インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

デヴォンとコーンウォール

オンライン英会話で「こないだイングランドの南西部、デヴォン州とコーンウォール州を旅行しました」と言ったら、講師の先生がそのデヴォン州はプリマス出身の方だったので、そこから先生の「ふるさと語り」が止まらなくなりました。も〜、こちらにぜんぜん話させてくれないの。その点でレッスンとしては「はずれ」でしたが、でもそのぶん興味深いお話をたくさん聞くことができました。


Devon and Cornwall's Great Scenic Railways

パスティ」(ミートパイみたいな具入りのペイストリー)は食べたかと聞かれたので、「コーニッシュコーンウォール州の)パスティを食べました」と答えたら、いやいや、何を言っている、パスティはデヴォンのほうが元祖なんだ、だいたい生地の閉じ方が違ってだな、デヴォンのは楕円形で真上を閉じるがコーンウォールのは半円形で端を閉じてあって、包んである具も……とまあ、熱く語っておられました。

また「クリームティー」は楽しんだかと聞かれたので、「フラットホワイト(エスプレッソコーヒーにミルクを加えたもの)なら飲みました」と答えたら、いやいや、何を言っている、クリームティーはスコーンと紅茶のセットだ、ジャムとクロテッドクリームを必ず添えてだな、デヴォンではふたつに割ったスコーンの上にまずクロテッドクリーム、しかるのちにジャムを載せるが、コーンウォールではジャムの上にクロテッドクリームだ。もちろんデヴォン式のほうがおいしいがな……と、これまた熱弁。


Top 5 places to enjoy a traditional Devon Cream Tea | Coast & Country Cottages

ミルクティーの楽しみ方で「ミルクが先派」と「紅茶が先派」がいるというのは聞いたことがありましたが、スコーンの食べ方にも地域によってこだわりがあるんですね。ネットで検索してみたら、こんな記事が見つかりました。もっともこの記事では “While it doesn't necessarily affect the flavor of the cream tea, it's simply the order of the ingredients that are different.(単に材料の順番が違うだけで、クリームティーの味に影響するわけではない)” といたって冷静ですけど。

www.thespruceeats.com

……にしても、これもネットで調べたところによると、デヴォン州は6707平方kmでコーンウォール州は3563平方kmだそうですから、いずれもそれほど大きな地域ではありません。二つの州で千葉県と埼玉県と東京都を合わせたくらいの大きさなんです*1。それにプリマスはデヴォンとコーンウォールのちょうど州境にある港町なんですけど、それでもやはり「わがふるさと」に対する思いというのは並々ならぬものがあるんですね。

このプリマス出身の先生は現在お仕事でトルコにお住まいだそうで、デヴォン愛を熱く語り倒したあと “You're making me homesick.(君のせいでホームシックになっちゃったよ)” とおっしゃっていました。

*1:千葉県5156平方km・埼玉県3797平方km・東京都2194平方km。「47都道府県面積ランキング」より。