インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ほん

『All Right!』という雑誌があった

あれは大学受験に失敗して浪人生活をしていた頃ですから、18歳か19歳だったと思います。当時住んでいた大阪府下のある私鉄駅前にあった本屋さんで、創刊されたばかりの雑誌を偶然見つけて買いました。当時、若い男性向け雑誌として双璧を成していた『POPEYE…

清少納言を求めて、フィンランドから京都へ

いわゆる「アラフォーシングル」のミア・カンキマキ(Mia Kankimäki)氏が清少納言に魅せられ、休職して京都へ研究に赴く……というより安宿に「転がり込む」ようにして京都にやってきます。エッセイであり、紀行文であり、ご自身がフィンランド人であるだけに…

本を読まないとバカになる

先日Twitterで「読書の秋」に読みたい書籍100選というツイートが話題に、というか「炎上」していました。元のツイートは削除されてしまったようですが、おそらくそこに並んでいた書籍がほぼいわゆる「自己啓発本」のたぐいだったのと、そうした本を読んでこ…

ノンアルコールビールを飲むということ

お酒を飲まなくなってから50日ほど。いまでもスーパーのお酒売り場を通りかかると、ついフラフラと引き寄せられそうになることはありますが、もう以前のように飲みたい、飲まずにはいられないという状態には陥らなくなりました。自分ではそうではないと思っ…

インターネットポルノ中毒

カバーのそでにこう書いてあります。「インターネットポルノ中毒は、裸やエロスに対する中毒ではない。画面上の目新しさに対する中毒だ」。この本の副題は「やめられない脳と中毒の科学」となっていて、書店で偶然見つけて購入しました。 インターネットポル…

お酒を飲まない暮らしへの関心

緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置を今月末で解除するという政府の決定を受けて、飲食業のみなさんが「ようやく光が見えてきた」と語っています。テレビニュースはさっそく新橋駅前でサラリーマンに取材して(この「様式美」もそろそろ変えてみたらどうかな…

TOKYO REDUX 下山迷宮

下山事件といえば、戦後間もない1949年に起こった、初代国鉄総裁の下山定則氏が失踪後轢死体で発見された事件として有名です。折しも国鉄職員に対する大量の人員整理案が問題となっていた時期で、GHQと日本政府、それに当時勢いを増していた左翼勢力との駆け…

人体大全

宇宙に関する本を読むのが好きです。といっても一般向けの入門書しか読んだことはありませんが、人類が宇宙の実態を解き明かそうとして営々と積み重ねてきた努力の歴史をたどり、それでもその結果として宇宙に関するかなりの部分が「まだよく分かっていない…

酒をやめて腰痛が改善した?

「ソーバーキュリアス(ソバーキュリアス/Sober curious = しらふでいることへの興味)」という言葉に出会い、ふと思い立って「断酒」を始めてから、ちょうど一ヶ月あまりが過ぎました。この間、一滴もアルコールを飲まない生活でしたが、不思議なことに、…

カリフラワーのおいしさに開眼する

勤務先の学校で学んでいるとある台湾人留学生、昨年の春休みに帰省したものの、その後コロナ禍が急拡大して日本に再入国できなくなり、そのまま一年間休学という形で台湾にとどまっていました。その留学生が今年の春にようやく復学できたのですが、一年前に…

ひとりで暮らす、ひとりを支える

書店でたまたま見つけた高橋絵里香氏の『ひとりで暮らす、ひとりを支えるーーフィンランド高齢者ケアのエスノグラフィ』、とても考えさせられる内容でした。フィンランド南西部の「群島町」(おそらく古都トゥルク近郊の島嶼地域だと思われます)をフィール…

無知であることの罪について

先日いろいろと考えさせられた「米国では(授業において)議論に参加しないのは『フリーライダー(ただ乗り)』だという意識がある」というお話。そして、それに比べて日本の学校では「クラス全体への貢献度」という考え方が非常に薄く、しかもそれは子供の…

宇宙人と出会う前に読む本

宇宙「各地」の「宇宙人」たちが集まる「惑星際宇宙ステーション」へ行ったと仮定して、そこで宇宙人たちと会話するとしたら、どのような基本的、かつ宇宙共通と思われる教養を備えておくべきか……という一冊。もちろん、それぞれの恒星系が絶望的なほど隔た…

裾野を広げる

作家・演出家である鴻上尚史氏の『演劇入門』を読みました。演劇と、映像(映画やドラマ)あるいは小説との違いについて論じた部分など、なるほどと得心できる内容が多かったのですが、「終わりに(あとがき)」の部分に書かれていた「裾野を広げる」という…

ソーバーキュリアス

「ソーバーキュリアス(ソバーキュリアス/Sober Curious)」という言葉があります。お酒を飲めないわけではないけれど、あえて飲まない人、素面(しらふ)でいたがる人、というような意味だそうです。『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本…

