インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

「常在戦場」ってこういうことかしら

コロナ禍の不安におびえながらも、お能の稽古を続けています。五月に国立能楽堂で発表会がある予定なのですが、その頃感染状況はどんな感じになっているでしょうか。最悪、延期か中止になることもあるかもしれません。あるいは「無観客に」……? 不安の種は尽きませんが、誰にも確たることは言えないわけで、とりあえず稽古を続けているのです。

今回私は、能の地謡を二曲、それに自分の舞囃子で出演する予定です。能は「頼政」と「猩々」。舞囃子は「邯鄲」。一番好きなお能の曲目で、しかも中国物。これを舞うお許しが出るとは思ってもみなかったので、今から緊張しています。

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昨日は「頼政」の地謡のお稽古に行ってきました。このお能はかなり長く、地謡はたぶん板の間の能舞台に一時間半近く正座していなければなりません。謡を覚えて地頭に合わせてきちんと謡えるようにすることもさることながら、足のしびれ対策を考えないと、舞台から捌けるときに動けなくなりそうです。というわけで昨日は、謡の合間に扇を置く際、足を組み替えるなどの練習を一人でしていました。

「猩々」は比較的短いお能なので、足のしびれはなんとかなりそうですが、謡をもう一度おさらいしておかねばなりません。玄人の能楽師のみなさんはすべて謡を覚えてらっしゃるけれど、私のような素人は、かつてきちんと習ったはずなのに、いざ謡おうとすると「うろ覚え」の部分がたくさんあります。それに姉妹と違ってお能として上演する場合にはお囃子が入るので、謡が微妙に違います(囃子に合わせて音を持つ≒伸ばす部分がある)。これも通勤途中に聞きながら身体に覚えさせています。

舞囃子の「邯鄲」はそれほど長くありませんが、途中で舞う「楽(がく)」が少し特殊なのと、最後の「キリ」にいくつか珍しい型が入っていて、まだまだきちんと舞えません。それで鋭意練習中なのですが、昨日の地謡のお稽古で、大先生が急に「ちょっと舞ってみますか」と振ってこられました。おおお。玄人の能楽師はふだんから稽古を積んでいて、「常在戦場」とばかりにいつ何時でもすぐに舞えるように仕上がっているそうですが、素人の我々はなかなかそうも行きません。大先生のこの「無茶ぶり(失礼!)」は、その玄人の心構えを表しているようにも思えました。

ということで、大先生の張扇(はりおおぎ)によるあしらいと、先輩方の地謡で舞いました。一応最後まで舞えましたが、かなり心許なかったです。常在戦場じゃない私は、落ち武者状態で稽古を終えました。

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