インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

ほん

人生で一番大切なのは思い出を作ること

先日、定期的にうかがっている仕事先で、ここ数ヶ月ほどお見かけしていなかった方に会いました。どうなさっていたのかを聞いてみたら、手術のための入院とその後の療養をされていたのだそうです。内蔵にがんが見つかったため切除したとのことで、幸いほかへ…

SNSからの「解脱」

ブログにあまりネガティブなことは書きたくないのですが、けさほど久しぶりにTwitterのタイムラインを見て思うところがあったので記しておきます。私は10年以上使っていた(というより中毒になっていた)Twitterから1年半ほど前に降りました。もう一つフィ…

自分の寿命を計算する

ビル・パーキンス氏の『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』を読んでいたら「寿命計算機」の話が出てきました(ちなみにこの本、副題からしても怪しさ満点の自己啓発本っぽいですが、実はとても考えさせられる良書です)。残りの人生をより…

プーチンの影武者

きのうの「報道1930」で、ロシアのプーチン氏に影武者がいるという噂はどこまで確からしさがあるのかという特集をやっていました。番組によれば、戦勝記念日などの重要イベントや海外の要人と会うときのプーチン氏はおおむね「本物」だと思われるものの、戦…

プーチン

作家で元外務省ロシア担当主任分析官の佐藤優氏が、「東京大地塾」の動画でフィリップ・ショート氏による評伝『プーチン』を絶賛されていました。当事者に徹底した取材をし、関連資料を読み込んで書かれたというこの評伝、佐藤氏は友人でもあるというエマニ…

go-go years

《紐約時報中文網》のこちらの記事を“中英雙語”で読んでいたら、印象深い表現に出会いました。 In China’s go-go years of miraculous economic growth, straddling the 1990s to mid-2010s, poverty wasn’t a topic that people paid much attention to. 從…

文楽研修生ゼロもむべなるかなと思う

きのう山手線の電車に乗っていて、ドア上にあるモニターを眺めていたら、人形浄瑠璃文楽の研修生が今年度は1人も集まらなかったというニュースが流れていました。「今年度の研修が開講できない異例の事態」で、なおも「締め切りを設けず募集を続ける」のだ…

あるく

東京メトロの駅で新しいフリーペーパーの広告を見かけました。ウェブサイトと連携して、東京をさまざまな角度から紹介するという企画なんだそうです。私が興味を惹かれたのはそのタイトルです。『Alku Tokyo(アルク トーキョー)』。ニュースリリースにはこ…

勉強しましょう

太宰治の『正義と微笑』に「おおっ」と惹きつけられる言葉が出てきました。近藤康太郎氏の『百冊で耕す』に引用されていたので、青空文庫へ読みに行ってきたのです。中学生である主人公の「僕」が、退職してしまった黒田先生のことを思い出すところで、その…

音楽があると集中できない

もうずいぶん昔のことですが、絵本作家の五味太郎氏が「絵を描くときはいつも音楽を流している」とおっしゃっていて、びっくりしたことがありました。当時の私は絵を描くのが好き(いまはもうまったく描けなくなりましたが)だったのですが、絵を描くときに…

NYTを“中英雙語”で読む

いつも愛読している冬木糸一氏の『基本読書』で紹介されていた橋本大也氏の『英語は10000時間でモノになる』を読んでいたら、ニュースを読むことについてこんなことが書かれていました。 日本のニュースやバラエティ番組は、グローバル視点で見ると知ってい…

ひらやすみ5.

発売を待ち望んでいた真造圭伍氏の『ひらやすみ』第5巻、さっそく買って読みました。帯の惹句に「辛い気持ちを癒す、友情の最新巻!!」と謳われているとおり、この作品は組織や人間関係のしがらみにとらわれず、自由で心癒される暮らしを追求したいという夢…

同性婚の法制化が少子化に歯止めをかける

「二〇一〇年以来、日本の人口は減少の一途を辿っている。どうみても、日本は国力の増強や維持を諦めたのである」。エマニュエル・トッド氏の『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』で、氏の分類によればともに「直系型家族社会」であるドイツと日本の…

テレビを見すぎるとバカになる

扇情的なタイトルですみません。いえ、私にも好きなテレビ番組がありますし、娯楽としてのテレビを否定するわけでもないのです。ただ、のべつまくなしに見続けるのだけは頭と身体の健康(私の場合は特に腰)に悪そうだなと思って。だから私は、基本的にテレ…

こう見えて失語症です

脳出血によって失語症になった夫との十年間をまとめた、米谷瑞江氏の『こう見えて失語症です』を読みました*1。フリーランスのライターだった米谷氏は夫の抱えた障害をきっかけに失語症や脳そのものへの興味がわき、ついには言語聴覚士の資格まで取って転職…

ゲノム編集の世紀

「CRISPR-Cas9」(クリスパー・キャスナイン)と呼ばれるゲノム編集技術の開発によって、2020年のノーベル化学賞が贈られたジェニファー・ダウドナ氏とエマニュエル・シャルパンティエ氏。この二人の研究を主軸に、ゲノム編集技術の発展と現状、これからの可…

