インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

留学生の日本語劇

この秋から週に一回、三時間ほどの練習を重ねてきた留学生による日本語劇、いよいよ明日が上演日になりました。ダブルキャストなので、キャストを入れ替えながら四回上演します。きょうは教室を利用して劇場に作り変え、最後のゲネプロをしました。

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本来ならばこの日本語劇は学園全体の文化祭で行う予定でしたが、コロナ禍に見舞われてからこちら、こうした大規模な催事はすべて中止になっています。それで内輪の発表会みたいな形で、観客席も大幅に間引いてやらざるを得なくなりました。身内ではないお客さんがたくさん詰めかけることで演技にも熱が入るのでこの点残念ですが、致し方ありません。

以前にも書きましたがこの日本語劇は、留学生の日本語がまだ「発展途上」だからという理由で童話のような平易な内容にする……「のではない」というのを課題のコンセプトにしています。

これは留学生の知的好奇心に応えたものでもあります。たしかに日本語は発展途上かもしれないけれど、ひとりひとりの中にある価値観や世界観はすでに大人のそれであり、そんな大人の留学生のみなさんに「おゆうぎ」のような出し物をやらせるなんて、そしてそれを見て「よくできました」「日本語が上手になったね」などと当たり障りのない感想を返すなんて、失礼じゃないかと。

そうではなくて、容赦ない日本語で書かれた容赦ないセリフを肉体化するまで練習して上演するのです。もちろん留学生ひとりひとりには、こうした課題に対する積極性の濃淡はあります(入学試験時にこうした課題が必修であることを伝え、納得してもらってはいても)。それでも周りの熱心な学生に影響を受けて、徐々に自分の殻を破りつつある人が少なからずいます。

ここまでいろいろな方法で指導なり助言なりをしてきましたが、ここまで来ればもうあとは留学生のみなさんの「器量」に任せるしかありません。明日の本番が楽しみです。圧倒的な日本語の力で、文字通り観客を圧倒してほしいと思います。入場無料です。D館38教室でお待ちしております。

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