インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

2024-01-01から1年間の記事一覧

ちょっと勇み足だったかもしれない

しつこいようですが昨日にひきつづき、アン・モロー・リンドバーグの名言とされる「人生を見つけるためには、人生を浪費しなければならない」の出典が見つからない件……といいますか、どなたが “One must lose one’s life to find it” を「人生を見つけるため…

「人生を見つけるためには、人生を浪費しなければならない」の出典をめぐって

先日このブログで、山口周氏の『ビジネスの未来』に引用されていたアン・モロー・リンドバーグの言葉をご紹介しました。山口氏はこのように書かれています。 大西洋単独無着陸飛行にはじめて成功したチャールズ・リンドバーグの妻であり、また自身も女性飛行…

デヴォンとコーンウォール

オンライン英会話で「こないだイングランドの南西部、デヴォン州とコーンウォール州を旅行しました」と言ったら、講師の先生がそのデヴォン州はプリマス出身の方だったので、そこから先生の「ふるさと語り」が止まらなくなりました。も〜、こちらにぜんぜん…

“台湾素食”は不健康なの?

台湾へ旅行したとき、よく利用するのが“素食”です。“素”は食事について使う場合「菜食」(反義語は“葷”)のことで、仏教などの宗教的な理由で、あるいは健康食として、あるいはエコロジカルな観点から、さらにはアニマルライツのような思想信条でこの食事を…

魯迅の短篇に打ちのめされる

同僚の講師から一冊の本を手渡されました。魯迅の『吶喊』です。1988年発行の人民文学出版社版。いまとなってはかえって斬新にさえ思える、いたってシンプルな装丁の薄い一冊です。もともと私の妻が持っていたもので、ずいぶん前に同僚の講師にお譲りしてい…

なぜ "aren't I" なの?

いつものように朝の通勤電車でスマホのDuolingoをやっていたら、連続記録が3000日になっていました。私はおもに英語を練習していますが、この間Duolingoはたびたび仕様が変わり、カリキュラムも何度か大幅に動いていて、こうやって8年近く取り組んでいても…

ミュージカルはコンサートなのだ

先般ロンドンに行った際、というかほとんど「通過」したようなものですが、ウエスト・エンドでミュージカルを見ました。私はこれまでミュージカルというものを数えるほどしか見たことがなくて、しかもそのほとんどがどこか消化不良という感じでした。演劇は…

コスパやタイパは禁句にしたい

いわゆる自己啓発本と呼ばれる書籍や、ビジネス系のWebメディアなどを読んでいて、仕事選びとかキャリア形成に関する話題になるとよく引用されている理論があります。心理学者のジョン・クランボルツ氏が1999年に発表した「計画的偶発性理論」です。その理論…

筋トレとダイエットと「あすけん」

ここ6〜7年ほど、ジムでのトレーニングを継続してきました。トレーニングを始めたきっかけは、中年から初老とよばれる歳にさしかかって顕著になってきた身体の不調です。肩凝りに腰痛、さらには昼間の眠気や膨満感など、男性版更年期障害とでもいうべき不…

若いうちに旅を

若いうちにもっと旅をしておけばよかったと思います。それこそ借金してでもあちこちへ行っておけばよかった。でも現実はそううまくいかないもので、若い頃はお金と時間がなくてなかなか旅へ行けず、歳を取ってみたらお金と時間にはいくぶん余裕ができても、…

台湾で髪を切る

台湾の男性の髪型を観察していると、「刈り上げ」のスタイルが多いことに気づきます。いわゆるツーブロックみたいな方もいますし、サザエさんのタラちゃん風な方もいますし、とにかくサイドを人によってはかなり上の方まで短く刈り上げてらっしゃる。やっぱ…

イギリスのパブ

歳を取って以前ほどお酒を飲めなくなりました。一生ぶん飲み尽くしたからもういいやとお酒を飲まないでいた時期もありましたが、旅行先ではやっぱり地元の酒場に行ってみたくなります。イギリスといえばパブが有名ですが、最初はなんだか入りにくそうな雰囲…

イギリスでの運転

今回はヒースロー空港のBadgetで車を借りました。ネットでの検索によれば、借りる際に保険のオプションなどいろいろと「営業」がたくましいとの情報を得ていましたが、“special offer” と称してオートマ車を勧められたくらいで特にしつこい勧誘などはありま…

モールバンヒルズ

カズオ・イシグロに『夜想曲集』という短編集があって、副題が「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」となっています。その名のとおり、なにがしか「音楽」の要素が物語にからんでいてそれは分かりやすいのですが、「夕暮れ」のほうはもう少し読み込まないとそ…

河口と桟橋

イングランド南岸の街プリマスから、同じく南岸の街ウェイマスに移りました。プリマスってどこかで聞き覚えがある地名だと思っていたら、かつて新大陸を目指した人々がこの街から出港したんですよね、たしか。清教徒、ピューリタン、ピムグリム・ファーザー…

