インタプリタかなくぎ流

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おかあさんといっしょの魔法

不覚にもちょっと涙してしまいました。NHK+(プラス)の動画『放送65年 おかあさんといっしょの魔法』を見ていたときのことです。この動画は11月6日まで配信されているようですが、おすすめです。


https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024103018650?t=754

NHKの教育テレビなどで放送されている2歳児から4歳児までの子ども向け番組「おかあさんといっしょ」。なんと今年で放送開始から65年になる超・長寿番組なんだそうです。というわけで、その歴史を振り返りつつ番組制作の裏側を紹介したこの動画を見ていると、自分も昔から親しんできた歌や映像が次々に登場して、そのたびにその当時のことをいろいろと思い出してーーそれが涙してしまったひとつめの理由です。

「アイアイ」も「北風小僧の寒太郎」も「パジャマでおじゃま」も「だんご3兄弟」も「にこにこぷん」も「ドレミファ・どーなっつ!」も懐かしいですねえ。そして、きわめつけは3匹のこぶたの人形劇「ブーフーウー」。この人形劇は私が生まれたころちょうど放送されていたんですよね。私、幼稚園に行っていたころブーフーウーのイラストが入ったメラミン樹脂のお茶碗を使ってましたもん。

ブーフーウーの脚本を書いていた劇作家の飯沢匡氏は「子どもには最高級のものを与えなくてはいけない」というのが信条だったそうです。その志を受け継いで「おかあさんといっしょ」のスタッフが並々ならぬ工夫と努力を重ねていることがこの動画から伝わってきてーーそれが涙してしまったふたつめの理由です。

子どもたちをスタジオに集めて収録する際には、まだ親御さんから片時も離れることができないような状態の子どもたちからいかにして不安を取り除くかに心を砕き、収録中やその前後には子どもたちが絶対に怪我などしないようにこれまたさまざまな配慮を行い、踊りの際には子どもたちがどこを見ていても振りつけがわかるようにスタジオのスタッフが総出で一緒に踊り……とにかくいい番組を作ろうという熱量が半端ではないのです。

そんなスタッフの熱量にもかかわらず、それでもやっぱり収録中には自由気ままに動き回って歓声を上げる子どもがそこここに。そうそう、これくらいの年齢の子どもって、とにかく手を焼くというか御しがたいんですよね。でも、そんなフリーダムきわまりない子どもたちも暖かく取り込んで、あの番組の画面の空気ができあがっているんだなあとしみじみ感じ入りました。

そして動画の最後で、子どもたちと一緒に番組を見てきた親御さんたちからのメッセージを、出演されている方々が読むところでまた涙。う〜ん、歳を取ってちょっと涙もろくなってきたかなあ。

放送開始から65年。私などついつい「おかあさんといっしょ」という番組名はそろそろ時代と合わなくなってきたんじゃないかなと思ってしまうのですが、実はすでに「おとうさんといっしょ」という番組もあるんですね。テレビで「おかあさんといっしょ」を見た記憶ははるかかなたの昔のことですが、もう一度見てみようと思います。この動画で舞台裏を知ってしまったので、また涙なくしては見られないかもしれません。