インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャーにゃんの非正規雇用観

数日前の東京新聞に、2008年の「年越し派遣村」を回顧した記事が載っていました。www.tokyo-np.co.jp1986年に施行された「労働者派遣法」では、通訳者など13業務がその対象になり、2003年の法改正では原則として最長1年とされていた期間制限が最長3年に緩…

しまじまの旅 たびたびの旅 84 ……門司港の天麩羅屋さんと焼き芋屋さん

帰省するときはいつもスターフライヤーを使っているのですが、この十月から北九州・台湾間へ就航したのを記念してか、機内のビデオ放送で北九州観光の特別番組をやっていました。歌手のジュディ・オング(翁倩玉)氏が案内する、中文字幕つきの門司港近辺ガ…

しまじまの旅 たびたびの旅 83 ……薄味のとんこつに癒やされる

年末の帰省ということで、北九州市にやってきました。帰省でいちばん楽しみなのは家族に会うこともさることながら、本場のとんこつラーメンを食べることです。今回も北九州空港から実家に向かう途中で、もうお目当ての一軒に寄ってしまいました。帰省して食…

ZOZOの社長にぜひ能面を買っていただきたいです

先般、ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOの社長、前澤友作氏が1717年製ストラディヴァリウスのバイオリン「Hamma(ハンマ)」を購入したというニュースが流れていました。www.huffingtonpost.jp購入金額は明らかにされてい…

「エスカレーターで歩かない」をめぐって

先日の東京新聞、宮子あずさ氏の「本音のコラム」で、二列で乗るエスカレーターの片側を空けるか否か問題が論じられていました。宮子氏は、空けるべきではなく二列で止まって乗るべき、と主張し、その理由として片側を空けて歩けるようにするのは「強者の論…

ピダハン

ダニエル・L・エヴェレット氏の『ピダハン』を読みました。ブラジルアマゾンの奥地に住む少数民族・ピダハン族の言語を、30年近い歳月をかけて調査してきた記録です。 ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観言語を構成する音素が約10個と極端に少なく…

そんなに出世したいですか?

日経ビジネスオンラインで、CMプランナーの岡康道氏とコラムニストの小田嶋隆氏がメインのトーク記事を読みました。「人生の諸問題」というコラムで、長年楽しみに読んできた記事です。今回が一応の最終回とのこと。おお……。business.nikkeibp.co.jp今回の話…

女子会にひとり混じるのが楽しい

忘年会シーズンです。が、ここ数年はほとんど忘年会や新年会のたぐいに参加しなくなりました。私が人付き合いの苦手なあまのじゃくだからじゃなくて、仕事関係で忘年会に呼ばれることがほとんどなくなったのです。これは全くエビデンスのない妄想ですが、語…

「明るくて清潔」な未来を信じてる

初冬から次の年の二月頃までにかけて、四月入学の留学生の入試面接を担当することがあります。その中で、なぜ日本語を学びに留学しようと思ったのかと尋ねると、華人留学生のかなり多くの方が答える第一番目の理由は「子供の頃から日本のマンガやアニメを見…

「二人になるのを避ける」理由について

先日の東京新聞朝刊に「『#MeToo』に萎縮する男たち」という特報記事が載っていました。いわゆる「ハラミ会(「ハラスメントを未然に防ぐ会」という、男性だけの飲み会)」や「ペンス・ルール(妻以外の女性とは二人きりで食事をしないという、ペンス米副大…

中年になってからの歯列矯正

私は40歳を過ぎてから「歯列矯正」をしました。ときどき人から「中年になってもできるの?」と聞かれることがあるので、簡単にまとめてみようと思います。 歯列矯正は子供がするもの? 私もかつては、歯並びを直すというのは成長過程にある子供の頃だけの話…

頑迷な老人にならないために

若い頃、頑迷な老人が大嫌いでした。今でも苦手です。むかし取った杵柄をいつまでも後生大事に抱え込んでいて、新しい知識のアップデートを怠っていて、時代と激しくずれている方。しかもそういう方が権力を持っていたりするともう目も当てられません。でも…

「どゆこと?」を生まないシンプルさがほしい

先日、都営大江戸線の新宿駅改札を通りかかったら、東南アジアからと思われる観光客のご夫婦に遭遇しました。券売機の前で困ってらっしゃる様子だったので、簡単な英語でお手伝いしたのですが、確かにこれは困るでしょうねえ、と思いました。お二人は地下鉄…

干し鱈とジャガイモのグラタン

Amazonで「干し鱈」を買いました。開いた鱈を塩漬けにして乾燥させたもので、韓国料理で使われる「プゴ」(でしたっけ?)とかポルトガル料理で使われる「バカリャウ」などが有名ですが、日本でも作られているんですね。こちらは北海道産で、半生っぽい感じ…

語尾上げの殺意

劇作家の永井愛氏に『ら抜きの殺意』という戯曲があります。これは「来れる(来られる)」「食べれる(食べられる)」のような「日本語の乱れ」を題材にした傑作喜劇です。こちらの記事で詳しく解説されています。business.nikkeibp.co.jp私自身は「ら抜き言…

