インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

映画

あいうえおの歌

第二次世界大戦時の1942年から1945年にかけて出版された、『FRONT』(フロント)という大判のグラフ誌があります。原弘、木村伊兵衛など、後に昭和を代表するデザイナーやフォトグラファーとなるメンバーが所属していた、大日本帝国陸軍参謀本部の直属出版社…

『桃太郎』に感じる小さな疼きのようなもの

留学生のための一般教養講座で『東アジア近現代史』という授業を担当しています。毎年その授業の一環で『桃太郎 海の神兵』という、1944年に海軍省の後援で制作されたアニメーション映画を紹介しています。この映画のクライマックスに出てくる、落下傘部隊が…

インドネシアをめぐる二つの作品

『桃太郎 海の神兵』というアニメーション映画があります。日本の敗戦が色濃くなっていた1944年に製作され、翌年の春(つまり終戦・敗戦の年)に公開されたこの作品、戦時中によくまあここまでというくらい見ごたえのある作品になっており、逆にそれが国策映…

新しい歌を歌う

在宅勤務が長期間に及び、これまでになかった形でのオンライン授業や遠隔授業などの準備と実施に追われているうち、先週や先々週あたりはちょっと心身ともに疲れ切ってしまっていました。やることは次々に立ち現れてくるのに、身体がどうにもだるくて、心も…

トーベ・ヤンソン氏を描く映画『TOVE』

『ムーミン』シリーズの作者として有名なフィンランドのトーベ・ヤンソン氏。その氏をテーマにした映画『TOVE』が制作されているという情報をSNSで知りました。www.moomin.co.jpトーベ・ヤンソン氏はフィンランド人ですが、スウェーデン語系フィンランド人*1…

カーテンの向こうに

年始の帰省ラッシュを避けて、年越し前に実家がある北九州市から東京に戻りました。スターフライヤーの座席も空席が目立っていました。機内のビデオサービスを適当に選んで見ていたら、10分弱ほどのショートショートフィルムが二作品流れていて、一本はイタ…

『台湾、街かどの人形劇』

昨日の東京新聞朝刊に、台湾のドキュメンタリー映画『紅盒子(邦題:台湾、街かどの人形劇)』に関する記事が載っていました。映画のオフィシャルサイトは、こちら。記事には台湾の伝統的な人形劇である「布袋戲(ポテヒ・ほていぎ)」が「娯楽の多様化を背…

サウナのあるところ

ヨーナス・バリヘル、ミカ・ホタイネン共同監督の映画『サウナのあるところ』を観ました。サウナに関するフィンランド映画、という情報のみで映画館へ向かったのですが、静謐な雰囲気の中に深い味わいを残す素敵な作品でした。【以下、一部に映画の具体的な…

体罰が日常的に行われた時代があった

台湾のネット書店で購入したアニメーション映画『幸福路上』のDVDを観ました。台湾の近現代史を背景にしたストーリーもさることながら、画面の隅々にちりばめられた様々な細かい描写のリアリティに「ああ、この雰囲気!」と身もだえするような懐かしさを感じ…

Simon Stålenhag 氏の世界にひかれる

スウェーデンの画家で Simon Stålenhag という方がいます。私はずいぶん前にネットでこの方の絵を見かけて、その独特の世界観に引き込まれてしまい、画集こそ持っていないのですが、ちょくちょく氏のウェブサイトに行ってはその作品の数々を眺めています。ww…

ドキュメンタリーの理想的な形

NHK Eテレで放映されたドキュメンタリー「輪廻の少年」。チベット仏教で高僧の生まれ変わりとされる「リンポチェ」の少年が、インドのラダックからチベットを目指す旅を追ったものです。昨晩偶然に見たのですが、最初からその内容と映像美に引き込まれました…

「おばおじさん」の凋落

きのう、映画『かもめ食堂』が自分の心にはあまり響かなかったという話を書いたので、職場でもそのことを話題にしてみました。ちなみに私以外は全員女性の職場です。そしたら、みなさん異口同音に「そう? 私はすごく好きな映画なんだけど」という反応。中に…

しまじまの旅 たびたびの旅 22 ……牯嶺街

海外旅行はとにかくフツーの街歩きが楽しいです。まあこれは私が、人の多いところはほんとうに苦手で「人酔い」するからというのもあるんですが、有名な観光地は、往々にして事前に調べて何度も写真で見た光景を確認するだけに終わることが多くて、つまらな…

しまじまの旅 たびたびの旅 16 ……風櫃

宿へ帰るために乗った路線バス、行き先は「風櫃」でした。どこかで聞いた地名だと思ったら、侯孝賢監督の名作『風櫃(ふんくい)の少年(原題:風櫃來的人)』の風櫃です*1。なんとも間抜けなことに、この時点ではじめて風櫃が澎湖の地名であったこと、自分…

国に棄てられた人々

昨日、都内の某大学で、台湾の近現代史に関する簡単なレクチャーを行ってきました。レクチャーといっても私は台湾近現代史の専門家でも何でもないんですけど、仕事などでその地域に関わっている社会人を講師に招いて話させるという連続講座のひとつというこ…

