インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

俺の家の話

ドラマ好きの同僚から「面白いよ、まだ間に合うよ」とお勧めされて TVer で見た『俺の家の話』第一話。能楽「観山流」宗家一家のお話で、ところどころに能楽が出てきて確かに面白かったです。

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「観山流」というくらいだから観世流の「もじり」かしらと思ったら、果たしてWikipediaによると観世流の浅見慈一師が能楽指導をされているよし。ドラマの途中で能『羽衣』の謡が出てきましたが、あれも観世流の謡なんでしょうね。

それは天人の羽衣とて/たやすく人間にあたふべき物にあらず

観山家の茶の間でみなが一斉に『羽衣』の謡をうたう場面。介護ヘルパーの志田さくらが「急に呪いの儀式が始まったのかと……」とおののいていると、長女の長田舞が「羽衣よ。お能の演目。アンタそれでも日本人?」とたしなめるのですが、おお、これはいいなあと思いました。能楽を「お能」というのも「業界っぽい」ですし、羽衣くらい知ってて当然の一般常識でしょと手厳しいところもまた。

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能楽宗家の長男として生まれながら父親に反発してプロレスラーになったものの、全盛期を過ぎたところで父親が倒れたため実家に戻ることになった主人公の観山寿一。典型的な“浪子回頭(放蕩息子の回心)”の物語です。これは聖書にも出てくるくらいの古典的な説話形式ですけど、それが現代の介護や相続や、そして能楽の要素と絡んでどう展開していくのか、今後が楽しみです。