インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

AIの進化と人間の役割

先日AIを使った語学学習や翻訳について考えていた際、このブログに「自分はこうしたサービスを使う際に必要となるそうした知識や教養を育むことにこれからも専念すればよく、一方でこうしたサービスの便利なところはどんどん活用させてもらうというスタンスでいればいいのかもしれない、と思い直してずいぶん心境が変わ」ったと書きました。

qianchong.hatenablog.com

ChatGPTなどのAIが私たちに見せつけるその驚異的な生成能力は、それがきわめて「人間っぽい」思考や認識を持っているように見えるがゆえに、いきおい「もう外語学習なんかしなくていい」とか「通訳者や翻訳者の役目は終わった」、「イラストレーターもプログラマーも全員失業だ」などの極端な結論に走ってしまいそうになります。正直に申し上げて、私もChatGPTが登場してからのこの1年あまり(2022年11月30日に公開)というものは、いろいろと心が揺れ動いていました。

でもそこはそれ、落ち着いてさまざまな専門家の意見や見解に耳を傾け、関連するいろいろな本を読みながら実際に使って試しているうちに、上述のような心境になりました。こんなことができるのか! あんなこともできるかも! と興奮することしきりである一方で、なるほど、だったら人間である自分の役割はこういうところにあるのだな……というのもまたおぼろげながら分かってきたという感じです。

先日も、とあるYoutubeの動画を視聴していたら、ChatGPTとは何かについて「たてはま / CGBeginner」さんがわかりやすい解説をされていました*1


www.youtube.com

この動画では、現在のChatGPTが煎じ詰めていえば単なる「次単語予測器」であること、しかし単に次の単語を予測しているだけなのにそこにあたかも意志や人格を感じさせるようにふるまうこと、しかもそのふるまいの理由は解明されていないことなどが語られています。しかもひょっとするとそのブラックボックスのような構造が、実は私たち人間の思考という現象そのものではないのかという疑問まで……なかなか怖い、けれどもとても興味深いです。

とくにChatGPTは「くだらない質問にはくだらない回答が返ってきやすい」、「論理的で的確な質問には論理的で的確な回答が返ってきやすい」というのは、やはりどんなにAIが進化発展しても、結局はそれを使う人間の資質が問われるということなのだと深く納得しました。

オンライン英会話のレッスンで使っているengooの記事に、AIに対して世界でいちばんナーバスになっていないのは日本人だというのがあって、私は当初それをとてもネガティブに捉えていました。日本人はとかく保守的だから、技術先進国を自負しているくせにキャッシュレス化はなかなか進まないし、FAXをいまだに使っているし。そんな我々は結局、AIとは何か、AIに何ができるのかをまだあまりよく理解できていないんじゃないかと。


https://engoo.com/app/daily-news/article/japan-least-nervous-about-ai-in-international-survey/dUAnHk2fEe6PZ_do2bzYMQ


▲AIに対して、日本人はダントツで「ナーバスになっていない」です。

でもこの間考えてきた「AIとのつきあい方」という観点からすれば、そうネガティブにとらえなくてもいいのかもしれないと思うようになりました。もしかすると私たちは、AIは夢のようなことを叶えてくれるすごい存在だけど、それをどう使いこなすのかは人間の側に託されていること、あるいはAIに全面的におんぶにだっこでは自分も成長できないことをよく分かっているのかもしれません。

というのも、これもYoutubeの動画でどなたがおっしゃっていたことなんですけど(ごめんなさい、どの動画だったかが思い出せません)、私たちは子供の頃から『ドラえもん』とか『鉄腕アトム』なんかに親しんでいて、「あんな夢こんな夢」を「不思議なポッケで叶えてくれる」AI(搭載のロボット)との親和性が高いというんですね。

なるほど、のび太くんは毎回ドラえもんに泣きついて助けてもらうけれど、予期せぬ結果を招き寄せてしまってその都度後悔したり教訓を得たりしています。あれはもしかしたら我々にAIとのつきあい方、なかんずくAIがどんなに素晴らしくても結局はAIを使う人間の側が問われるのだということを教えていたのかなと思うわけです。上掲の動画ではこう述べられています。

残酷なもので、ChatGPTはすべての人を助けるツールではなく、GPTにロジカルで適切な指示が出せない人間には冷酷なほど力になってくれず、的確な指示が出せる人間にとってはきわめて強力なツールになるということです。

うおお。もっと本を読もう、勉強しよう……と思えてくるではありませんか。

追記

自分の写真をもとに「『ドラえもん』のアニメ調のイラストを生成してください」とAIにお願いしてみました。

ええ〜、予想したのとぜんぜん違います。やはり的確な指示が出せないと力になってくれません。