インタプリタかなくぎ流

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「柔らか」な杉並能楽堂

きのうの日曜日は、杉並能楽堂に行ってきました。東京メトロ丸ノ内線中野富士見町駅にほど近いこの能楽堂、ウェブサイトによれば「東京で二番目に古い能楽堂」で杉並区の指定登録文化財になっているとのこと。入り口に表札があって気づきましたが、これはもともと狂言方大蔵流山本東次郎家能舞台で、別の場所にあったものが関東大震災後に移築されていまに至っているそうです。

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私は初めてこの舞台を拝見しましたが、古色蒼然としていい趣きです。天井近くに窓があって、外光が差し込んでいるのがまた柔らかい雰囲気を醸し出していていいです。舞台裏の楽屋も、古い民家の和室そのままという感じで、なんというか、とてもアットホーム。

この日は趣味で能楽をされている方々の集まりで、発表会のような催しでした。ふつうこうした発表会は流儀(流派)ごと、能楽師の先生の社中ごとに開催されることが多いですが、この日はさまざまな流儀でお稽古されている方々が一堂に介して日頃のお稽古の成果を披露し合うという形。仕舞などを舞われる方以外は普段着に白足袋だけ履いているという気楽なスタイルで、舞台にも見所(客席)にも能舞台と同じく柔らかな雰囲気が漂っていました。

私は居囃子の「景清」に地謡として参加させていただきました。居囃子というのは、囃子方地謡だけで能の一番(あるいはその一部)を演じる形式です。柔らかな雰囲気に影響されたのかどうかはわかりませんが、板敷きの舞台に正座して謡っていて、なんとなくその板敷きまで柔らかく感じられました。一曲を謡い終わり、附祝言まで謡って舞台から切戸口へはける際、いつもより足のしびれが強くないような気がしました。

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余談ですけど、この能舞台は私の家から自転車で30分くらいのところにあるので、久しぶりに自転車で都内を移動しました。道路交通法が改正されて、今年の4月1日から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されたはずですが、見たところ着用されている方はまだほとんどいないですね。

私はとにかく事故と、事故の際に頭を怪我するのが何より怖いので、以前から自転車に乗るときは絶対にヘルメット着用しています。自転車にフレンドリーとはとても言えない都心の道路、しかも交通量がかなり多い道路で、けっこうなスピードを出しているにも関わらずヘルメットを着用していないなんて、他人事ながらちょっと怖くて見ていられません。余計なお世話ですけど、せめて小さなお子さんだけでもヘルメットをかぶせてあげたらどうかなあ。