世代交代のサイクルを回したくない人々

今朝の東京新聞に、ニュースキャスター・安藤優子氏へのインタビュー記事が載っていました。ウェブ版でよりボリュームの多い全文が読めます。安藤氏が昨年上梓された『自民党の女性認識「イエ中心主義」の政治指向』(明石書店)を引いて、自民党の「イエ中…

ひらやすみ原画展

マンガ家・真造圭伍氏の『ひらやすみ』の原画展が、同作にゆかりの深い阿佐ヶ谷にある杉並区役所内の区民ギャラリーで開かれているというので、見に行ってきました。www.city.suginami.tokyo.jp区民ギャラリーといっても、ほとんど廊下みたいなところに手作…

もう少し中国語のことを知ってくださったら

ちょっと前にケイレブ・エヴァレット氏の『数の発明』を読んでいたら、こんな記述が出てきました。 世界では今も昔も、さまざまな計算盤や計算機が使われていて、これを使えば使用者にとっては明らかに便利だ。日本の計算機(何世紀も前に中国のスアン・パン…

どこが癇に障ったのかしら

けさ同僚から、ニューヨーク・タイムズ紙のこんな記事を教えてもらいました。www.nytimes.com中国のいわゆる「ゼロコロナ政策」を事実上転換に追い込んだ市民のデモに関連して、そうしたデモの背景を外国の勢力と結びつけたい中国当局の思惑について報じてい…

言語はこうして生まれる

“For sale, Baby shoes, Never worn.(売ります、赤ん坊の靴、未使用。)”という、英単語たった6つの「物語」が冒頭に載せられています。注釈によれば、これはヘミングウェイが作った最短の物語という都市伝説まで生まれたほど有名なものなのだそうですが、…

フィンランドの古本を買う

フィンランド語のオンライン教室で、《Noitalikka》という絵本を読み始めました。魔法使いのお話だそうです。毎回ほんの少ししか進まないので、どうせなら年末年始の休みの間に少し先まで読んでみたいなと思って、その絵本を手に入れられないかとネットで検…

AI 2041 人工知能が変える20年後の未来

自動運転車、ディープフェイク、無人兵器、自然言語処理、仮想現実(VR)に拡張現実(AR)に複合現実(MR)……AI(人工知能)技術の深化で未来に実現すると見られる様々なテクノロジーを解説した本です。量子コンピュータやAIによってもたらされる失業、さら…

悲しい昼食

きのうは所用で都内某所に出かけ、お昼は以前から行ってみたいなと思っていたラーメン屋さんに入りました。ちょっとめずらしい味わいの、いわゆる「ご当地ラーメン」系だそうです。人気のお店で、お昼をちょっと過ぎた時間に入りましたが、それでも店内はほ…

渡辺京二さんのこと

けさの新聞に、在野の歴史家・渡辺京二氏の小さな訃報記事が載っていました。享年92歳。私はいま何気なく「在野の」と書きましたが、氏は熊本という場所で、その風土に深く根ざした視点から近代史を見つめ続けた方で、中央のアカデミズムとは一線を画してお…

繁栄ーー明日を切り拓くための人類10万年史

以前、およそ30年くらい前に取り沙汰された「41歳寿命説」についてブログに書いたことがあります。「21世紀初めには環境汚染の影響で日本人の平均寿命が大幅に下がる」というもので、若い頃の私はけっこうこれに傾倒していたのですが、幸か不幸か(幸ですね…

ゲノム編集と遺伝子組み換え

遺伝子組み換え食品についての基本的な知識を得たいと思って、松永和紀氏の『ゲノム編集食品が変える食の未来』を読みました。 ゲノム編集食品が変える食の未来私はこの件についてまったくの素人で、これまで「ゲノム編集」と「遺伝子組み換え」の違いも分か…

大学を辞めなくてよかった

芸人の小島よしお氏が『しくじり先生』で「大学を辞めなくてよかった」という話をされていました。大学時代にWAGEというお笑いサークルに所属して人気を博し、有頂天になって大学を辞めようとしたものの、親に止められて結局は翻意したというお話です。www.y…

渋谷から書店が消えていく

東京は渋谷の東急百貨店本店7階に入っているMARUZEN&ジュンク堂書店が、百貨店自体の営業終了にともなって閉店するんですよね……。www.maruzenjunkudo.co.jpかつて渋谷にはたくさん本屋さんが、それも豊富な品ぞろえが魅力的な本屋さんがたくさんありました…

フィンランド 虚像の森

以前、フィンランドの森の中をひとりでハイキングしたことがあります。観光客向けに整備された木道や山道を歩くだけの、いたって気楽なハイキングでしたが、人の少なさもあいまって、その圧倒的な森林の魅力を楽しみました。qianchong.hatenablog.com森と湖…