インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ことば

フィンランド語 88 …日文芬訳の練習・その21

帰宅途中にZoomミーティングに参加した話を書きました。住宅街の中にある小学校の校門前から日本語と中国語でスマホに向かって話していたのですが、往来の人にはかなり奇妙に映ったと思います。すみません。「屋外でZoom会議をした」というのを、最初は “käv…

いつかたこぶねになる日 漢詩の手帖

私は詩というものが分かりません。いや、唐詩や宋詞にも、俳句や短歌にも、また明治期以降の新体詩にも「いいなあ」と思うものがたくさんあって惹かれ、中には諳んじているものだってあるけれども、自分で紡ぎ出すことができないのです。詩心というものに乏…

フィンランド語 87 …日文芬訳の練習・その20

東京という街は、気候的にはあまり過ごしやすい場所ではないと思います。夏は異様に蒸し暑いですし、冬は異様に寒いですし。東京の冬程度で「寒い」などと言ったらフィンランドの人に怒られそうですけど、たしかに屋外の寒さはそれほどでもないものの、屋内…

翻訳の授業 東京大学最終講義

「翻訳の正しさは原文とは無関係で、百パーセント現実との照合で決まる」と筆者の山本史郎氏は主張します。つまり原文と訳文の間の語彙や文法などよりも、その二つの文が現出させる世界がぴったりと一致していることが何より大切なことなのだと。 翻訳の授業…

アップデートされていない

フィンランド語のニュースサイトをのぞいていたら、橋本聖子五輪担当大臣が東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長就任要請をうけたという話題が載っていました。見出しには“joutui vielä selittelemään omaa ahdisteluskandaaliaan(自らのセク…

その外語を学んで楽しい?

中国の中学生や高校生に、日本語学習者が急増している理由は? 答えは「大学入試で受かりやすいから」。先日の東京新聞朝刊に興味深い記事が載っていました。「漢字が共通して発音も難しくない日本語学習は『最初のハードルが低い』」ため、英語で大学入試に…

五輪を弔う

森喜朗氏の女性蔑視発言に端を発する五輪組織委員会のゴタゴタが尾を引いています。思い起こせばこの五輪、その招致時から賄賂疑惑や「アンダーコントロール」の吹聴など数多くの問題があり、招致が決まってからも新国立競技場の建設、エンブレムの盗作疑惑…

フィンランド語 86 …日文芬訳の練習・その19

森喜朗氏は五輪組織委員会の会長を辞任しましたが、その後継を巡っても引き続きドタバタしています。つくづく、今回の問題は森氏ひとりの資質のみならず、この国の政治や社会のあり方全体が問われているように思います。人間の資質はもちろん年齢だけで判断…

フィンランド語 85 …動詞の変化ワークシート

フィンランド語の教室はオンラインでの授業が続いています。ここのところは授業の最初に「基本に戻って復習しましょう」ということで、私たち生徒が2〜3人ずつZoomのブレイクアウトルームに分かれて、動詞の復習をしています。誰かが動詞の日本語を言って…

語学で身を立てる

語学関係者ならページをめくるたびにいちいち頷き、付箋を貼りまくり、「そうそう! この本に書かれていることは、この業界ではごくごく当たり前のことばかりなのに、一般に広く知られていないのはなぜだろう?」としみじみ思うはずです。通訳者や翻訳者がや…

ウイルスの世紀

新型コロナウイルスに対するワクチンの接種、日本は非常に遅れているという報道に接しました。news.yahoo.co.jpいつの間にか、「日本は医療や医薬に関して世界でも最先端の体制を整えている」という自負のようなものが私たちにはあったと思うのですが、それ…

フィンランド語 84 …日文芬訳の練習・その18

定年後に悠々自適で読書三昧なんてのは幻想で、年を取ると読書をする体力がなくなるから、体力があるうちにどんどん読めーーてなことが最近読んだ本に書いてありました。大いに同感だったので作文にも使ってみました。「トルストイやディケンズやプルースト…

「エラソー」な物言いを慎みたい

先日の、森喜朗氏(東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長)の記者会見は酷かったですね。もともとコロナ禍で東京五輪の中止を求める声が国民の八割にも達している中、わざわざ大量の燃料を投入してさらに炎上させようと目論んだのかとさえ思える…

自分の作文を暗誦する

トロイア遺跡の発掘で有名なシュリーマンは「語学の天才」としても名高く、試みにネットで「シュリーマン 語学」とでも検索してみると、十種類の言語をマスターしたとか、十八種類だとか、いや二十二種類だとかの様々な説が見つかります。自著『古代への情熱…

話すことと訳すこと

華人留学生の通訳クラスで、中国語→日本語の訳出があまりにもたどたどしい方が多いので、しばらく「1分間スピーチ」を課題にしていました。学生は日本語をもう何年も学び続けている方ばかりですけれど、やはりアウトプットの機会、それも日常のおしゃべりレ…

