インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

滔々と流れる大河のような「楽」

能のお稽古は「楽(がく)」の練習に入りました。いつもお世話になっている「the能ドットコム」の「能楽用語事典」によりますと、楽とは…… がく 舞の種類のひとつ。舞楽をまなんだ舞といわれ、「鶴亀」「邯鄲」「天鼓」「富士太鼓」など唐土にゆかりのある役…

退化を空想していたら現実はその先を行きつつあった

華人留学生の通訳クラスではいま、日本語の成語や慣用句やことわざを学んでいます。中国語もこうした言葉は豊富ですが(というか、中国から入ってきたものが実に多い)、それらを引き比べて覚えていくと、双方の文化の違いや言語表現の発想の違いが分かって…

フィンランド語 14 …所有文

「人(所有者)+llA on ●」で「だれそれが●を持っている」を表す「所有文」を学びました。先回学んだ日本語にはない概念「分格」が関わっています。所有文になるとまたまた人称代名詞が変化します。今回は「llA」がくっつく。これ、以前学んだ「〜の上に/で…

台湾の若者はあまりジーンズを履かないの?

昨日「中国語圏で中国語を話すと、みなさん自分の地元以外の人間だと決めつけてくる」という話を書きましたが、これは私が拙い中国語を口にしているからで、逆に何も話さないでいるとこれはもう間違いなく「日本人」だと認識されます。qianchong.hatenablog.…

「ニセ華人」の怪しい中国語

中国語は巨大なために、地域によって実に多種多様な側面を持っている言語です。いわゆる「標準語」と呼ばれる北京語(普通話/國語/台灣華語)ひとつとっても、様々な語彙、発音、統語法の細部に地方ごとの特色があります。こういう差異って、地域ナショナ…

冷房対策のはおりものがほしい

梅雨ももうすぐ明けようかというこの時期、仕事場ではもうエアコンがガンガンかかっています。私は冷房にそれほど弱くはないのですが、それでもちょっと身体にこたえることがあるので、何か「はおりもの」がほしいなと思いました。レディス・ファッションは…

しまじまの旅 たびたびの旅 53 ……鹹豆漿と蚵仔煎

南の島でののんびりした旅を終えて、また台北に戻ってきました。あとは東京へ戻るまでの数日間、台湾ならではのB級グルメを食べ歩くことにします。といっても定番ばかりなんですけど、定番中の定番がやっぱり一番ほっとできて美味しいんですよね。泊まったホ…

フィンランド語 13 …日本語にはない概念「分格」

単数分格(ぶんかく)というのを習いました。先生によると、これは日本語にない概念で、フィンランド語学習の中でも一番わかりにくい(かもしれない)部分だそうです。でも外語学習の醍醐味は実はそういうところだと思います。面白そうです。まず、非常に単…

ほんとうに「受動喫煙対策を強化されると客が減る」のかな

昨日の衆議院厚生労働委員会で、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の審議中、参考人として発言していた日本肺がん患者連絡会代表の長谷川一男氏に自民党の穴見陽一衆院議員が「いいかげんにしろ」とやじを飛ばした問題。動画サイトで当該委員会の映像…

黒歴史はあまり聞いたことがないって

華人留学生の通訳クラスで、無国籍の問題に取り組まれている陳天璽氏の講演を教材に使いました。【一席】陳天璽:無國籍生存とても分かりやすい中国語ですし、無国籍者としてのご自身の体験も語られており、国民国家とは、国籍とは、難民とは……と、考えさせ…

フィンランド語 12 …強調のキン・カーン

単語の最後にくっついて強調を表す接尾辞「kin」が出てきました。 Kenen tuo punainen kynä on ? Se on minun. Entä tuo sininen kynä, kenen se on ? Sekin on minun. あの赤いペンは誰のですか? それは私のです。 ではあの青いペン、それは誰のですか? …

しまじまの旅 たびたびの旅 52 ……ふたつの日本軍上陸記念碑

バイクで澎湖島の何の変哲もない県道をながしていたら、このような看板が。日清戦争(甲午戦争)の際に、日本軍が上陸した地点に立てられている記念碑です。住宅街のはずれの、静かで寂しい場所に立っていました。詳しい説明書きもあります。日清戦争後の、…

サラダチキンを自分でつくる

「筋トレ本」の著者Testosterone氏が最上の蛋白質補給源としてお勧めされていた「サラダチキン」、近所のスーパーで買ってみようと思ったのですが、結構いろいろな添加物が入っているんですね。一点だけ「無添加」というか、「国産鶏むね肉使用、化学調味料…

「HINOMARU」の文語調について

先日来、RADWIMPSの新曲「HINOMARU」を巡って、ネット上には様々な情報が飛び交っています。私はその歌詞を一読して「なんだこれ?」と思った以上の感情は湧かなかったのですが、右や左の旦那様、じゃなかった皆々様の中にはことさらに神経を刺激された方も…

フィンランド語 11 …「〜の」を表す属格

主語や名詞や形容詞などが変化しまくるフィンランド語、これまで「〜の上に/で」の単数接格(llA)、「〜の中に/で」の単数内格(ssA)、複数(t)と学んできましたが、今度は「〜の」を表す単数属格というのを学びました。目印は「n」で、変化のさせ方の…