ドストエフスキーと愛に生きる

八十四歳の翻訳家、スヴェトラーナ・ガイヤーさんの半生を追ったドキュメンタリー映画です。翻訳者が主人公の映画というのもめずらしい。というわけで昨日、渋谷のアップリンクで観てまいりました。http://www.uplink.co.jp/movie/2013/20712 http://www.upl…

二つの対照的な対談

土曜日の午後、二つの対談イベントを「はしご」してきました。期せずしてとても対照的な対談でした。一つは、ピーター・バラカン氏と佐々木俊尚氏の対談です。池袋の東京芸術劇場で開催されている『Moving Distance:2579枚の写真と11通の手紙』というジャン…

ゼロ・グラビティ

IMAX3D版で『ゼロ・グラビティ』を観てきました。 http://wwws.warnerbros.co.jp/gravity/#/homeいや、前評判通り、凄かった。で、怖くて、寒気のする映画でした。真夏のロードショーだったら最高の納涼映画になったと思いますが、真冬のこの季節に観るのは…

コクリコ坂から

先日録画しておいたスタジオ・ジブリのアニメーション映画『コクリコ坂から』を見ました。宮崎駿の世界観が色濃くあふれた佳品です*1。昭和三十年代、東京オリンピック開幕前夜の横浜と東京が舞台で、実際の当時の風景に取材したとおぼしき気色がそこここに…

サイドウェイズ

本当に久方ぶりに映画館で映画を見ました。実はうちから五分ほどの所にシネコンがあるのです。が、行ったのは今日が初めて。 この映画は大好きな『サイドウェイ』の日本リメイク版。はっきり言ってかなり心配だったのですが、やっぱり立場上見ておかないと(…

レッドクリフPart1

勤務先の映画鑑賞会、ということで有楽町マリオンの日劇に行ってきました。毎年、中国語の映画を一本選んで、事前に簡単な予習などして、生徒全員で観るという企画。 昨年は「ちょっとなんだかなあ」的映画だったので、今年は私が「楽しいの観ましょうよ〜!…

欧州では「負け犬の死」

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1071809.html 日本人はなぜ『フランダースの犬』に感動するのかを検証したドキュメンタリー映画があるのだそうだ。あのアニメには私も泣いたなあ。今見ても泣ける。 アントワープ大聖堂で、ルーベンスの絵を見上げ…

北京の恋

京劇『四郎探母』をモチーフに、日本人女性と中国人男性の恋がからみ、日中の間に横たわる「不幸な歴史」にも踏み込んだ中国映画。勤務する学校の「映画鑑賞会」ということで、映画館の上映一回分を借り切って鑑賞。個人的には『編輯部的故事』の孫鉄が監督…

十七歲的單車

ここのところしばらく、映画を見ていない。仕事が忙しいからだけれど、なんだかとても身体によろしくない。それでVTRクラス*1の“備課”にかこつけてこのDVDを見た。もちろん職場で。 いや、よかった。“拆”という取り壊し予定マークがペンキで大書された、北京…

楊徳昌(エドワード・ヤン)監督死去

小學生さんからのメールで知った。新聞記事によればここ七年ほどガンと闘っていたそうだ。 『牯嶺街少年殺人事件』、『恐怖份子』、『獨立時代』、『麻將』、『一一』などなど、どれも好きな作品だった。ありがとうございました。

胡同愛歌

通訳スクールの教材で、この映画の監督にインタビューしたものを使う予定なので、見てきた。いやあ、よかった。オーソドックスな“故事片”で、その手法は少々古くさささえ感じるほどだけれど、人間の描き方が素晴らしい。こういう人物群像を演出し、演じるこ…

Water

渋谷のQ-AXシネマで『孔雀』とこの『Water』のチケットを一緒に買ったのだけれど、なぜか別々に金を払えと言われる。まず『孔雀』の1800円を払い、おつりをもらって、改めて『Water』の1200円を払う。なぜまとめて3000円出しちゃいけないのかな? いきなりケ…

絶対の愛

キム・ギドク監督の最新作。『うつせみ』とはまたちがったタイプの、コワい女性が登場。 いつまでも彼に愛されていたいと願うあまり、顔全体を整形して新しい顔を手に入れる女性。韓国は整形王国らしいけれど、私はいやだなあ。自分がするのも相手がするのも…

孔雀

長らく映画の撮影に携わってきた顧長衛が初めて監督した作品。文革が終わったばかりの中国。地方都市に暮らす五人家族の、何となくぎこちない日常を綴る。 http://www.eiga.com/official/kujaku/ 【ネタバレがあります】 軽い知的障害のある兄、少々身勝手な…

䖝的海平線

第二次世界大戦末期、軍用機増産のために台湾各地から集められ、神奈川県大和市の「空C廠(のちの高座海軍工廠)」に送られた少年たち。技術を学び、学校の卒業資格が与えられて台湾に戻れば、技術者として働くことができると約八千名の少年が来日したとい…