Duolingoの中国語版で英語を学ぶ

通勤途中に語学学習アプリの “Duolingo” を使っています。連続記録は今日でちょうど1700日になりました。英語はすでに「スキルツリー」を完成させてしまったので、ときどき「スキルの復元」をする以外はもっぱらフィンランド語の “Duolingo” に取り組んでい…

フィンランド語 83 …日文芬訳の練習・その17

コロナ禍の推移について素人があれこれ言えることは少ないと思っています。それでも過去を振り返ってどこが問題だったのかを考えることはできます。東アジアの国々における感染抑制の政策と比較してみると、やはり日本の「敗因」はPCR検査数の抑制と「Go To…

立場を変えてみてクライアントの気持ちが少しだけ分かった

通訳者として仕事に望むとき、よくクライアント(お客様)、あるいはクライアントのスピーカー(話し手)の姿勢にいろいろ難儀していました。通訳という作業は事前の予習が不可欠であるにも関わらず、その予習をなかなかさせてもらえないというのが難儀して…

すでにして現地について行けてない

中国語に“入鄉隨俗”という言葉がありまして、日本語では「郷に入っては郷に従え」などと訳されます。華人留学生の通訳クラスでこの言葉が出てきたので、「みなさんが日本で、自分の国とずいぶん違うと思った生活習慣は何ですか?」と聞いてみました。会社の…

フィンランド語 82 …日文芬訳の練習・その16

「環境に優しいトラムが復活すればいいなと思います」という部分を最初 “toivon että ympäristöystävällisten raitiovaunujen elvyttämisen” と “että(英語の関係代名詞的な “that” にあたります)” 以下を名詞句で書いたのですが、添削では「動詞がないで…

無邪気な冷笑

昨日はバイデン米大統領の就任式ライブをちょこっとだけ見て、そのあとレベッカ・ソルニット氏の『それを、真の名で呼ぶならば』をパラパラと読み返していました。以前も書きましたが、この本に収められた「無邪気な冷笑家たち」が改めて心にしみます。専門…

就任式を祝うことができる人々

早朝、出がけにメールをチェックするためにパソコンを開けていたら、バイデン氏の米大統領就任式、そのライブ映像が目に留まりました。ちょうど Andra Day 氏が “Rise Up” という曲を歌っているところで、BLM(Black Lives Matter)が大書されたあのホワイト…

自分で考えること・自分の考えを持つこと

もうひとつ、渡辺恭二氏の発言集『幻のえにし』で、社会や政治の問題について述べているインタビューが心に残りました。渡辺氏は数年前に出た『さらば、政治よ: 旅の仲間へ』でも個人が政治にどう関わるかについてかなりシニカルなスタンスで語られていまし…

フィンランド語 81 …日文芬訳の練習・その15

外語の作文をするときには「割り切り」が必要だと思います。なにせ、外語の能力が低いから作文をして少しでも上達しようとしているわけで……、①こんな幼稚なことを書いて笑われないかしら、という気持ちを捨てる「割り切り」。②本当はもう少し細かいニュアン…

フィンランド語 80 …日文芬訳の練習・その14

先日Twitterで見かけたすてきなエピソードを元に作文をしてみました。フィンランド語教室の先生によると、『ムーミン』は日本ではどちらかというと子供向けの童話という扱いですが、フィンランドではむしろ大人向けの思想書・哲学書という位置づけなんだそう…

フィンランド語 79 …目的語についての復習

新年最初のフィンランド語教室は、これまでの復習ということで問題集をみんなで討議しながら解きました。“Suomen Mestari”という教科書に入っている問題集です。解いたのは“Valitse oikea objekti.(正しい目的語を選びなさい)”というもの。これは素晴らし…

「やっつけ仕事」の字幕を前にして

「WeTV」の動画に日本語字幕がつくようになったーー。先日、Twitterでそんな情報に接しました。すごい…ついに腾讯视频の国際版「WeTV」に日本語字幕が付く日が来たよ...最近放送スタートした中国ドラマをこんなに早く字幕付きで観れるなんて感動しかない……ま…

推しに萌えて尊いと思う

日本の文化は、わび・さび・萌え。落語家・柳家喬太郎氏のネタです。ところが最近はこの「萌え」がすでにして古い言葉になり、いまは「推し」であるよし。なるほど、確かに「萌え」をあまり聞かなくなった一方で「推し」はよく聞きますし、目にしますね。私…

英語独習法

こんな泥臭くて面倒な「語学」という営みに、全国民が小学校からなかば追い立てられるように狂奔していていいのだろうかーー。語学業界にいながら、私はそんな疑問が常に頭を離れません。ですから、この本を読み始めてすぐにこんな記述があり、おもわず「そ…

三行で撃つ

だれもが文章を書きたがっています。試みにAmazonで「文章術」をキーワードに検索してみると、驚くほど多くの書籍がヒットします。それも刊行日がごく最近のものがたくさん。これは個人のSNSアカウントやブログがネットにあふれている現代、文章を書きたい、…