広場ダンスと忠字舞

先日、通訳訓練のひとつ「サマライズ(要約)」の授業で、こんな興味深い動画を使ってみました。中国のお年寄りがどうして「廣場舞」に興じるのかについて、「廣場舞」のドキュメンタリー映画を撮った監督さんが解説をしています。youtu.be中国語の「廣場舞…

フィンランド語 32 …第四不定詞(動名詞)

教科書は新しい課に入って、第四不定詞が登場しました。これは動名詞のことだそうです。動名詞といえば動詞に「~(する)こと」をつけるイメージですが、まずはこの文章。 On hauska opiskella. 勉強することは、楽しい。 三人称単数の olla 動詞である「on…

「イデオロギッシュさん」の復調

私、台湾の離島を旅するのが好きでして、これまでにいろいろなところに行ってきました。台湾人の友人や留学生からは「どうしてまた?」と聞かれるんですけど、ひなびた漁村の風情や360度誰もいない景色などがなんとも素敵なんですよね。バイクを借りてゆっく…

イベント参加者の不思議な行動

勤めているいくつかの学校では、受験希望者のための説明会や体験レッスンや公開セミナーのようなイベントによくかり出されます。生まれついての大声と「香具師みたい」と評される話し方がみなさまの印象に残る私の特徴のようで、どこの学校でも「こいつに客…

中国語の感嘆詞や語気助詞に萌える

中国語には「感嘆詞(かんたんし)」(これは諸外語にありますが)や「語気助詞(ごきじょし)」というのがありまして、これは主に文頭や文末に短くついていろいろな意味やニュアンスを表す言葉です。日本語の「あらっ?」とか「おおっ!」とか、「~してく…

『82年生まれ、キム・ジヨン』が問いかけるもの

東京医科大学の入試不正、とりわけ女性や浪人生への差別的な扱いがほかの大学でも行われていたのではないかという疑惑が広がっていますが、昨日は順天堂大学が謝罪会見を行っていました。www.nikkei.com「入学時点では女子の方がコミュニケーション能力が高…

ネットでピアノを学ぶ

『ゴルトベルク変奏曲』のアリアを死ぬまでに弾けたらいいなと思って、ピアノの先生を探しているのですが、なかなか「ご縁」に恵まれません。最初に、うちの近所でやってらっしゃる個人の先生宅に体験レッスンを申し込んで行ってきたんですけど、先生は何だ…

総合週刊誌の広告に眩暈を覚える

今朝の新聞を読んでいたら、紙面の下三分の一ほどを占めるスペースに『週刊ポスト』と『週刊現代』の広告が載せられていて、眩暈を覚えました。縦横に交錯する大量の見出し文字に眩暈を覚えたというより(まあ、それもありますが)、その見出しの内容に、そ…

無駄な資料作りをやめたい

先日の日本経済新聞に興味深い記事が載っていました。「ロボットと競えますか」などと扇情的なわりにあまり的を射ていない見出しですが、この記事で重要なポイントは、今ある業務が自動化される・できる割合を国別に比較した場合に、主要国の中で最も高い割…

「邯鄲」の楽におけるドラマツルギー

中国の河北省に邯鄲(かんたん)という都市があります。秦の始皇帝の生まれた場所としても有名ですが、日本ではなんと言っても「邯鄲の夢(邯鄲の枕)」の故事でよく知られている街です。私は昔一度だけ「ほとんど通過」したことがありますが、それほど際立…

留学生の同時通訳実習

昨日は留学生の通訳クラスで、講演会形式で同時通訳の実習を行いました。うちの学校には同通ブースつきの立派な「国際会議室」なる部屋がありまして、その施設を使っての訓練です。 講演をしてくださる講師を外部から招き、「容赦のない」日本語で通常通りの…

違う人々に対する耐性のようなもの

先日、同僚から「中国人職員と内線電話で話した後に、いきなりガチャッと切られるから、ちょっと傷つく」みたいなことを言われました。なるほど、そうですか……まあ確かに、日本の多くの方がやるみたいに、そおっと、間を置いて、できれば先方より遅く受話器を…

だから私は恐がられる

昨日「なまはげ」や「パーントゥ」のような、人々から恐がられる異形の神々のことを書いたんですけど、かくいう私も昔から人に異様に恐がられます。もともと面相が「強面(こわもて)」で「厳つい(いかつい)」ということもあるのでしょう。歳を取った最近…

異形の神たちにひかれる

Charles Frégerという方の『Wilder Mann』という写真集がありまして、これはヨーロッパ各地の祭りに伝わる「異形」の仮装姿を集めたものなんですが、その土俗的な意匠の美しさに思わず引き込まれます。 WILDER MANN (ワイルドマン)こちらにはCharles Fréger…

「歩留まり」の悪い教育

中国文学者の高島俊男氏が、ご著書で「教育とは歩留まりの悪いもの」とおっしゃっていました。どのご著書だったのか、手持ちの蔵書にあたってみるも、結局見つけられなかったのですが。「歩留まり」だなんて、まるで学生さんたちを生産ラインに並ぶ機械の部…