インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ほん

これからの男の子たちへ

昨夜遅く、録画しておいたテレビ番組を見ようとテレビをつけたら、ドラマ『半沢直樹』をやっていました。これまで一度も見ていないので話の筋はわからないながらも、なんだかテンポよく「謎の解明」みたいなのが続くのでしばらく見ていました。が、登場する…

語学の達人の言葉に注意する

先日、フィンランド語のオンライン講座に出ていたら(最近はずっとオンライン)、先生がかつての教え子でフィンランドに留学し、現在はあちらで結婚されている方の新聞記事を紹介してくれました。その生徒さんはその昔、私たちと同じように週に一回のフィン…

あきらめる技術

ハ・ワン氏の『あやうく一生懸命生きるところだった』を読んでいたら、「ホンデ病」という言葉に出会いました。韓国で、美大を目指す受験生たちがかかる不治の病ーーというのはもちろん諧謔で、入試の競争率が極めて高い難関美大への挑戦を何年もくり返して…

だれも知らないレオ・レオーニ

森泉文美氏・松岡希代子氏の『だれも知らないレオ・レオーニ』を読みました。『あおくんときいろちゃん』、 『スイミー』、『フレデリック』、『じぶんだけのいろ』など数々の絵本の名作で知られるレオ・レオーニ(レオ・レオニ)氏ですが、実は絵本制作をは…

「英語の学び方」入門

新多了氏の『「英語の学び方」入門』を読みました。第二言語習得研究の知見を踏まえて効果的な英語の学び方を指南する一冊ですが、手っ取り早い英語(あるいはその他の外語)上達の秘訣を教えてくれる本ではありません。この本が主張していることをちょっと…

ほんとうのリーダーのみつけかた

梨木香歩氏の『ほんとうのリーダーのみつけかた』を読みました。五年ほど前のトークセッションでの講演を文字に起こしたものと、雑誌『図書』に寄稿された二篇をまとめたものです。いずれも数年前に発表されたものですが、いま読んでもその問いかけは新鮮、…

温暖化で服装がどんどんシンプルになる

アパレル受難の時代だそうです。ユニクロを始めとするファストファッションの隆盛で高い服が売れなくなり、コロナ禍によるリモートワークでますます外出のための「おめかし」需要が減り……とさまざまな要因が重なっているそうですが、個人的には気候の温暖化…

哲学しててもいいですか?

三谷尚澄氏の『哲学しててもいいですか?』を読みました。副題に「文系学部不要論へのささやかな反論」とあるように、注意深く、かつ控えめな筆致で、でも大きな危機感を持って書かれた本です。最終的には主題通り、大学の文系学部、なかでも哲学教育の大切…

料理は一秒ごとにまずくなる

年に1〜2度ほどのお楽しみ、よしながふみ氏の『きのう何食べた?』最新第17巻が出ていたので、買ってまいりました。今回も登場人物たちがそれぞれの人生でリアルタイムに歳を重ねていて(それがこの作品の魅力のひとつ)、もちろん出てくる料理も「これや…

カルト宗教やめました。

たもさん氏のマンガ『カルト宗教やめました。』を読みました。前作『カルト宗教信じてました。』の続編で、「エホバの証人」を自分の意志でやめたあとの日々を描いています。 カルト宗教やめました。私もかつて母親の影響で、とあるカルト宗教の影響下で青春…

まずは語らずに聞く

「マンスプレイニング(mansplaining)」という言葉があります。男を意味する“man”と、説明・解説を意味する“explain”をつなげた造語で、「一般的には『男性が、女性を見下すあるいは偉そうな感じで何かを解説すること』(Wikipedia)」です。日本でこの言葉…

「ケサモッキ」で酷暑を忘れたい

東京は極度に蒸し暑い日が続いています。七月までは異様に涼しくて、今年ならよかったと五輪関係者は悔しがったんじゃないかと心中お察ししていたんですが、八月の声を聞いた途端に野外でスポーツなんて人権侵害を疑われるくらいの酷暑。やっぱり来年も中止…

あらためて教養とは

しつこく教養つながりで、村上陽一郎氏の『あらためて教養とは』を読みました。のっけから「日本人がディーセンシーを失った中には、やはり戦後のいわば民主化あるいは民主教育というものの持っていた、ある一面が関わってるはずです」と、これは大江健三郎…

教養の力

教養つながりで、斎藤兆史氏の『教養の力』を読みました。副題に「東大駒場で学ぶこと」とあって、ご自身も学生として、また教員として長く関わってこられた東京大学における教養教育のありようをベースに、教養の意味と意義を問い直す内容です。 教養の力 …

これが「教養」だ

清水真木氏の『これが「教養」だ』を読みました。帯の惹句に「知的興奮の書!」と感嘆符つきで書かれてありましたが、いや本当にその通り。面白くて一気に読み終えてしまいました。なにせ「教養」という概念は本来「古典」とも「読書」とも「博学」とも関係…

