インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ほん

結局、ウナギは食べていいのか問題

「土用の丑の日」というのがありますね。つい最近も7月の末にありました。近所のスーパーではその前の週あたりから「ウナギの蒲焼」に関するPOPが登場し、当日前後は蒲焼きの屋台が出るだの、どこどこ県産のブランドウナギが入荷するだのといった宣伝が行わ…

いい文章を読む

職場の図書館に行って新聞と雑誌をいくつか読みました。うちの学校の図書館は新聞や雑誌の「品揃え」がとてもよくて、内外のファッション・アートを中心に、文学や社会科学などのお堅い専門誌から、外国語の新聞まで最新版とバックナンバーが読めます。『人…

わが青春の台湾 わが青春の香港

担当している「東アジア近現代史」という授業で大東亜共栄圏について触れた際、日本による台湾統治の一環としての言語教育についても学び、その流れで酒井充子監督の映画『台湾アイデンティティー』のトレイラーを留学生のみなさんに見てもらいました。www.y…

向井くんはすごい!

私は現在SNSをふたつ使っています。TwitterとFacebookです。以前はもっといろいろなSNSに手を出していましたが、いろいろと思うところあってこれだけに絞りました。しかもFacebookはほぼ知人との連絡用にしか使っておらず、実質的にTwitterだけがバーチャル…

語学は泥臭くて辛気くさい営み

昨日Twitterで拝見したこちらのツイート、とても興味深いと思いました。紹介されてた『ロシア語文法夜話』(染谷茂、2016)買って読んでみたんだけど、のっけからキレッキレで笑っていいのか泣いていいのかわからない 全なんらかの言語学習者に届け #ロシア…

もう15年ですか

昨日Twitterで、タイムラインにこんなツイートがありました。今日は米原万里の命日、15年になります。 pic.twitter.com/DVrAOIb9xA— 井上事務所 (@inoue_jimusho) May 24, 2021 「井上事務所」というのは作家の故・井上ひさし氏の事務所ですよね。……と、こち…

池波正太郎氏の『男の作法』

人に勧められて読みました。「鬼平犯科帳」や「剣客商売」など膨大な著作で知られる氏が、若い編集者に語り下ろす形で書かれた男性の生き方指南書、といった体の一冊です。寿司や蕎麦、天麩羅の食べ方から仕事論や人生論まで幅広く語っていて、なるほど、と…

アスリートも黙ったまま同調しないでほしいのです

一週間ぶりにジムのパーソナルトレーニングに行きました。東京都に緊急事態宣言が出されてからというもの、いつも出勤前に行っていた大手鉄道会社系のジムは休業が続いていて、ウェイト系のトレーニングがまったくできないので身体がなまってしかたがありま…

失敗の本質

1984年に出版された『失敗の本質』という本がありまして、現在は中公文庫で読むことができます。その「文庫版あとがき」は平成三年(1991年)、つまり今からもう30年も前に書かれたもので、最後はこう締めくくられています。 企業をはじめわが国のあらゆる領…

積極的に身体を動かしていないと死んじゃう

緊急事態宣言が発出されたことによって、東京都では1000平方メートルを超える施設に対して休業要請が行われています。そのため、いつも出勤前に早朝から利用しているジムも休業になってしまいました。せっかく毎日運動する習慣が定着してきたというのに、こ…

「なんでもない毎日をていねいに生きる」

ここ数年、折に触れて「次の人生をどうしようかなあ」と考えています。言うまでもなく、いまの仕事があと数年のうちに「雇い止め」になるからですが、実は「次をどうしようか」と考えるのはこれが初めてではありません。学生時代にまともな就職活動もせず(…

ノンアルコールビールを(それなりに)おいしく飲む

酒量を減らしたいと思っています。というより、年をとってお酒に弱くなり、そんなに飲めなくはなりました。それで一時期は「もう一生分飲んだ」ということで断酒していたのですが、やはりどうしても夕飯にはお酒を合わせたくなって、ついつい飲んでしまうの…

「元気炉」をめぐって

かつて美術系の大学に通っていた頃、私はかなり「頭でっかち」な学生でした。だもんで、作っていたのも多分に「イデオロギッシュ」なものが多くて、でも頭はあまりよくないのでとても底の浅い作品ばかりでした。なんというか……歌に例えれば、安っぽいメッセ…

世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない

国連による「世界幸福度ランキング(The World Happiness Report)」というのがありまして、今年もフィンランドが第1位になったそうです。4年連続の第1位とか。toyokeizai.netこのレポートについては、まずもってそれが「幸福」という、そもそも何かの指…

100人の本屋さん@松陰神社前

先日の東京新聞朝刊に、興味深い記事が載っていました。小さな本棚を100人に貸し出して、百人百様の小さな小さな本屋さんを作り出しているスペースのお話です。しかもよく読んでみると、自分の家のすぐそばではありませんか。知らなかった〜! ▲紙面の写真は…

