インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

芝居

オンライン授業で失われるもの

久しぶりにオンライン授業を担当して、ひどく疲れてしまったーーそんな話をブログに書きました。オンライン授業では、少なくとも語学のそれにおいては、教師と学生の間の、さらには学生と学生の間のインタラクションが希薄になってしまうことが、学習効果を…

魔改造の夜と日本語劇

NHKに『魔改造の夜』という番組があります。www.nhk.jpありふれた家電やおもちゃを一流の技術者やエンジニアたちが寄ってたかって改造し、「えげつない」ほどのパワーを発揮するマシンに仕立てた上で三つ巴の戦いを行うという企画。ロボコンに似ていますけど…

台湾アイドルドラマの退潮

ふだん私はあまりテレビは見ないのですが、海外を旅行しているときは現地のテレビ番組をあれこれ見て回るのが好きです。日本にいるときは騒がしくてしかたなく感じるテレビCMでさえ、海外のそれは、当たり前ですがかなり新鮮に感じます。先日、コロナ禍を挟…

能を見て爆睡するのは当然かもしれない

東京の国立能楽堂での能楽鑑賞教室、留学生のみなさんと一緒に行ってきました。当日は中学生の団体が数多く入っていて、能楽堂内はとてもにぎやかな雰囲気でした。上演前のお話もわかりやすくて面白かったですし、狂言は会場からも大きな笑い声が起こってい…

パリピ孔明

留学生の通訳クラスで、自分のおすすめ本を各自が中国語で紹介し、それをみんなで日本語に逐次通訳するという授業をやっています。先日紹介を担当してくれた学生の取り上げた本は『パリピ孔明』(中国語の題名は《派對咖孔明》)でした。三国志に登場する軍…

写真うつりが桁違いだって

コロナ禍も明けた(と考えたい)今年の夏は、三年ぶりに旅行へ出かけたいと計画を立て始めました。予算的にはそんなに余裕はないですけど、身体の衰えを日増しに感じている昨今、行けるうちに行っておかないと、あとから後悔しそう。というわけで、また台湾…

お芝居の台本書き

留学生の箱根遠足、二日目のきのうはあいにくの雨、それもかなりの土砂降りになってしまいました。いくつか観光地を巡る予定でしたが、ちょっとこの雨では難しいということで予定を大幅に切り上げて東京に戻ってきました。せっかくの遠足なのに、留学生のみ…

文楽研修生ゼロもむべなるかなと思う

きのう山手線の電車に乗っていて、ドア上にあるモニターを眺めていたら、人形浄瑠璃文楽の研修生が今年度は1人も集まらなかったというニュースが流れていました。「今年度の研修が開講できない異例の事態」で、なおも「締め切りを設けず募集を続ける」のだ…

能楽と儺戲

早朝、いつものようにジムでトレーニングしながら台湾の作家・蔣勳氏の講演音声を聞いていたら、中国古代の伝統芸能である“儺戲(nuóxì)”と日本の能楽とのつながりについて話されていて(34分あたりから)、思わずダンベルが止まりました。www.youtube.com…

ピーピング・トム『マザー』

ベルギーのダンスカンパニー「ピーピング・トム」の公演『マザー』を見てきました(ご注意:以下、ネタバレがあります)。『マザー』『ファーザー』『チャイルド』という家族三部作のひとつ。美術館のような病院のロビーのような空間を舞台に、母と娘のイメ…

『孤独のグルメ』総集編

年末年始は、積ん読になっている本とこのときのために買いだめていたり図書館から借りてきておいたりした本を片っ端から読み、文字に疲れてきたら撮りだめておいたテレビ東京の『孤独のグルメ』総集編をちらちらと見て過ごしています。www.tv-tokyo.co.jpこ…

「何かあったのか劇場」について

私の妻は大相撲のファンで、場所中、特に週末の夕刻はチューハイを飲みながらテレビで観戦するのが好きという、まるで昭和のオヤジのような人です。その彼女がもうひとつ好きなのが「笑点」。この番組は毎週日曜日の午後5時半から30分間なので、ちょうど大…

小野寺一の気分

今日は文化の日ということで、これから週末にかけてうちの学校でも文化祭というものが開催されます。コロナ禍で数年中止が続いたので学生さんたちもうれしそう。キャンパス内にも以前のような賑わいが戻ってきました。とはいえ、学内でもコロナ感染者の情報…

アグネス吉井

中国語の通訳教材を探してYouTubeの動画チャンネル《一席 YiXi》を見ていたら、日本人のコンテンポラリーダンスユニット「アグネス吉井(Aguyoshi)」のお二人が登壇されていました(映像での登壇という形式だったそうです)。www.youtube.comユニット名は「…

声援や拍手はいらない

いつも拝見しているブログ「オトニッチ」さんでこんな記事を読みました。音楽ライブでの声援や拍手はいらないのではないかというお話です。www.ongakunojouhou.com 観客の声はライブを盛り上げる要素かもしれない。しかしライブの本質ではない。それに気づい…

