インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

まだFAXを使っていると言って驚かれる

オンライン英会話のレッスンで新しい教材を使い始めました。最近はずっとニュース記事を使って、最初に全体を音読して発音をチェックしてもらい、そのあと記事についてのディスカッションを行うというパターンで学んでいます。昨日から使い始めたのはengooのこちら。日本の人々は、AIにもっとも不安を感じて「いない」という、なかなか興味深い記事です。


https://engoo.com/app/daily-news/article/japan-least-nervous-about-ai-in-international-survey/dUAnHk2fEe6PZ_do2bzYMQ

ディスカッションでは、チューターさんから日本人がAIに対して不安を感じていないのはなぜだと思うか聞かれたので、私は「ChatGPTのようなAIを使ったサービスはまず英語圏の国々で始まったため、そうした国々ではそれだけ人々の関心が高く、同時に不安も大きいんじゃないか」みたいな答えをしました。

そうしたら「でも日本はこうした科学技術の先進国というイメージがあるんだけど……」と返されました。だもんで「それがそうでもないんです。日本人はちょっと保守的なところがありますから」と言って、例えばキャッシュレス決済がなかなか普及しないこと、いまだにFAXが多くの組織や家庭で使われていることなどを挙げたのですが、前者はともかく後者についてはチューターさんが「ええーっ!」とかなり驚いていました。

一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会による「ファクシミリの利用調査」によれば、業務の中で通信手段としてFAXを使っている人は、直近の調査でも43.7%もいるそうです。なるほど、かくいう私の職場にも実はFAXがあります。業務のほとんどはもちろんメールやチャットで行えるのですが、いくつかの行政機関とのやり取りでいまだにFAXを指定されるため、しかたなく残してあるのです。

www.ciaj.or.jp

この件については「私たちはAIが何なのか、AIに何ができるのかをまだよく分かっていないんじゃないでしょうか。だからAIに対してさほど不安も感じないんだと思います」と私は言ったのですが、AIが何なのか、それが今後どういう影響をもたらすのかについては、英語圏の人々だっていまだ五里霧中のはず。となるとFAXがいまだに使われていることにも象徴されるように、日本の人々はとにかく現状維持に傾きがちで、新しい変化になかなかついていけない・ついていこうとしない……という残念な結論に至ってしまうのでしょうか。

……と、上掲の一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会による別の調査によれば、米国でのFAX使用率は日本よりも高く、約7割にも及ぶんだそうです。

dempa-digital.com

へええ、これも意外です。この話題を話して驚かれた昨日のチューターさんは南アフリカの方でしたから、米国のチューターさんと話すとまた別の反応が返ってくるかも知れません。さっそく試してみたいと思います。

ちなみに“FAX”を英語で言う際には「フェァークス [fǽks]」みたいな感じで発音したほうがよさそうです。日本語っぽい「ファックス」だといわゆる「Fワード」に聞こえてしまいそうなので。