インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

しごと

声が大きすぎる

先日オンライン授業で話していたら、留学生の生徒さんから「センセ、音声の状態が悪くて聞こえません」と言われました。声がとぎれとぎれになったり、音が割れて雑音が入ったりするのだそうです。その授業の生徒数はそれほど多くなく、しかも私以外は全員音…

偉くなるのは自分でなるんだよ

私の書棚には何冊かの「芸談」が積ん読になっています。芸談というのは、主に伝統芸能の分野で、演者が自分の技芸についてあれこれと語っているもの。私が読んでいるのは能楽師の芸談が多いですが、それらはひとに勧められて以前古本屋さんで買い集めたもの…

てんで聞いちゃいない

留学生の翻訳クラスで、字幕翻訳の授業が始まりました。毎年この時期から数ヶ月かけてそれぞれの字幕作品を作るという課題で、ひとりひとりに字幕制作ソフトの「Babel」を貸与して授業を進めます。最初に字幕翻訳のガイダンスをしました。日本の「業界」にお…

尾声

留学生の通訳クラスで使った教材に、“隨著這個情節發展到了尾聲,真相漸漸地浮出了水面,最後是有一個很大的反轉。(物語がラストへ向かうにつれて、徐々に真相が明らかになり、最後に大きなどんでん返しがあります)”という一節がありました。推理小説につ…

中国共産党、その百年

ロシアのウクライナ侵略によって、国際関係がにわかに大きな変化、ないしは仕切り直しに直面しているように思われます。これまで中立を保ってきた北欧のフィンランドとスウェーデンがNATOへの加盟を模索し始めたというのは、ああ、それはそうなるだろうなと…

代々木公園と明治神宮

留学生の通訳クラスで、観光ガイド通訳の実習を行いました。毎年東京都庁や東京都議会の見学を兼ねて実習をしていたのですが、あまり見るところがなくておもしろくない(失礼!)のと、コロナ禍で見学できないエリアが多いのとで、今年は代々木公園と明治神…

特権階級みたい

朝いつものように職場に向かっていたら、学校へ向かう道に尋常じゃない数の若い方々が歩いていました。そうか、新学期が始まってみなさん今日が初登校日なんだなと気づきましたが、学校の前まで来てさらに驚きました。ものすごい人だかり、まごうかたなき「…

“尹錫悦”氏の名前の読み方について

新学期を迎えて、担当している留学生の通訳クラスの教材を準備しています。留学生のみなさんはこれまで日本語の上達に専念してきた方がほとんどなので、日本語から中国語へ、あるいは中国語から日本語へ「訳す」ということに慣れていないという場合も多い………

もうWordには戻れない

昨年の夏、『ライティングの哲学』をよんですぐに「アウトライナー」を使い始めました。アウトライナー(アウトラインプロセッサ)とはその名の通り、文書のアウトラインをざっくりと作るためのツールで、思いついた端からどんどん入力していき、かつあとか…

台湾の高校生が歌う『旅立ちの日に』

昨日仕事からの帰りに、いつも使っている乗換駅の改札を出たら、袴姿やスーツ姿の学生さんと思しき若い方々が大勢いました。近くに規模の大きい大学があって、そこの卒業式だったようです。私が勤めている学校でも先日卒業式が行われました。昨年と一昨年は…

現代経済学の直観的方法

先日、某所で、中国語と日本語の単語に関する授業を担当しました。その中で日本語に多く見られる一連の外来語(カタカナ語)を取り上げました。特に中国語母語話者のみなさんにとって、この節操がないと言ってもいいほど頻出するカタカナ語は「鬼門」のひと…

教えようとしても教えられない

ずっと以前に古本屋さんで購入した、十四世喜多六平太氏の聞き書きをまとめた『六平太芸談』を読んでいたら、こんなひと言がありました。 教えようたって教えられない、習おうたって習えないところに値打ちがあるのさ。学者ぶりは芸には禁物だよ。 斯界の泰…

ヘッドフォンの選択で途方に暮れる

昨年の6月に再購入したAftershokz(アフターショックス)の骨伝導ヘッドフォンが、また壊れました。前回同様、右側の音を振動で伝える部分の中でカラカラと小さな音がし始め、そのうちにビリビリ音にまで亢進し……使用開始からほぼ1年でそうなるところまで…

NHKのロシア語番組が終了というニュースに接して

『デイリー新潮』に、「NHK『ロシア語番組』終了の波紋」という記事が載っていました。Eテレのロシア語講座「ロシアゴスキー」が今月で終了するのはウクライナ侵攻の影響かとの憶測を打ち消す一方で、日本におけるロシア語教育の危機を訴える研究者の声を紹…

まるまる二年間の留学生活をコロナ禍の中で

先日、勤務先の学校では卒業式が行われました。私が担当している学科は二年制の専門課程で、全員が外国人留学生です。この学生さんたちは二年前の春に入学してきた人たち。つまり、この二年間をまるまるコロナ禍の中で過ごしながら勉強してきたわけです。留…

