インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

小野寺一の気分

今日は文化の日ということで、これから週末にかけてうちの学校でも文化祭というものが開催されます。コロナ禍で数年中止が続いたので学生さんたちもうれしそう。キャンパス内にも以前のような賑わいが戻ってきました。とはいえ、学内でもコロナ感染者の情報は少しずつ伝わってきているので、引き続き注意は必要です。私が担当している留学生クラスは恒例の日本語劇を上演するのですが、演出効果を犠牲にして全員マスク着用で演じます。上演の合間は換気も十分に行って……まあ、仕方がないですね。

毎年書いているような気もしますが、今年も日本語劇の初日をようやく迎えられた……とほんの少しだけ安堵しています。通訳訓練の一環として毎年行っている、留学生による日本語劇ですが、入学時に演劇訓練があることを伝え、同意の上で入学してもらってはいても、夏休み明けに稽古を始めるときにはほとんどの人が「やりたくなさそう」な雰囲気を醸し出しています。

それでもこの授業の意義を伝えつづけ、日本語のセリフの意味を解説し(台本は私が書きました)、発音や発声の訓練につきあい、助詞や文法の細かな異同を伝え、演技指導では率先垂範ってことで演技をやってみせ(もう年齢的にツライ)……でも、なおも「笛吹けど踊らず」。ここで愚痴っても詮無いことですが、やる気の薄い人を鼓舞し続けるのってかなり体力を使います。

先週からは教室を舞台を作りかえ、ようやく前日の昨日になって衣装をつけたころから留学生のみなさんも本気になってきました。エンジンかかるの遅すぎ〜。でもまあ、かなりいい仕上がりになりました。

ともあれ、今日からの本番は私、もう何もいいません。マンガ『ガラスの仮面』で、劇団オンディーヌの演出家・小野寺一が『奇跡の人』の舞台袖で、姫川歌子(姫川亜弓の母上)に「舞台の上は役者のものだ」とかなんとか言う(北島マヤの演技に振り回されつつあった姫川歌子が、稽古とは違う演技を試したいと申し出た末のこと)のですが、そんな心境です。

【追記】

学生の中から新型コロナ陽性者が出てしまったので、11月4日の上演はすべて中止となってしまいました。観覧ご予定のみなさま、大変申し訳ありません。


D館の「D38」教室です。

  世界三大料理 通訳機械の反乱
11月3日(木) 11:00/13:50 13:00/14:40
11月4日(金) 10:00/13:00 11:00/14:00

http://www.bunka.ac.jp/contents/2019bunkasai.pdf

https://www.irasutoya.com/2019/06/blog-post_75.html