新聞に「人生相談」という欄がありますよね。生きていくうえでのさまざまな悩みを、身近にいる人たちに相談できないという方が、基本的には匿名の投書という形で人生の先達(カウンセラーやお医者さんだったり、作家やエッセイストだったり)に打ち明け、回答をもらうというものです。ネットで調べてみたら、読売新聞が1914年に始めた「身の上相談」欄(現在は「人生案内」)がその嚆矢のようですが、東京新聞の前進・都新聞が1906年に始めた「相談の相談」欄が元祖だという説もあるようです。
正直に申し上げると私は、いくら身近にいる人に相談できないからって、一足飛びに多数の人の目に触れる新聞に投書という挙に出ちゃうってのが、あまりよく理解できません。相談者ご自身がそれだけ悩んでいる、切羽詰まっているということなのかもしれませんけど。しかしながら私がそれ以上にこの人生相談欄にいだく違和感みたいなものは「これは本当にお悩みの相談であり、そのお悩みへの処方箋なのだろうか」という点です。
回答者諸氏や新聞を編集されている方々の誠意を無にするようででいささか気が引けるのですが、読者の立場でこの人生相談欄を読むという行為をよくよく考えてみれば、私はそこにある種の「悪趣味」のようなものを感じてしまって……。なんといいますか、人生相談欄には「人の不幸は蜜の味」を地でいくようなところがありません? 他人の悩みを「消費」しているような。
悩んでいる方と回答者の一対一のやりとりにはまだ実質的な意味があるとしても、「アニメグッズ買いすぎる夫」とか「性生活に興味持たぬ妻」とか「食事中にスマホ 息子許せぬ」とか「なにもかもただ面倒くさい」とか「40歳男性 職場の20歳女性に恋」とか「1番になれない小5息子」とかをはたから読む私たちというのはいったいどういう立場なんだろうと。
そんなことはない、同じような悩みを持つ人にとっては福音になるかもしれないじゃないか、だいたいそういう視点のお前がいちばん悪趣味なんだよ、と言われれば返す言葉はないんですけど。……と、ここまでこの文章を書いて、ふと海外にもこういう「人生相談」みたいなコンテンツはあるのかしらと思いました。それで検索して最初にヒットしたのがこちら。
う〜ん、「人の不幸は……」のシンクロにも驚きましたけど、失礼ながら日本以上に趣味悪い感じがいたします。