すべてはノートからはじまる

副題に「あなたの人生をひらく記録術」とあり、帯の惹句には「自分を変えたければノートをとれ!」とあります。見返しには「ライフハック」のようなやや軽薄そうに聞こえるフレーズが書かれており、何となく怪しい自己啓発書のような雰囲気ではあります。で…

マチズモを削り取れ

私がいまメインで奉職している学校は、もともと女子大だった建物を利用しているためか(現在は共学になっています)、男性用トイレが極端に少ないです。必要最小限というのか、とてもミニマムな仕様というのか。あ、今日はちょっと尾籠なお話なので、ご勘弁…

アウトライナーを使い始める

先日読んだ『ライティングの哲学』で大いに推奨されていた「アウトライナー」、さっそく使い始めました。ただし、この本ではアウトライナーの詳しい使い方までは説明されていないので、実際に使い始めるにあたっては、こちらの記事がとても参考になりました…

ライティングの哲学

「書くのが苦しい」とおっしゃる4人の執筆者による『ライティングの哲学』を読みました。タイトル通り、書くことの苦しみから導き出されたそれぞれの「哲学」が語られていて、その哲学的思考の末にそれぞれがそれぞれの「書くことに対する諦念」みたいなも…

平成史ーー昨日の世界のすべて

区分された時代というものに、あまり意味を見いだせないと思っていました。例えば昭和や平成という元号で区切ったり、「19✗✗年代」のように10年ごとに時代を区切ったりして、「この時代は……」「この世代は……」などと論じるというやり方ですね。特に元号は単…

言語学バーリ・トゥード

川添愛氏の『言語学バーリ・トゥード』を読みました。私は氏のご本が発売されるたびにほとんど買って読んでいるのですが、今回はこれまでとはまた違った雰囲気の軽妙な文体で楽しめました。やっぱり言語学者というだけあって文章がお上手なのかしら……と思い…

エンパシーという知的作業

ブレイディみかこ氏の『他者の靴を履く』を読んでいたら、SNSについてこんなふうに書かれている一節がありました。 SNSがふだんの生活では信じられないような非人間的な言葉が渦巻く場所になってしまうのは、匿名で書けるからというより、あまりにピュアに「…

結局、ウナギは食べていいのか問題

「土用の丑の日」というのがありますね。つい最近も7月の末にありました。近所のスーパーではその前の週あたりから「ウナギの蒲焼」に関するPOPが登場し、当日前後は蒲焼きの屋台が出るだの、どこどこ県産のブランドウナギが入荷するだのといった宣伝が行わ…

いい文章を読む

職場の図書館に行って新聞と雑誌をいくつか読みました。うちの学校の図書館は新聞や雑誌の「品揃え」がとてもよくて、内外のファッション・アートを中心に、文学や社会科学などのお堅い専門誌から、外国語の新聞まで最新版とバックナンバーが読めます。『人…

わが青春の台湾 わが青春の香港

担当している「東アジア近現代史」という授業で大東亜共栄圏について触れた際、日本による台湾統治の一環としての言語教育についても学び、その流れで酒井充子監督の映画『台湾アイデンティティー』のトレイラーを留学生のみなさんに見てもらいました。www.y…

向井くんはすごい!

私は現在SNSをふたつ使っています。TwitterとFacebookです。以前はもっといろいろなSNSに手を出していましたが、いろいろと思うところあってこれだけに絞りました。しかもFacebookはほぼ知人との連絡用にしか使っておらず、実質的にTwitterだけがバーチャル…

語学は泥臭くて辛気くさい営み

昨日Twitterで拝見したこちらのツイート、とても興味深いと思いました。紹介されてた『ロシア語文法夜話』(染谷茂、2016)買って読んでみたんだけど、のっけからキレッキレで笑っていいのか泣いていいのかわからない 全なんらかの言語学習者に届け #ロシア…

もう15年ですか

昨日Twitterで、タイムラインにこんなツイートがありました。今日は米原万里の命日、15年になります。 pic.twitter.com/DVrAOIb9xA— 井上事務所 (@inoue_jimusho) May 24, 2021 「井上事務所」というのは作家の故・井上ひさし氏の事務所ですよね。……と、こち…

池波正太郎氏の『男の作法』

人に勧められて読みました。「鬼平犯科帳」や「剣客商売」など膨大な著作で知られる氏が、若い編集者に語り下ろす形で書かれた男性の生き方指南書、といった体の一冊です。寿司や蕎麦、天麩羅の食べ方から仕事論や人生論まで幅広く語っていて、なるほど、と…

アスリートも黙ったまま同調しないでほしいのです

一週間ぶりにジムのパーソナルトレーニングに行きました。東京都に緊急事態宣言が出されてからというもの、いつも出勤前に行っていた大手鉄道会社系のジムは休業が続いていて、ウェイト系のトレーニングがまったくできないので身体がなまってしかたがありま…