道路交通法の改正により7月1日から「電動キックボード」が免許なしで乗ることができる(16歳以上)ようになりました。公道を走ることができるのはもちろん、時速6キロまでなど一定の条件を満たしたものであれば歩道の走行も可能だそうです。
私はヨーロッパの街で電動キックボードを利用したことがありますが、たしかに便利だなと思う反面、そのデメリットも感じました。ひとつはその危険度です。乗ったことがある方はおわかりだと思いますが、あれはけっこうスピードを出すことができます。私は旅行中ということもあってヘルメットを持っていなかったのでそのまま乗りましたが、いま考えるとかなり危険なことをしていたなと思います。
ましてや道が狭く複雑で、交通量も多い上に、自転車専用レーンなどもないか、あっても極狭という東京都心で、電動キックボードに乗るのは自転車より数倍危ないような気がします。車輪の直径が小さいこともあって転倒しやすいですし、左側通行や二段階右折なども遵守する方がどれだけいるのか、しかも歩道も走行可って……新しい制度の導入にとかく保守的な日本で、よくこんな道交法改正ができたなと変な感心をしてしまうほどです。
もうひとつの問題は、景観です。東京都心では数年前からLUUPというレンタル電動キックボードのサービスが始まっていて、私もアプリをダウンロードしましたが、結局一度も使っていません。ヨーロッパのサービスと違ってLUUPは任意の場所で借りたり返したりできず「ポートからポートへ」なので不便なのがその理由です。でも任意の場所で乗り捨てが可能になったら、都市の景観はかなり損なわれると思います。
私が利用したフィンランドのヘルシンキやタンペレの電動キックボードは、きれいに並べられている車体がある一方で、道路脇に無造作に倒れたまま放置されているものも多数ありました。中にはバッテリー切れでビープ音を発し続けているものも。そこに住んでいる方々にとってはたまったものではないと思います。
ちょうどengooにこの電動キックボードの話題があったので、オンライン英会話の教材に使ってみました。パリ市では住民投票で電動キックボードを禁止することにしたのだそうです。
この記事、よく読んでみると全有権者に対する投票者の割合がきわめて低く、不公平だとする電動キックボードサービスを提供する企業の不満も理解できました。ただそれでも、市民がこうした方法で公共交通のありよう、その是非を積極的に考えていこうというのは、日本とずいぶん違うなあと思います。そういえばこのたびの日本における電動キックボードの「解禁」、かなり急に出てきた話だと感じますが、そこになにやら利権の匂いがするのは勘ぐりすぎでしょうか。
ところで上掲の記事を使ってオンライン英会話の講師とディスカッションしていて、いちばんウケたのは“Many European cities have cobblestone streets. So when I rode the e‐scooter there, it was always bouncing and not very comfortable.(ヨーロッパの街は石畳の道路が多いので、電動キックボードに乗ると常にガタガタしていて、あまり快適じゃなかったです)”とかなんとか言ったときでした(適切な英語じゃないと思います、たぶん)。
東京の道路ではそんなことはないけれど、だからこそなおさら傍若無人な乗り方をする人が増えやしないかと少々心配です。