ほん
しつこいようですが昨日にひきつづき、アン・モロー・リンドバーグの名言とされる「人生を見つけるためには、人生を浪費しなければならない」の出典が見つからない件……といいますか、どなたが “One must lose one’s life to find it” を「人生を見つけるため…
先日このブログで、山口周氏の『ビジネスの未来』に引用されていたアン・モロー・リンドバーグの言葉をご紹介しました。山口氏はこのように書かれています。 大西洋単独無着陸飛行にはじめて成功したチャールズ・リンドバーグの妻であり、また自身も女性飛行…
同僚の講師から一冊の本を手渡されました。魯迅の『吶喊』です。1988年発行の人民文学出版社版。いまとなってはかえって斬新にさえ思える、いたってシンプルな装丁の薄い一冊です。もともと私の妻が持っていたもので、ずいぶん前に同僚の講師にお譲りしてい…
いわゆる自己啓発本と呼ばれる書籍や、ビジネス系のWebメディアなどを読んでいて、仕事選びとかキャリア形成に関する話題になるとよく引用されている理論があります。心理学者のジョン・クランボルツ氏が1999年に発表した「計画的偶発性理論」です。その理論…
カズオ・イシグロに『夜想曲集』という短編集があって、副題が「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」となっています。その名のとおり、なにがしか「音楽」の要素が物語にからんでいてそれは分かりやすいのですが、「夕暮れ」のほうはもう少し読み込まないとそ…
イングランド南岸の街プリマスから、同じく南岸の街ウェイマスに移りました。プリマスってどこかで聞き覚えがある地名だと思っていたら、かつて新大陸を目指した人々がこの街から出港したんですよね、たしか。清教徒、ピューリタン、ピムグリム・ファーザー…
イングランドの最西端、コーンウォール州は「独自の文化や言語、帰属意識を持った地域であり、イングランドの他の地域とは趣を異にしている(Wikipedia)」のだそうです。その独自性を誇るかのように、黒地に白十字というコーンウォールの旗をあちこちで見か…
イングランド南西部への自動車旅行、その三日目にスティーブンスはデボン州タビストック近郊の個人宅に泊めてもらうことになります。ガソリン切れというアクシデントに見舞われて絶望しかかったところ、偶然近くの村に住むテイラーという親切な男に出会い、…
スティーブンスは旅の二日目から三日目にかけて、サマセット州トーントンに立ち寄っています。あ、スティーブンスというのは、カズオ・イシグロの小説『日の名残り』の主人公で、ご主人様から休暇をもらい、さらにご主人様の立派なフォードまで貸してもらっ…
『日の名残り』のスティーブンスはイングランド南西部への旅に出た二日目の午後、ドーセット州のモーティマーズ・ポンドという美しい池に出会います*1。車のラジエーターの水が切れかかっていたことに端を発して、助けを求めたお屋敷の「従卒」に勧められて…
イギリスの作家、カズオ・イシグロのブッカー賞受賞作である『日の名残り(The remains of the day)』。かつてダーリントン卿に仕えた執事のスティーブンスが、現在のご主人であるアメリカ人の「ファラディ様」から休暇を取って旅行をするようにと勧められ…
オンライン英会話で、英国人のチューターさんにレッスンを受けるとき、英国のトピックを話すことがあります。まだ英国には行ったことがありません、いちど行ってみたいです、都会は苦手なので車を借りて田舎をめぐりたいです、スコットランドの湖水地方なん…
中学生のころ、無線に興味を持ってアマチュア無線技士の資格を取りました。電話級といういちばん易しい資格でしたが、無線機を買うお金もなかったので無線局を開局することはあきらめました。その後高校でアマチュア無線部に出入りするようになって、そのク…
SF映画は大好きなのですが、小説となるとどうしても最後まで読み通すことができません。とはいえ中高生の頃は『宇宙英雄ペリー・ローダン』シリーズみたいな、いわゆるスペースオペラ的作品をたくさん読んだような記憶があります。でもよくよく思い返してみ…
わからないつながりでもうひとつ。書評家の豊崎由美氏が東京新聞朝刊の「東京ブックカフェ」に書かれている書評、というか文芸時評の「何でも書いていいってさ」で、翻訳家・岸本佐知子氏の『わからない』が紹介されていました。 わからない豊崎氏はふだんエ…
