インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

デカローグ

きのうは久しぶりに仕事が入っていない土曜日だったので、小田急梅ヶ丘駅近くのお店に髪を切りに行きました。切り終わったらもうお昼前で、下北沢に移動して「ほうとう」みたいに太い麺が独特な塩味のワンタン麺を食べました。

初台にある新国立劇場の、昼公演のチケットを買ってあったので、下北沢→初台をどうやって移動しようかなと考えたすえ、小田急線の参宮橋駅で降りて歩くことにしました。Googleマップによれば、15分くらいでたどり着けそうです。

Googleマップが指示するとおりの道を歩いていたら、こんなおもしろい路地に導かれました。ここを通るのはおそらく一生のうちでこれが最初でかつ最後なんだろうなと思うと、道端の草花もいとおしく思えてきます。

遊具がひとつもない、周辺の住民から忘れ去られたような公園を横切りながら、劇場に到着しました。甲州街道をわたるのには地下道を使いました。京王新線初台駅から直結しているこの出口から新国立劇場の小劇場へ向かうと、雰囲気がにわかに劇場っぽい雰囲気へと変わるので好きなのです。

観たのは、ポーランドの映画監督による原作をもとにした十篇の連作が順次上演されている企画の、第一話と第三話です。先日第二話と第四話も観たのですが、いずれも静謐な雰囲気の中で繰り広げられる人間ドラマで、身じろぎもせずに観終えたものの……登場人物の誰にも感情移入できずにどこか突き放した視線で観ている自分を発見して、ちょっと戸惑いました。

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久しぶりの現代演劇の観劇だったので、演劇の様式や作法に自分の心身が慣れていなかったのか、それともワルシャワのとある団地に住む人々を描いているのに俳優の言葉と身体が完全に日本のそれだったからなのか(それを言い出せば翻訳劇は存在できなくなるのですが)。むかし演劇を観たおしていたころには、そんな感情が湧いたことなどまずなかったはずなのに……と、自分の変化にうろたえながら帰路につきました。