台湾の留学生が物陰から手招きして「センセ、ええもんありまっせ」と“滷味包”をくれました。だしパックみたいな紙袋に甘草とか八角とか肉桂とか茴香なんかが入っている、“滷味”つまり台湾風のおでんの素みたいなものです。スーハーすると懐かしい台湾のかほりが。たまりません。
それでさっそく“滷味”を作りました。台湾の“滷味”は、たとえば屋台などで、好きな食材を選んでこの“滷味”だしの中でしばし煮込んでもらい、細かく切ったのちお皿に盛り付けてもらってネギなんかを散らして食べる……というB級グルメです。お店によってはすでに十分煮込まれた内臓肉や干し豆腐なんかを前菜というかおつまみ的に出しているところもあります。
いかんせん日本では台湾的な食材のあれこれが手に入りにくいので、スーパーで日本のおでん用の練り物を買いました。あと大根とかちくわぶとかゆで卵とか、見た目は日本のおでんそのものですが、煮込んでいる間じゅう八角や五香粉みないな香りがキッチンに漂っていて、たまりません。八角の香りが苦手という日本の方は存外多いようですから、どなたにもおすすめできるわけではないのですが……。
台湾の屋台では葉物野菜などもこの“滷味”のだしでさっと煮込んで食べたり、あと“科學麵”という即席麺を加えたりして、いずれも私の大好物です。というわけでたまたま冷蔵庫にあったミニ白菜と、あと中華麺の乾麺も放りこんでみました。
日本のおでん風に和芥子で食べてもいいですし、台湾風に“辣醬”をつけてもおいしいです。台湾の高雄でよく食べていた“黑輪(o͘-lián:オレン=日本語の「おでん」から)”的な感じになりました。うーん、たまりません。