来週の日曜日にお能の発表会があるので、きのうはその「申し合わせ」に参加してきました。申し合わせというのはリハーサルのようなもので、お囃子と地謡にも入っていただいて、実際に能や舞囃子を舞ってみるというものです。
私たち素人にとって申し合わせはほぼリハーサル、あるいは演劇で言うところのゲネプロに近いですが、プロの能楽師の方々にとっては、お互いの技芸やそのタイミングをすり合わせる程度のものなのだそうです。つまり日頃から技芸はそれぞれが磨きに磨いて、いつでも本番を勤めることができるようにしてあって、申し合わせではそれら技芸の微調整をするというほどの意味合いなのかしら。なんだかジャズのセッションに似ているような気もします。「the能.com」の能楽用語辞典ではこう解説されています。
能・狂言の「リハーサル」のこと。通常、上演当日の数日前に諸役が集まり、当日と同様の流れで行われる。面や装束は着けないことが多く、大鼓も楽器を用いず拍子をとるための扇(張扇)で代用する。よほどの大曲か、上演が稀な曲でなければ、申し合わせは一回だけである。略式には、当日の楽屋でシテとワキ、ワキとアイなどが関係する部分だけを申し合わせることもある。
申し合わせ (もうしあわせ)とは:the能ドットコム:能楽用語事典
きのうの申し合わせでは、私は自分が舞う舞囃子「高砂」と、他にいくつかの舞囃子の地謡に入りました。いずれも何とか間違えずにできましたが、本番まで一週間、さらに稽古をしようと思います。
今回の舞台は、東京は青山にある銕仙会能楽研修所の能舞台です。表参道の交差点から根津美術館の方に歩いてすぐのところ、プラダのハイパーモダンなガラスのビルの斜め向かいにある、これまたモダンなコンクリート打ちっぱなしの建物。ここに能楽堂があることをご存知ない方も多いと思います。劇場ではなく研修所なので、見所(観客席)も畳敷きのお座敷ふうですが、こぢんまりとしていて、それに舞台からはガラス越しに通りの街路樹が見えて、とても気持ちのいい場所です。
申し合わせで舞っているとき、ふだんの能楽堂よりもいくぶん舞台が小さいように感じましたが、後で漏れ聞いたところによると、じっさい縦横それぞれ5cmほど短いんだそうです。たった5cmですからほとんど大差はないはずなのですが、柱がいくぶん細いことや、能楽堂全体がこぢんまりとしていることなど、さまざまな要素が相まって小さく感じるのではないかと思います。