「外見等が原因で事件や事故に遭うケースがあるため」と答弁して話題になっていました。くだんの都議ご自身がTwitterでもツイー…

「キャンパスから学生を締め出している」をめぐって

衆議院議員の細野豪志氏が、Twitterで「リスクを回避する大学の姿勢が、学生の学ぶ機会を奪っている」と主張したことに対し、大学関係者や学生など多くの人から賛否両論の声が上がっています。大まかな事の顛末はこちらのBLOGOSの記事が参考になります。blog…

オンライン授業に足りないもの

新型コロナウイルス感染症の第二波(とあえて言いましょう)が来てからこちら、またまた始まったオンライン授業(遠隔授業)。私は現在、講師としても学生としてもオンライン授業に参加していますが、それぞれに疲れる点があるなと感じます。講師として一番…

経営難に陥る学校が増えるかもしれない

夏休みを前にして、うちの学校では早くも来年度の学生募集に向けて動き始めておりまして、昨日は学校説明会が開かれました。とはいえコロナ禍の現状を踏まえ、Zoomによるオンラインでの学校説明会です。私も自分の所属する学科の説明で駆り出されたので、研…

オンライン授業に欠けている身体性

一ヶ月に二回だけ担当している通訳学校の授業、この春学期は新型コロナウイルス感染症の影響ですべてZoomを使ったオンライン授業になっています。オンラインの遠隔授業ですから講師の私も自宅から参加すればいいのですが、Zoomのアカウントの問題や、Zoomに…

「リモート通訳」の時代

はやいもので今年もすでに半年を過ぎ、あまり夏らしい天候にならないまま八月を迎えようとしています。年明けからここまで、なんだかコロナ禍に振り回されっぱなしだったような気がしますが、気がついたら今年は、一度も通訳業務をしていませんでした。もと…

PCR検査の結果は「お墨付き」ではないですよね

ついに、というか、まあ当然というか、自分が担当している留学生にも新型コロナウイルス感染症の陽性と判定された人が出ました。私は週に一度しかその学生さんとは会わず、もとよりうちの学校は数週間前から遠隔授業に戻っていますから、私はいわゆる「濃厚…

教員も傷ついている

Twitterのタイムラインにこんなハッシュタグが流れていました。#大学に行かせてください #対面授業を受けたいです #大学生の日常も大事だこうしたハッシュタグつきのツイートを、読んでいて身につまされます。例えばこちらの学生さん。私の母校の学生さんで…

ふたたびオンライン授業に戻ってみて

再び感染者数が急激に増加してきた新型コロナウイルス感染症。感染者数だけではなく陽性率や重症化率なども加味して捉えるべきだとはわかっていても、じわじわと感染が広がっている、あるいは自分にも近づいてきているというこの雰囲気は、かなり重苦しいも…

夢を叶えたい学生さんに対して

夢を叶えたいという学生さんを、あろうことか教師が全面否定。作家の立原透耶氏がTwitterでリツイートされていた話題ですが、自分も教師という立場にある人間なので、身につまされるような思いで読みました。自戒も込めて。作家になりたいというたびに、全学…

「なるべくラクな道」を選ぼうとする学生さんたち

英語や中国語の動画に、日本語の字幕をつけるという翻訳の授業をやっています。業界標準の字幕翻訳用ソフトを使い(ただしお高いので、出力に制限があるアカデミック版)、ハコ割りからスポッティング、文字数制限、記号の使い方、役割語の処理……にいたるま…

あいうえおの歌

第二次世界大戦時の1942年から1945年にかけて出版された、『FRONT』(フロント)という大判のグラフ誌があります。原弘、木村伊兵衛など、後に昭和を代表するデザイナーやフォトグラファーとなるメンバーが所属していた、大日本帝国陸軍参謀本部の直属出版社…

『桃太郎』に感じる小さな疼きのようなもの

留学生のための一般教養講座で『東アジア近現代史』という授業を担当しています。毎年その授業の一環で『桃太郎 海の神兵』という、1944年に海軍省の後援で制作されたアニメーション映画を紹介しています。この映画のクライマックスに出てくる、落下傘部隊が…

インドネシアをめぐる二つの作品

『桃太郎 海の神兵』というアニメーション映画があります。日本の敗戦が色濃くなっていた1944年に製作され、翌年の春(つまり終戦・敗戦の年)に公開されたこの作品、戦時中によくまあここまでというくらい見ごたえのある作品になっており、逆にそれが国策映…

「そういう文化なのだ」に感じる妙なリアリティ

もうずいぶん前の話ですが、その国のとある大学で、正門前の歩道にたむろしている何人かの女性を見かけたことがあります。女性はなぜかいずれも赤ちゃんを腕に抱いており、通りかかるわれわれに“辦證,辦證,要辦証嗎?(証明書、要らない?)”と呼びかけて…

紙とハンコだらけの国で留学生に申し訳ない

ふだんから留学生のみなさんと接していると、時々とても申し訳ないというか、恥ずかしい気持ちになることがあります。それは例えば、この国の諸手続きの、あまりにも時代遅れなあり方についてです。例えば新入生は学校から「学生カード」のようなものに記入…

警察のチラシに見る外国人への予断と偏見

昨日学校の事務局から「担当クラスの留学生に配布してください」と渡されたチラシ。一読、不愉快な気持ちになりました。学校がある区の警察署から送られてきたという、こんなチラシです。「日本で生活する外国人のみなさまへ」と題されたこのチラシ、日本語…

10年後に食える仕事 食えない仕事

先日、住んでいる区の区役所から「特別区民税・都民税通知書」という分厚い封筒が届きました。毎年のことですけど、紙の納付書が五枚も同封されています。一括納付専用の一枚と、分割納付用(6月・8月・10月・翌年1月)の四枚。私は毎年一括して納付して…

パンフの「盛られよう」が素晴らしい

コロナ禍でオンライン授業を継続しつつ、「三密」を避けながら通常の対面授業に戻しつつ……と、教室では試行錯誤の日々が続いていますが、学校側はすでに来年度の学生募集を見据えて宣伝活動に入っています。感染症の状況次第では外国人留学生の募集にかなり…

「リアルタイム・双方向・長時間」オンライン授業の課題

オンライン授業の取り組み、5月は非同期型の「課題を送信→回収→レビュー」という形がメインだったのですが、6月に入って同期型の「リアルタイム・双方向」での授業が始まりました。学校によっては6月中旬から対面授業に戻すところも多いのですが、逆に長…

デオドラントされたキャンパス

Amazonのブックレビューはなるべく読まないようにしているんですけど、新聞の書評欄は必ず読みます。評者の質の高い文章が読めますし、普段の自分の興味がおもむく範囲では絶対に巡り合うことはないような本を発見することができるからです。書評欄は各紙に…

“國情不一樣(国情が違います)”に教えられたこと

新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着いてきたとして、学校現場では対面授業への復帰が始まっています。うちの学校でも来週から限定的ながら従来どおりのカリキュラムで対面授業が復活することになりました。限定的というのは、授業や実習によっては「三…

学生の自主性をも問うオンライン授業

先日Twitterで拝見したこちらのツイート、学びの本質がとても簡潔に表されていると思いました。“あの人は全然出席してなかったのに単位貰えてずるい!””一生懸命出席して損した”学生がわりとこういうこと言う時ある。その時に”考えてごらん?どっちが得か損…