地の果てとセレブ御用達

イングランドの最西端、コーンウォール州は「独自の文化や言語、帰属意識を持った地域であり、イングランドの他の地域とは趣を異にしている(Wikipedia)」のだそうです。その独自性を誇るかのように、黒地に白十字というコーンウォールの旗をあちこちで見か…

僥倖と災難

イングランド南西部への自動車旅行、その三日目にスティーブンスはデボン州タビストック近郊の個人宅に泊めてもらうことになります。ガソリン切れというアクシデントに見舞われて絶望しかかったところ、偶然近くの村に住むテイラーという親切な男に出会い、…

教会から荒野へ

スティーブンスは旅の二日目から三日目にかけて、サマセット州トーントンに立ち寄っています。あ、スティーブンスというのは、カズオ・イシグロの小説『日の名残り』の主人公で、ご主人様から休暇をもらい、さらにご主人様の立派なフォードまで貸してもらっ…

お勧めに従う

『日の名残り』のスティーブンスはイングランド南西部への旅に出た二日目の午後、ドーセット州のモーティマーズ・ポンドという美しい池に出会います*1。車のラジエーターの水が切れかかっていたことに端を発して、助けを求めたお屋敷の「従卒」に勧められて…

お屋敷と田園風景と大聖堂

イギリスの作家、カズオ・イシグロのブッカー賞受賞作である『日の名残り(The remains of the day)』。かつてダーリントン卿に仕えた執事のスティーブンスが、現在のご主人であるアメリカ人の「ファラディ様」から休暇を取って旅行をするようにと勧められ…

ブレッチリー・パーク

ブレッチリー・パークといえば、第二次世界大戦時にドイツ軍のエニグマ暗号を解読したアラン・チューリングが勤務していた場所として有名です。現在は映画『イミテーション・ゲーム』でも描かれていた暗号解読について紹介する博物館になっています。web.arc…

思わぬ共通点

ロンドンのテート・ブリテンといえばイギリス絵画の名品が数多く収蔵されていることで有名です。特に「光の画家」とも呼ばれるターナーの作品群が数多く展示されていて、確か昨年「光」をテーマにした展覧会が日本でも開かれていました(私は行けませんでし…

いまも日本語を学んでる?

きのう、オンライン英会話のチューターさんからそう聞かれました。そのチューターさんとは初めてのレッスンだったので、私が自己紹介しながら仕事は語学の教師をしていますなどと話していたら、“I've got a question for you as a teacher of a different la…

NHKの「五輪推し」にうんざり

連日のパリ五輪関連報道にうんざりしています。私はもうずいぶん前からテレビはほぼ報道系の番組くらいしか見ないようになりましたが、その報道系番組もここのところはオープニングからパリ五輪関連、それも日本勢がメダル獲得!的なものが多くて*1、私はた…

お子ちゃま扱い?

同僚の英語講師から聞いたお話。先日市役所へ書類の手続きに行った際、窓口で大声を上げて抗議している外国人がいたそうです。ほとんど警察を呼ぶ必要がありそうなほどの「怒り狂いぶり」だったそうですが、そのきっかけは市役所の職員がその外国人に対して…

緑色のペグマン

このペグマンはなんだろうと思いました。ペグマンというのはGoogleマップでストリートビューを使うときにドラッグしてぽとんと落とす、いつもは黄色いあの人形のことです。ふだん人であふれていて騒がしい東京都心で働いているせいか、ひまなときにはGoogle…

ハンディファンが一挙に普及した

東京は連日ものすごい暑さになっています。この猛暑に耐えかねてか、往来はもちろん電車の中などでも多くの方が「ぶーん」とやっています。いわゆるハンディファンというやつですか。片手に持つタイプやU字型の首かけタイプ、日傘の柄にクリップで固定するタ…

カズオ・イシグロを知らないって

オンライン英会話で、英国人のチューターさんにレッスンを受けるとき、英国のトピックを話すことがあります。まだ英国には行ったことがありません、いちど行ってみたいです、都会は苦手なので車を借りて田舎をめぐりたいです、スコットランドの湖水地方なん…

紙幣を折る

先日、たくさん溜まっていた外国のお金を寄付してスッキリしたところですが、中国の人民元を整理しているときにこんな懐かしいものが混ざっていました。いちばん左は2角紙幣と1角(1角は1人民元の10分の1)紙幣を重ねて三角形に折ったもの、真ん中は2…

外国のお金を寄付する

旅行や仕事で海外へ行った際、現地の通貨を使いきれなくてそのまま持ち帰ってきたものがけっこうな量になっていました。いちばん多いのは中華人民共和国の人民元で、毛沢東の肖像で統一される前の懐かしいお札に加えて、いまではほとんど使いみちがないであ…