インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

中熱拿

久しぶりに台北へやってきて、たまたま利用したコーヒースタンドで、常連さんとおぼしき男性がお店に入ってくるなりひとこと“中熱拿”と言っていました。Mサイズのホットのカフェラテ。直前に私も偶然同じものを注文して飲んでいたのですが、私は“熱拿鐵中杯(ホットのカフェラテをMサイズで)”と注文していました。

ネットでダブルクォーテーションマーク(“”)を使ってフレーズ検索してみると、“中熱拿”のようにまずカップのサイズ、それからホットかアイスの別、最後に飲み物の種類の順番で言葉が紡がれることが圧倒的に多いみたいです。つまり“熱中拿”とか“熱拿中”とか“拿熱中”とか“拿中熱”とはまず言わないんですね。

カップのサイズを“中”と略さず“中杯”と言うなら“中杯熱拿”でも“熱拿中杯”でも、さらにラテを“拿”と略さず“拿鐵”と言うなら“中杯熱拿鐵”でも“拿鐵熱中杯”でも“熱中杯拿鐵”でも“熱拿鐵中杯”でも(私はこれでした)でもいいみたいですけど、“中(中杯)”と“熱(熱的)”と“拿(拿鐵)”でシンプルな言い方に徹するとまず“中熱拿”が母語話者的に自然な順番なのかしら。おもしろいです。

そういえば私は“熱拿鐵中杯”と注文してから店員さんにもう一度“中杯還是大杯?(Mサイズ、それともLサイズ?)”と聞き返されました。もちろん私の発音が悪かったからでしょうけど、ひょっとすると母語話者的には(というかコーヒーショップの店員さん的には)まずカップのサイズが最初に来るのが認識しやすい……てなことがあるのかもしれません。

私は日本語で注文する時にも「ホットのカフェラテをMサイズで」と言っています。だから中国語もその順番で言っているだけなのですが、ネイティブの感覚とは違うのかもしれないと思った次第です。次は“中熱拿”と言ってみよう。外国人がネイティブのマネをするのはちょっと「イタい」ところがあるので、そう言ったあと「は?」などと聞き返されたりしたらすごく恥ずかしいですけど。