ここのところ仕事があまりに忙しくて精神が煮詰まってしまいそうだったので、やっと休みになった今日は根津美術館に北宋の書画を見に行ってきました。根津美術館は事前にネットで入場時間を予約する形になっていて、朝一番の時間帯で入場したので、それほど混み合ってはいませんでした。それでも外国人観光客と思しき方がけっこう多かったように思います。良い天気で、お庭の茶室ではお茶会なども催されていました。
https://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
かんじんの展示は、美しい書画で心洗われる……かと思いきや、監視員(警備員?)の方が「作品を見るために列を作らないでください。空いているところからご覧ください」と何度も何度も声をかけるので、とても気忙しい雰囲気になりました。あまりにうるさく注意されるので、私は思わず「分かりましたから、もう少しお静かに願います」と声を返してしまいました。
もとより時間指定の入場制限がかかっていて、それほど鑑賞客は多くないのです。他人の頭越しではなく近くに寄って書画を見たい(とても微細な文字や絵画が主体の作品群です)から、みなさん行儀よく並んでいるわけですよね。美術館側とすれば列が長くなればなるほど、ひとところに客が滞留してよろしくないという判断なのでしょうが、鑑賞の仕方までこうやって頻繁に声がけするところが、さすが公共空間に多種多様なアナウンスが満ちている日本ならではだなと改めて思いました。
qianchong.hatenablog.com
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かつてトリップアドバイザーでこんな意見を見たことがあります。こちらは美術館内での会話を咎める監視員に対しての疑問で、今回の私の体験とは異なりますし、たしかに声高におしゃべりをしている鑑賞者に閉口することはよくあります。それでも「美術鑑賞が、高尚な趣味ではなく、もっと日常的な肩ひじ張らなくていいものになってほしい」というご意見には同感です。ようはバランスの問題で、誰にとっても理想的な鑑賞環境などないことはわかっているのですが……。
せっかく精神の煮詰まりを解消しようと出かけたのに、あまりその目的は果たせなかったので、根津美術館と同じ表参道にある「トラヤあんスタンド」で季節の栗パフェを食べて帰ってきました。餡の甘さに少しだけ救われました。