語学をもっと欲張ればいいのに

日本語を学んでいる、あるいは日本語と英語や中国語との通訳や翻訳を学んでいる留学生から、ときどきこんな相談というか、要求が聞かれます。 学校で教わる日本語はすごく「きっちり」してるけど、日本人の友達とかバイト先の日本人はそんな日本語を話してま…

食べ方を「可視化」したらとても新鮮でした

またまた大変失礼ながら、以前だったら絶対に手に取らないタイプの本でした。タイトル、装幀、イラスト、ぱらぱらっとめくってみたときの内容、特にやたら大きな活字(12ポイントくらいあります)の本文も含めて、ぜ〜んぶ。 筋トレビジネスエリートがやって…

フィンランド語 10 …曜日と昨日・今日・明日

初手からolla動詞と格変化で青息吐息ですが、「Milloin?(いつ?)」を表す言葉として曜日や昨日・今日・明日などを学びました。viikonpäivät 曜日maanantai 月曜日 tiistai 火曜日 keskiviikko 水曜日 torstai 木曜日 perjantai 金曜日 lauantai 土曜日 sun…

「この中国語はおかしい」について

通訳訓練では毎学期必ずと言っていいほどあることなのですが、今期も華人留学生から教材の中国語について「この中国語はおかしい。普段の生活でこんなことは言わない」との発言がありました。う〜ん、まあ語学教材はそもそもが架空の設定ですし、とはいえ文…

しまじまの旅 たびたびの旅 51 ……石敢當

澎湖諸島をバイクでくまなく走っていると、時々見かけるこの石造りの円錐。様々な魔除けのために立てられている「石敢當」というものだそうです。この写真の「石敢當」はかなり大きくて二〜三階建ての家ほどもありますが、もっと小規模のものもいくつか見か…

日本人にとって「ツンデレ」な中国語

私たち日本語母語話者が中国語を学ぶ際には、漢字の存在が手助けにも、またハードルにもなります。でも、かつての私もそうでしたが、中国語初学者の方に「なぜ中国語を学ぼうと思われたんですか?」と伺ってみると、「漢字を使っているから学びやすそうだと…

中国語文法の魅力について小一時間語る

先日、通訳のクラスで文法の話になった際、何人もの華人留学生が口々に「中国語なんて文法がテキトーで、無いも同然です」などと卑下しつつ言うので、驚きました。中には大学や大学院を卒業してから日本に留学してきた方もいるんですよ。私は「アホかー!」…

オリンピックのボランティアと大学連携協定について

参加要件が厳しすぎるとして話題になっていた東京オリンピック・パラリンピックのボランティア募集ですが、大会組織委員会が要件を見直したというニュースに接しました。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180607/k10011468441000.htmlwww3.nhk.or.jp ※201…

ふたたび「煙のゆくえ」について

タバコを巡るアンソロジー『もうすぐ絶滅するという煙草について』を読みました。 もうすぐ絶滅するという煙草についてちょっと〜、「タバコごとき」にウンベルト・エーコ様の書名を援用しないでほしいんですけど、写真を「ぐぐって」みると分かるように、当…

小学二年生に圧倒されました

先日のお能の「温習会」、番組の一番最初は男性参加者による連吟「猩々」でした。お師匠がFacebookに写真を投稿されていましたが、ずらっと並んだ紋服姿のおじさんたちの前に、かわいい少年が一人座っているのがお分かりでしょうか。 この少年は小学校二年生…

フィンランド語 9 …olla動詞の復習

名詞や形容詞の変化で青息吐息ですが、変化のパターンはまだ「ssA(〜中に/で)」「llA(〜の上に/で)」「t(複数)」の三つくらい。これから先もどんどん新しい変化が出てくるそうです。ただ、変化のさせ方は同じパターンなので、規則を覚えてしまえば逆…

ホワイトアスパラの炊き込みご飯

もうすぐ旬も終わっちゃいますが、この時期ヘビロテで作って全然飽きない「ホワイトアスパラ」の炊き込みご飯をご紹介します。ネットで色々なレシピが出ていますが、私はほんの少々和風にして「白だし」を隠し味程度に入れました。醤油系の味とバターはとて…

フィンランド語 8 … 単数と複数、そして「脚韻ふみまくり」

フィンランド語は人称代名詞が単数から複数になると、それに合わせてolla動詞も変化します。まあこれは他の言語でもよくありますよね。 人称代名詞 単数 minä olen … 私は…です。 sinä olet … あなたは…です。 hän on … 彼/彼女は…です。 複数 me olemme … …

お能の稽古における一見相反するような指示

昨日は能の温習会の「申し合わせ」でした。「申し合わせ」については、the能.comの「能楽用語辞典」に簡にして要を得た解説が載っています。 能・狂言の「リハーサル」のこと。通常、上演当日の数日前に諸役が集まり、当日と同様の流れで行われる。面や装束…

しまじまの旅 たびたびの旅 50 ……シュノーケリングと岩礁ツアー

澎湖の滞在中、いろいろと観光のアドバイスをしてくださった宿のマネージャー氏から「浮潛(シュノーケリング)に行かない?」と誘われました。海で泳ぐのは大好きですが、シュノーケリングは未体験です。二つ返事で申し込みました。港に着いてカウンターで…