スライド資料を「引き算」する

今週末、都内某所でセミナーのようなものの講師を仰せつかっておりまして、昨日はせっせと当日使用するPowerPointのスライド資料を作っていました。……が、私はいつも、このスライド資料を作りすぎてしまいます。これは定期的に行われているセミナーで、毎回…

FIRE

今朝の新聞に「FIRE」を目指す人々のお話が載っていました。FIREとはご案内の通り、“Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期退職)”のことです。給与収入に頼らずとも資産の運用益などで暮らしていける状態を達成すべく、とくに若い世代の…

もうあきらめるしかないのかも

留学の目的ってなんでしょう? それはもちろん人それぞれでしょうけど、目的のうちでも大きなひとつは語学の習得だと思います。自国で母語話者に囲まれている環境から、外語の海に飛び込んで自分をその外語漬けにする。否が応でもその外語をインプットし、自…

中学生の頃に英語の授業で

どういう経緯だったのかはまったく覚えていないのですが、私が通っていた中学校にアメリカ人の先生が視察に訪れたことがありました。その際、私たちのクラスでは英語の授業にその先生が参加して、英語で会話するという機会が与えられました。クラスいちひょ…

学生の母語を理解して教える

同僚の英日通訳講師から「教える相手の言語を理解している教師が少ないんだよね」と言われました。最初はピンと来なかったのですが、詳しく聞いてみると「日本語ネイティブに英語を教える英語ネイティブの教師のうち、日本語を話せる(仕事ができるレベルで…

中国の英語不要論

『wisdom』に掲載されていた田中信彦氏のこちらの記事、とても興味深く読みました。中国で「英語不要論」への共感が高まりつつある、というお話です。wisdom.nec.com田中氏は、こうした英語不要論の背景にあるものを分かりやすく五つに分類して解説されてい…

日本語がほとんど話せないのに大学院へ?

先日、職場のあるキャンパスに出勤して、守衛さんのところで研究室の鍵を受け取ろうとしたら、受験票を手にしきりに何か訴えている方がいました。その日はキャンパス内にある系列の大学院が入学試験をやっていて、どうやらその受験生のようです。守衛さんが…

セカンドキャリア塾

東京都が主催している「東京セカンドキャリア塾」というのがありまして、これはセカンドキャリア、つまり主に定年後や子育て終了後の「第二の職業人生」を模索するために、さまざまなセミナーに参加できたり就業支援を受けられたりするという行政サービスで…

真面目な留学生ほど体調を崩している

コロナ禍が二年を超え、この先もまだしばらくは窮屈な生活が続きそうな気配です。そんななか、職場で相対している外国人留学生のみなさんの中に、体調を崩す人が次々に出ています。そりゃそうですよね、慣れない外国に暮らしていて、なおかつコロナ禍で身も…

“酸”が染みてくる

華人留学生の通訳クラスで、ボキャブラリー強化のための単語採集をしています。昨日はテーマが「医療」だったのですが、その中に“酸(suān)”あるいは“酸疼(suānténg)”という言葉が出てきました。この“酸”という中国語は、日本語同様に(というか、あちらから…

検定試験のために語学をやるなんて

きのう、「検定試験で何級を取るのを目指すとか、スコアの点数に一喜一憂するとか、そんなのは一番つまらない語学のやり方だと思います」とブログに書きました。それでも語学が、特に英語が(そして最近では中国語も?)ある程度まで進学や就職や仕事での評…

仕事のためではない語学の沼にハマる

勤務先で行われた同時通訳実習に、講演者として参加しました。教員が持ち回りで二時間弱ほどの講演を行い、学生がチームに分かれて通訳(日本語→英語・中国語)をするというものです。主眼は同時通訳の訓練ですから講演内容は何でもよいのですが、いちおう「…

小さな逃避の必要

新型コロナウイルスの感染者数が急増しています。これだけ毎日感染者数の増加がさまざまなメディアで伝えられ続けていると、気持ちの上でも苦しくなってきます。私の周辺でも、本人は感染していないものの家族が感染したために「濃厚接触者」として職場に来…

起立・礼・着席

私がいま勤めている学校は、系列の専門学校や大学が都心のキャンパスにまとまった形になっています。同じ建物でもフロアによって学校が違ったりするのですが、先日所用で他のフロアに出向いたところ、ちょうど始業時間で、先生と学生さんたちが「起立・礼・…

ミナを着て旅に出よう

先日、ファッションブランド「ミナ ペルホネン」のデザイナー、皆川明氏へのロングインタビューをまとめた『Hello!! Work 僕らの仕事のつくりかた、つづきかた。』という本を読んだので、もう一冊『ミナを着て旅に出よう』という本も読んでみました。こちら…