今回はヒースロー空港のBadgetで車を借りました。ネットでの検索によれば、借りる際に保険のオプションなどいろいろと「営業」がたくましいとの情報を得ていましたが、“special offer” と称してオートマ車を勧められたくらいで特にしつこい勧誘などはありませんでした。
マニュアルの軽自動車を予約しておいたのですが、カウンターで“small car”ですねと確認されたのを“smorker”と聞き間違えて「いえ違います、禁煙の車で……」と答えて笑われました。車はフィアットの500(チンクチェント)でした。もちろんモデルチェンジ後の新しいタイプですが、おかげで運転中、特に田舎を走っているときは『ルパン三世 カリオストロの城』のテーマソング『炎のたからもの』が頭の中に繰り返し流れていました。
イギリスは日本と同じ左側通行なので運転は特に難しくはありませんが、交差点にはヨーロッパで多く見られるロータリー(ランドアバウト)式のものが多いので、そこだけルールを知っておく必要があります。基本的にはロータリー内に入っている車が優先、つまり右から来る車があればゆずるのですが、けっこう乱暴なドライバーもいて、まごまごしていてクラクションを鳴らされたことも何度かありました。このロータリー式は信号がなくてもスムーズに車が流れるので、フィンランドで乗ったときも便利だなと思いましたが、日本で普及しないのはなぜなのかしら。
今回はとにかくのんびり田舎ばかりを回りたかったので、モーターウェイと呼ばれる高速道路はなるべく使わないようにしていたのですが、一般道でもみなさんけっこうスピードを出しているようでした。対面通行の細い道でも、ときに時速60マイル(≒時速100キロ)くらいで流れていることがあって、これはかなり危ないと感じました。
車を借りる際に保険にはきっちり入っているとはいえ、海外で事故を起こすのは恐いしとても面倒なので(特に外語でのやりとりが)、私としては極力ゆっくり走りたいと思っています。でも追い越し車線のない田舎の細い道などでも後ろから煽り気味についてこられるので、時々ウインカーを出して路肩に停まったり、脇道に入ってやり過ごしたりしていました。後続車から「はやく行け」とパッシングされたり、窓から手を出して合図されたりしたことも何度かありました。
そうやってとにかくみなさんスピードを出すせいか、とくに田舎では車にはねられた野生動物が路上にかなりたくさん見られました。かわいそうなのではっきりと見ていませんが、おそらくウサギやリスなどの小動物だと思います。なぜかハトやカラスみたいな鳥もけっこうひかれていました。スピードが速くて飛び立つのが間に合わないのかな。動物が横切るので注意、みたいな交通標識もいろいろと見かけました。これは何でしょう、モグラに注意とか?
あと田舎道では路上に馬糞がたくさん落ちています。馬に乗っている人もときどき見かけました。あれは掃除しているのかどうかは分かりませんが、どうやら乾燥して風に飛ばされるのに任せている感じがしました。
それから田舎道はときにものすごく狭い、というか車一台がようやく通れるような道も多くて、そのたびに「慎重に!」と自分に言い聞かせていました。自損事故も起こすと面倒なので。
そんな細い道で対向車がきた場合は、路肩にわずかにあるスペースなどに寄ってゆずりあいます。このへんはみなさんとても慣れている感じで、すれ違うときに必ず手を上げてお礼をするのがエチケットみたいでした。街中の道でも路上駐車が多いため、そうやってゆずり合う場面がかなり多いです。
そういえば、郊外の道ではビュンビュン飛ばしている車も、街中に入るとけっこうゆっくりになるという印象でした。メリハリがきいているといえばいいのか。街の中心部では速度を落とさせるためのいわゆる「バンプ」がけっこう多いからという理由もあるのかもしれません。
給油はすべてセルフ方式でとても簡単でした。空いているところに車を止めて、油の種類を間違えないようにノズルを選んで、給油が終わったらたいがいコンビニみたいになっているお店のレジでポンプの番号を告げて、カードで払っておしまい。
今回はイングランド南部をロンドンからコーンウォールまで、あちこち寄り道しながら行って戻って、合計1200kmほどを走りました。とにもかくにも、無事故で車を返すことができて本当によかったです。返すときはガソリン満タン返しで、レンタカー会社のスタッフがざっと車の周囲を点検しておしまいでした。
田舎ばかりをのんびり(煽られるのでのんびりばかりもしていられませんでしたが)運転するのは本当にいいものです。つぎに機会がまたあったら、こんどはスコットランドを車で回ってみたいです。