インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

Zoomのブレイクアウトルームで資料や映像や音声を共有する

コロナ禍に突入してから数年、これまで追い立てられるようにしてオンライン授業への対応を続けてきました。ようやく感染状況にも出口のようなものが見えかけてきて、現在私の職場ではほぼすべての授業が対面に戻っています。

もとより私は数年の実践で、少なくとも自分が担当しているような実習系の授業についてはオンラインはもうこりごりだと思っている(理由についてはこのブログに散々書いてきました)クチです。なので、いまさらこんなことを書くのも何ですが、Zoomに新装された機能がけっこう便利だったので備忘録的に残しておくことにします。それはブレイクアウトルームで映像や音声を共有できるという機能です。

これまでは、授業に参加している学生さんたちをブレイクアウトルームに分けてしまうと、ホストである私はポツンと取り残されたような状態になっていました。それで各ルームを順番に巡回していくことになるのですが、これが結構めんどくさい。そしてブレイクアウトルームを終了するときは文字によるチャットでアナウンスを送る以外にコミュニケーションの方法がないのも不便だなと感じていました。

それが新しいZoomのバージョンでは、ブレイクアウトルームに分かれたあと、ホストは「B」キーを押して話すことで、全ルームに声でアナウンスができるようになりました。例えばこれで「作業を始めてください」とか「そろそろ戻ってください」などのメッセージを一斉に、より簡単に伝えることができるようになりました。

さらに、いつもはメインの会議室で使っている資料や映像や音声の共有が、ブレイクアウトルームに対しても行えるようになりました。例えば私は通訳訓練のサマライズ(要約)を行う際、まず全員がいるメインの会議室で映像や音声を共有した上で視聴し、そのあと学生さんを二人一組でブレイクアウトルームに分け、お互いにサマライズをして批評し合うというようなことをやっています。でもこの方法では、視聴してからブレイクアウトルームに分け、それぞれ作業を開始してもらい……という部分が非常にバタバタとして、もどかしい。

それが今度は、まずブレイクアウトルームに分けて二人一組を作っておいた上で、全ルームに対して映像や音声を共有して視聴してもらい、その場ですぐ声によるアナウンスをして作業に入ってもらうことができます。ほんの少しの違いですが、よりスムーズな授業進行が可能になります。これは素晴らしい。

詳しい使い方は、こちらが参考になります。
pla-pi.com
pla-pi.com

この機能はホストと学生さんいずれのZoomも最新版にアップデートされていないと使えません。またブレイクアウトルームからはホストに向けて音声を伝えることができません。それができたらいいのですが、そうなるとホスト側は各ルームからの音声が混在して収集がつかなくなるかもしれませんね。

願わくば将来的には、ブレイクアウトルームに分かれた後のそれぞれの様子が、ホストから一覧できるようになればいいなと思います。いまのところはいちいち各ルームにホストが出向いていって、そこでのやり取りを見聞きするしか方法がないですから。それをホスト側の画面で一覧できてどのルームもクリックひとつで観察できるようになれば(そしてその際、そのルームの音声もホスト側に届くようになれば)CALL教室などとほとんど同じ状態が再現できるんですけどね。こんな感じで。↓


https://www.irasutoya.com/2018/08/blog-post_996.html
https://www.irasutoya.com/2020/08/blog-post_8.html

……って、そんな面倒くさいことをやるよりは、やはりリアルな教室でその「場」を共有しながら訓練や授業を行うほうが100倍マシです。ただオンライン授業は、これまで通学の可能性が低かった地方の方にも訓練や授業に参加してもらえるというかなり大きなメリットも生みました。なので一部は今後も続けて行かざるを得ない、いや、続けていくべきだと思っています。