ロジカル筋トレ

筋トレをしているとき、そのトレーニングが「効いている」か「効いていないか」が分かることがあります。効いているときは、鍛えた身体の部位が「じわーっ」と疲労しているのが感じられたり、見た目にもその部位が張って膨らんでいたり(いわゆる「パンプア…

見るレッスン

映画評論家でフランス文学者の蓮實重彥氏が、ご自身でこれが最初で最後だとおっしゃる新書による執筆。映画史に関する「講義」ですが、これがめっぽう面白かったです。蓮實氏の本といえばどこか重厚なイメージが私などにはありますが、この本の語り口はいた…

「この世には本当にバカがいるもんだ」をめぐって

カズオ・イシグロ氏へのインタビュー記事が話題になっていました。toyokeizai.net ブレグジットにしても、トランプ主義の台頭にしても、中には半分ジョークを交えながら、「この世には本当にバカがいるもんだ」と怒る人もいます。しかし、私たちはその先にあ…

「煮豚の牛肉版」ローストビーフ

筋トレを始めて三年あまり、体格はそれなりに良くなってきた……と言いたいところですが、中高年男性特有の「ぽっこりお腹」はあまり変わっていません。これではいくら筋肉をつけても体格の「コントラスト」がつかないではないですか。残念すぎる。というわけ…

料理レシピの文体

なぜ料理本やレシピの説明文は命令形ではないのか。英米文学者で文芸評論家の阿部公彦氏のこんなツイートに接しました。たとえば、ですね。以下。「豚肉のしょうが焼き」 1.豚肉に下味(しょうゆ、酒―各大さじ1。しょうがの絞り汁―大さじ1/2)をまぶし、…

BTSとARMY

先日卒業式を迎えたばかりのアルゼンチン人留学生が、進学先の大学に提出する書類の手続きか何かで学校の事務局に寄り、教員室にも顔を出してくれました。彼女はK-POPの熱狂的なファンです。特にBTS(防弾少年団)が大好きで、選択科目で韓国語を履修してい…

烟囱漫画集

美術を学んでいた頃、石膏デッサンが嫌いでした。西洋の古典的な彫刻の一部をかたどったもの……にコピーにコピーを重ねて、まるで室温に30分ほどおいたバターみたいに形の輪郭が緩んだ石膏像を、木炭や鉛筆で描くアレです。絵画や彫刻を志す者であれば必須と…

いつかたこぶねになる日 漢詩の手帖

私は詩というものが分かりません。いや、唐詩や宋詞にも、俳句や短歌にも、また明治期以降の新体詩にも「いいなあ」と思うものがたくさんあって惹かれ、中には諳んじているものだってあるけれども、自分で紡ぎ出すことができないのです。詩心というものに乏…

你好小朋友 中国の子供達

ネットでたまたま見つけた動画を留学生の通訳訓練に使ってみました。1983年に出版された写真集『你好小朋友 中国の子供達』の写真家・秋山亮二氏の動画です。youtu.be一目見て、いいなあと思いました。子供たちの表情がとてもいい。この写真集は長らく絶版だ…

じい散歩

最近、東京都心をできるだけ歩くようにしています。男性版更年期障害とでも言うべき不定愁訴は週に三回ほどのジムの筋トレでかなり解消されたのですが、有酸素運動が足りません。といってジムのドレッドマシンで三十分も四十分も走り続けるのはあまり面白く…

旅の効用 人はなぜ移動するのか

昨年ベストセラーになった、ハンス・ロスリング氏の『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』に、「世界はどんどん悪くなっている」と考えてしまう「ネガティブ本能」について書かれた一章がありました。ネガティブなニュースは耳目を集めやすいためどんどん伝わ…

翻訳の授業 東京大学最終講義

「翻訳の正しさは原文とは無関係で、百パーセント現実との照合で決まる」と筆者の山本史郎氏は主張します。つまり原文と訳文の間の語彙や文法などよりも、その二つの文が現出させる世界がぴったりと一致していることが何より大切なことなのだと。 翻訳の授業…

遺言未満、

紙の新聞って、すっかりお年寄り向けのメディアになっちゃいました。いつも職場の図書館で新聞各紙を読んでいるのですが、まずそこに載っている広告の、ほとんどが中高年やお年寄り向けだなあと思います。そして気がついてみれば基本的な事実を述べる記事(…

さよなら、男社会

読みながら、ずっともどかしい気分に囚われていました。ときにそれは軽い「吐き気」を催すような居心地の悪さでもありました。尹雄大氏の『さよなら、男社会』の読書感です。もどかしい気分になるのは、自分の中ににも確実にある「男性性」の正体がなかなか…

語学で身を立てる

語学関係者ならページをめくるたびにいちいち頷き、付箋を貼りまくり、「そうそう! この本に書かれていることは、この業界ではごくごく当たり前のことばかりなのに、一般に広く知られていないのはなぜだろう?」としみじみ思うはずです。通訳者や翻訳者がや…