先日、勤務先の学校では卒業式が行われました。私が担当している学科は二年制の専門課程で、全員が外国人留学生です。この学生さんたちは二年前の春に入学してきた人たち。つまり、この二年間をまるまるコロナ禍の中で過ごしながら勉強してきたわけです。
留学した当初から、孤独なオンライン授業をかなりの割合で受け続けなければならなかった学生さんたちですから、この二年間はメンタルを病んでしまう方がけっこう多かったように思います。またコロナ禍の当初は、その発生源とされた中国に対する風当たりがとてもつよくて、中国人留学生は特に居心地の悪さを感じていたはず*1。
そんな中国人留学生で、今回卒業を迎えたおひとりから、卒業式後に短いメールをもらいました。いわく……「先生は中国での留学生活を毎回シェアした時、私はいつも通りにとても感動して聞いていました。中国の文化に気に入ってくれてとても感心しました」。
そうそう、私はかつて中国に留学した頃や海外で働いていた頃の大昔の経験や体験をよく授業で話すんです。それは、いま現在留学しているみなさんが異国である日本で感じているであろう、驚きや発見や違和感やカルチャーショックのようなものの裏返しとして、外国人として他の国に暮らすことの面白さや大変さを客観視できたらいいなと思うからです。
海外での暮らしは大なり小なり様々なストレスがかかるもので、特にコロナ禍のような現在の状況下ではそれが時にメンタルを病む方向に行ってしまうこともあります。だから私から「私も海外で皆さんと同じようなストレスを感じたよ、でもそれも今から思えばなにがしかの糧になっているよ」と伝えることで、「ああ、私だけじゃないんだ」と思ってもらえたらいいなと。
せっかく日本に留学しに来たというのに、最初の頃はずっとオンライン授業が続いていましたから、きっと「なんのために日本まで来たんだろう」と心が折れそうになったこともあったと思います。それでもみなさんめげずによく頑張りました。みなさんの今後の活躍を心から期待しています。
そして私たち教職員も、自分たちで言うのもなんですけど、この困難が多かった二年間、本当によく頑張りました。まだ感染状況が落ち着いていないので打ち上げの宴会などはできないですけど、自分で自分を褒めてあげたいと思います。