教養の書

戸田山和久氏の『教養の書』を読みました。主な読者層としてはこれから大学で学び始めようとするお若い方が想定されている本のようですが、むしろ大学を出てからしばらく経って「ああ『学ぶ』ってひょっとしたらこういうことだったのかもしれない」と思い始…

体育会系的な「自分」について

パーソナルトレーニングのジムに通っていて、トレーナーさんたちがご自分のことを「自分」とおっしゃる割合が高いことに気づきました。そうやって気づいてみると、男女を問わずトレーナーさんは「自分」とおっしゃる方が多いような。加えて、周囲でトレーニ…

フィンランド人の英語

『フィンランド人はなぜ「学校教育」だけで英語が話せるのか』という本を読みました。確かにフィンランドを旅行すると、特に都会ではどこに行っても英語が普通に通じます。田舎に行くと、年配の方々には「英語は苦手なの」とおっしゃる(とはいえ私などより…

マブイの行方

平野久美子氏の『牡丹社事件 マブイの行方ー日本と台湾、それぞれの和解』を読みました。日本が、その後半世紀にわたる統治(植民地支配)を始める20年以上も前、1871年に起きた「琉球民遭難殺害事件」と、それをひとつの口実にして1874年から始められた「台…

あいうえおの歌

第二次世界大戦時の1942年から1945年にかけて出版された、『FRONT』(フロント)という大判のグラフ誌があります。原弘、木村伊兵衛など、後に昭和を代表するデザイナーやフォトグラファーとなるメンバーが所属していた、大日本帝国陸軍参謀本部の直属出版社…

インドネシアをめぐる二つの作品

『桃太郎 海の神兵』というアニメーション映画があります。日本の敗戦が色濃くなっていた1944年に製作され、翌年の春(つまり終戦・敗戦の年)に公開されたこの作品、戦時中によくまあここまでというくらい見ごたえのある作品になっており、逆にそれが国策映…

「そういう文化なのだ」に感じる妙なリアリティ

もうずいぶん前の話ですが、その国のとある大学で、正門前の歩道にたむろしている何人かの女性を見かけたことがあります。女性はなぜかいずれも赤ちゃんを腕に抱いており、通りかかるわれわれに“辦證,辦證,要辦証嗎?(証明書、要らない?)”と呼びかけて…

カレー料理の「バイブル」

ネットで評判になっていた、稲田俊輔氏の『南インド料理店総料理長が教える だいたい15分!本格インドカレー』を買いました。評判通り、これはものすごい料理本です。私はカレーが大好きでよく作るのですが、この本でカレーに対する概念(?)がすっかり変わ…

10年後に食える仕事 食えない仕事

先日、住んでいる区の区役所から「特別区民税・都民税通知書」という分厚い封筒が届きました。毎年のことですけど、紙の納付書が五枚も同封されています。一括納付専用の一枚と、分割納付用(6月・8月・10月・翌年1月)の四枚。私は毎年一括して納付して…

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ブレイディみかこ氏の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読みました。昨年からベストセラーとの評判で、書店の店頭に平積みになっているのを気になりながらも未読でした。が、一読、引き込まれて一気に読み終えてしまいました。多様すぎるほ…

デオドラントされたキャンパス

Amazonのブックレビューはなるべく読まないようにしているんですけど、新聞の書評欄は必ず読みます。評者の質の高い文章が読めますし、普段の自分の興味がおもむく範囲では絶対に巡り合うことはないような本を発見することができるからです。書評欄は各紙に…

ファクトフルネス

ハンス・ロスリング氏の『ファクトフルネス』を読みました。昨年からのベストセラーで評判はあちこちで目にしていたのですが、遅ればせながらようやく読んだ次第。評判通り、とても衝撃的で大きく目を見開かされる内容でした。 FACTFULNESS(ファクトフルネ…

新しい生活様式

新型コロナウイルス感染症との並走が長引くにつれて、なんとも重苦しい雰囲気が社会に充満しています。「自粛警察」などという言葉に嫌悪感を抱きつつも、「三日に一度」と言われマイバッグを二つも持参して向かった近所のスーパーに、家族連れで子どもを「…

『遅いインターネット』を読んで

つい最近まで、SNSの「断捨離」をしていました。きっかけはカル・ニューポート氏の『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』を読んだことで、SNSがいかに「注意の経済」と深く結びついており、暮らしや仕事から時間と主体性を奪っていくかを痛…

『三体』を楽しめる素養(のようなもの)

在宅勤務でなくなった通勤時間ぶんを利用して、書棚で積ん読になっている本を片っ端から平らげています。先日は劉慈欣氏の『三体』を(遅ればせながらに)読みました。 三体中国語圏のみならず英語圏でも人気だそうで、続編の二冊をあわせた「三体」三部作で…