能とAR・VR

雑誌『現代思想』9月号の巻頭に、情報学研究者のドミニク・チェン氏と能楽師の安田登氏による対談が掲載されていて、その中に興味深い一節がありました。 チェン 例えば『羽衣』の冒頭に「虚空に花降り、音楽聞え……」という一節があって、そこでcluster*1内に…

歌舞伎と拍手

留学生の「日本文化体験」という授業で、ひさかたぶりに歌舞伎を見に行きました。今月、歌舞伎座にかかっている『當世流小栗判官』、市川猿之助氏の主演です。前回同じ企画で見に行ったときは、ちょうど新型コロナウイルス感染症がかなり拡大していたころで…

気になる三人かい…

昨晩は知人に誘われて,落語を聞きに行ってきました。知人は夫妻でチケットを取っていたのですが、お連れ合いが仕事で行けなくなったので「チケットがもったいないし、一緒に行きません?」とLINEが来たのです。落語を聞きに行くのは久しぶりです。場所は初…

留学生の日本語劇

この秋から週に一回、三時間ほどの練習を重ねてきた留学生による日本語劇、いよいよ明日が上演日になりました。ダブルキャストなので、キャストを入れ替えながら四回上演します。きょうは教室を利用して劇場に作り変え、最後のゲネプロをしました。本来なら…

パントマイムと仕舞

パントマイム・アーティストのが~まるちょば氏が『マツコの知らない世界』に出演されていました。tver.jp短い尺ながら、パントマイムの歴史から説き起こし、実演しながらパントマイムの可能性と限界の両方に言及されていて、その分かりやすい話し方とともに…

能楽と劇団四季

先日、夕飯を作りながらテレビをつけていたら、NHKで『サンドのお風呂いただきます』という番組をやっていました。お笑いコンビのサンドイッチマンが様々な家庭のお風呂を体験に行くというこの番組、今回は「特別編」ということで、あの劇団四季の舞台裏に潜…

キャッチーでダンサブルなナンバー

YouTubeでお笑い芸人さんの芸を見るのが好きです。テレビのお笑い番組も昔は大好きだったんですけど、最近はほとんど見なくなりました。当たり前かもしれませんが、テレビという媒体は基本的に老若男女を受け手に想定しているからか、そのぶん「大味」な感じ…

清水邦夫さんのこと

劇作家の清水邦夫氏が亡くなりました。新聞の訃報記事には「若者の苦悩やいら立ちを詩的なせりふで描いて人気を集めた」のように「詩的なせりふ」という言葉が多く見られましたが、私もその詩的な世界に強く惹かれたひとりでした。www.tokyo-np.co.jp ▲写真…

俺の家の話

ドラマ好きの同僚から「面白いよ、まだ間に合うよ」とお勧めされて TVer で見た『俺の家の話』第一話。能楽「観山流」宗家一家のお話で、ところどころに能楽が出てきて確かに面白かったです。www.tbs.co.jp「観山流」というくらいだから観世流の「もじり」か…

バカに絵は描けない

私は学生時代、美術大学の彫刻科で学んでいました。サラリーマンになるのがいやで「俺はアーティストになる!」と息巻き、浪人までして入った大学でした。アーティストになるんですから、当然教職課程も取らなければ就職活動にも無関心でした。けれど一年、…

ドラマ『路』で感じた「物足りなさ」

録画してあった日台共同制作のテレビドラマ『路 ルウ〜台湾エクスプレス〜』を見ました。高鐵(台湾新幹線)の建設当時、つまりこのドラマの時代背景よりほんの少し前に、私も台湾の別の建設現場で働いていたので、なんだか懐かしい思いにひたりました。www.…

別役実さんのこと

今朝の新聞で、劇作家・別役実氏の訃報に接しました。別役氏といえば日本における「不条理演劇」の代表的な作家。そも「不条理」という言葉を知ったのも高校時代に別役氏の演劇に接してからでした。確か高校の演劇部が文化祭が何かで上演していた「死体のあ…

留学生による日本語劇

秋に入り、文化祭の季節がやってまいりました。私が奉職している学校のあるキャンパスでも、学生さんが様々なイベントを行います。このキャンパスは大学院・大学・専門学校の複合施設なのですが、私が担当している専門学校の、通訳や翻訳を中心に日本語を学…

華人留学生の頭がなかなか「日本語モード」にならない

職場で私が担当している学科には約80名ほどの留学生がおりまして、そのうちの半分が英語と日本語で、残りの半分が中国語と日本語で、通訳や翻訳やビジネスなどを学んでいます。「英日クラス」の留学生に英語の母語話者は少なく、大半が第二言語として英語を…

能楽の「現場性」について

娯楽のジャンルが多岐にわたる現代。それも家から一歩も出なくたってネットで何でも済ませられるこの時代に、わざわざ数少ない能楽堂に足を運び、そこそこなお値段のチケットを買って、三時間も四時間もそこに座り、必ずしもすべてが理解できるわけではない…