先日Twitterでこちらのツイートを拝見して、同感だなあと思いました。あの会議に次ぐ会議がいかにも日本っぽくて、なのに結構テキパキと物事が進んでいくのは逆に日本っぽくなくて、リアルでありながら非リアルなところが小気味よいなと。
『シン・ゴジラ』が公開された時、「会議シーンばかりで全然面白くない!」との批判も出ていたが、テンポ良く切り替わるカット割りや短い時間に膨大なセリフを詰め込んだ”密度の高い会話劇”が映画全体に独特のリズムを生み出していて、「むしろそれが本作の見所だろう」と感じた pic.twitter.com/lf39ErFX7t
— タイプ・あ~る (@hitasuraeiga) December 12, 2020
特にこのツイートに添付されている映像の冒頭、コピー機が何台も据えられるところが日本っぽいですよね。ペーパーレスの声喧しくなってもう随分たつというのに、あまりそれが進んでいないように思える私たちの仕事環境。私も日々資料をコピーしまくっては学生さんに配っていますから、あまりエラそうなことは言えないのですが。
コロナ禍の影響でオンライン授業が増えてからこちら、こうした紙の資料を学生さんに届けるのが結構難しくなりました。うちの学校はオンラインと対面のハイブリッドで今のところ進んでいるので、対面授業で学生さんが登校してきた時を狙って数日先の資料を配ったり、どうしても間に合わないときは郵送したりしています。オンラインなんだからいっそのことペーパーレスを進めればいいんですけど、スラッシュリーディングしてサイトラとか、紙の資料を使ったほうが効果の上がりそうな訓練もあって、なかなか一気に変更できません。
また学生さんの中にはパソコンを持っていない人も意外に多く、プリンタを持っている人はさらに少なく、スマホ画面だけでは資料の一覧性に欠けるので、結局紙の資料や教材に頼ることになります。私は、本音としてはペーパーレス積極支持なのですが、こういう諸々の事情もあって、そう強硬に事を進めることもできません。
この「スマホしか持っていない学生さんが意外に多い問題」、当のご本人たちはいわば「スマホ・ネイティブ」とでも言えるような人たちで、資料読みから資料探し、はてはスライド資料の作成やExcelでのグロッサリー作りまでみんなスマホひとつでこなしてしまいます。老眼の私には想像もつかない世界です。Zoom授業にもスマホで参加し、合間にスマホでゲームをし、音楽を聴き……すごいですね。
しかし、これも先日Twitterで見かけた記事ですが、学生時代はともかく、社会に出たら今のところはまだパソコンを必要とする仕事がほとんどです。なのに学生時代にパソコンに習熟していないため、そういう学生は、パソコンを持っていて使いこなしている学生さんとの格差がどんどん開いていくように思います。また上述した資料の一覧性や(パソコンでも一覧性は低いですが)、検索の自由度などからも、パソコンへの習熟の有無は知識やリテラシーの格差拡大に拍車をかけているような気がします。
毎日学校に通っていれば、まだパソコン教室や図書館などでパソコンを使って勉強することもできるのですが……。コロナ禍は、思いも寄らない意外なところで学生さんたちの学びに影響を与えていると思います。
https://www.irasutoya.com/2014/04/blog-post_8590.html
思いがけないところと言えば、冒頭で書いたコピー機に関して先日、仕事先で興味深い話を聴きました。リモートワークやネット会議で業務がこなされるようになった結果、いまコピー機などのリース会社が苦境に立たされているとのことです。なるほど、みんなpdfなどで共有するようになったらトナーで儲けているコピー機リース業は成り立たなくなりますよね。
さらにこれも先日、髪を切りに行ったお店で聞いたところによると、青山とか表参道とかのおしゃれな街のヘアサロンはお客さんが減っているそう。でも髪はコロナに関係なく伸びるのになぜ……と不思議に思っていたら、みなさん手近な地元のお店に行くようになったのだとか。確かに、都心に住んでいる人は少ないですもんね。これもリモートワークや在宅勤務などの影響なのでしょう。
これまで当たり前に存在していた構図が、気がついたらガラッと変わっている。今回のコロナ禍はそんな側面を持っているんですね。次に来る大きな変化は一体なんでしょう。