インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

ミッキーハウス

台湾滞在中にテレビニュースを見ていたら、しきりに“米奇屋”の話題を報道していました。“米奇”はミッキーマウスの「ミッキー」、“屋”は建物とか家のことですから「ミッキーの家」ということですが、要するにこれは日本語で言うところの「ゴミ屋敷」なんでありました。何十年もゴミ屋敷状態になっていた家を、周辺住民からの苦情を受けた市役所が強制執行に踏み切って清掃を行ったというニュースです。


www.youtube.com

なぜ“米奇屋”と称するのか、その由来を調べてみましたが、特になにかいわくのあるスラングというわけでもなさそうでした。単にネズミがたくさん住み着くようなゴミ屋敷だからネズミの家、それをミッキーの家とわざとかわいく(?)言っているだけのよう。英語にすれば「ミッキーマウス」ならぬ「ミッキーハウス」ってことで、こういう三面記事的なニュースらしい諧謔味を持たせているのかもしれません。

でも、以前に読んだ、アメリカの「ためこみ症(ホーディング・囤積症)」に取材した『ホーダー』によれば、こうしたゴミ屋敷を発生させてしまう人は、その多くが精神的な疾患である可能性が高いようです。疾患であればきちんとした治療なりケアなりが必要なので、当事者にとっては諧謔とか笑いで済ませてはいられない問題です。もちろん周囲の住人にとってもかなり深刻。


ホーダー 捨てられない・片づけられない病

こうしたニュースは何年も前から報道されていましたけど、以前は日本と同じように“垃圾屋(ゴミ屋敷)”と言っていたような気がします。それが最近はカギカッコつきの“米奇屋”が多用されるようになったのだとしたら、もともとあまり気持ちのよい話題というわけではないので、直截な表現を少しでも避けようとしたのかもしれません。