中国に留学したとき、初日に大学の寮で部屋をあてがわれて、まずやろうと思ったのが掃除でした。ほうきとちりとりと、あとぞうきんもいるかな……と思った瞬間、はたと考え込んでしまいました。中国語で「ほうき」と「ちりとり」と「ぞうきん」って、何ていう…
私は間もなく定年を迎えます。いま勤めている職場は還暦が雇い止めで、その後も再雇用などの道はありますが、いったんこれで宮仕えはおしまいになります。とはいえ、若い頃から就職したり就職し(でき)なかったり、転職したり失業したりフリーランスになっ…
通勤途中の書店で偶然見つけた、奈倉有里氏の『ことばの白地図を歩く』を読んでいたら、「妖怪あきらめ」という「語学学習にひそむ強敵」が出てきました。 でたぞ、語学学習にひそむ強敵、妖怪あきらめ。こいつのやっかいなところは、意外にも「なんのために…
けさの新聞に、東京都町田市の移動図書館「そよかぜ号」の話題が載っていました。ああ、まだ活躍していたんですね、移動図書館。私が子どもの頃に住んでいた団地の集会所にも、この写真そっくりな移動図書館が定期的にやってきていて、毎回楽しみにしていた…
自分の心と身体がそれまでとは違う状態に入ったのだなと如実に感じられるようになったのはここ5、6年のことでしょうか。現実の厳しさに比べてやや軽薄な感じがする言葉ですけど、まさに「老いのリアル」みたいなものがひしひしと迫ってくるのを、なかば驚…
「マウントおじさん」という言葉があります。あるいは「マウンティングおじさん」とも言うでしょうか。自分が他人よりも優れていることを見せつけようとする男性のことを指し、とくに、自分の経験や知識や能力などを誇示して、相手を見下ろそうとする行動を…
およそ20年ぶりくらいで、カズオ・イシグロ氏の『日の名残り』を読み返しました。私は2001年発行のハヤカワepi文庫版を持っていて、かつて読んだときにとても感動したことだけは覚えていました。でも今回、ふと書棚から手にとって読みだしたら、おおまかなプ…
旅行における楽しみは人それぞれだと思いますが、私の場合は食べ歩きです。いえ「でした」と言うべきでしょうか。年を取って、若いときのように片っ端からおいしいもの、めずらしいものを食べてまわるということができなくなりました。ほんの少し食べただけ…
その絵から、かのヴォイニッチ手稿を連想しました。臺南市美術館2館で展示されていた洪通(Hung Tung)氏の作品を見たときです。たまたま立ち寄ったこの美術館では、ちょうど台南にゆかりのある画家の展覧会が行われていて、紹介されている4人のうちのおひ…
極端な人見知りで人づきあいが苦手な私ですが、曲がりなりにも数十年ほど中国語関係のお仕事をしてくるなかで、中国人のお宅に招かれて食事をふるまわれたことが何度かあります。数十年で何度かしかないというのが社交性のなさを如実に表していますが、それ…
先日の新聞に気になる記事が載っていました。1月2日に羽田空港で起きた飛行機の衝突事故に関して「調査による原因究明と捜査による責任追及が並行して進」んでいることに疑問を呈した記事です。大きな事故が起こると、日本ではその原因究明が行われる一方…
先日、仕事帰りに本屋さんへ立ち寄って新刊本をあれこれ立ち読みしていたら、真っ赤な表紙の目立つ本が平積みされているのに気づきました。書名は『40歳がくる!』で、アラフォーを迎える方のエッセイかな、自分も40歳を迎えたころは「不惑」と言いつつあれ…
偶然立ち寄った書店でこの本を見つけました。ビオリカ・マリアン氏の『言語の力』です。副題には「『思考・価値観・感情』なぜ新しい言語を持つと世界が変わるのか?」とあります。これはおもしろそう! そして実際、とてもおもしろく刺激的な一冊でした。こ…
伊東俊太郎氏の『十二世紀ルネサンス』を読みました。この書名を見て、疑問を覚える方もいるかもしれません。ルネサンスといえば14世紀から16世紀の文化運動じゃないの、ギリシアやローマの文化を復興しようということで、ダ・ヴィンチとかミケランジェロと…
年末、北九州市の実家に帰省して、年末のうちに東京へ戻ってきました。せっかく帰省したんだから家族や親戚とゆっくり年越しすればいいのにと友人には言われます。でも、高齢の親にとっては逆に負担になりますし、私も年末年始のラッシュに巻き込まれるのは…