インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

クワイエット・アワー

音や光などの感覚過敏の人々が社会的に排除されるのを少しでも減らそうと、「クワイエット・アワー」の試みが家電量販店で始まったというニュースに接しました。

www3.nhk.or.jp

クワイエット・アワーは海外ではすでに行われているところがあるそうですが、こうした試みが日本でも始まったことにある種の感慨を覚えます。なぜなら音や光のみならず、サインシステムや広告や標語やスローガンなどなどの過剰っぷりにおいて、日本の右に出るものはいないのではないかと思うからです。

哲学者・中島義道氏の名著『うるさい日本の私』を持ち出すまでもなく、この国の公共空間における騒々しさは、感覚過敏ではない(おそらく)私のようなものでもときどき耐え難いと思うほどのレベルに達しています。

そうした騒々しさを作り出しているもののほとんどが、誰にも届いていない、あるいは何の効力も発揮していない、あるいは先回りの責任逃れ(=事なかれ主義)であることを指摘している方は少なくないのですが、いっこうに減る気配がありません。これはもう日本の宿痾なのだと私は半ばあきらめており、せめて通勤時の騒々しさだけからでも逃れようと、毎朝6時半には東京都心に出てくる生活を続けています(それでもけっこう騒々しいけれど)。

駅などの公共空間はもともと「クワイエット」どころの環境ではありませんが、だからこそ少しでも過剰なアナウンスやサインは抑えてほしいものです。私が日々利用している東急線など、電車が駅を出るたびに「発車しますと揺れますからご注意ください」というアナウンスが入るんですよ。ギャグじゃなくてリアルに。

クワイエット・アワーの試みと考え方がもっと普及・定着して、公共空間における騒々しさが少しでも減ってくれればいいなと願っています。


https://www.irasutoya.com/2017/03/blog-post_969.html