インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

スライド資料を「引き算」する

今週末、都内某所でセミナーのようなものの講師を仰せつかっておりまして、昨日はせっせと当日使用するPowerPointのスライド資料を作っていました。……が、私はいつも、このスライド資料を作りすぎてしまいます。

これは定期的に行われているセミナーで、毎回テーマが違うために毎回新しくスライド資料を作っています。プレゼンなどで作ったことがおありの方なら同意していただけるのではないかと思いますが、スライド資料の作成は自分が話す内容を整理するという点でも有用です。だからスライド資料を作ることそのものはとても楽しい。

ただ私の問題は、セミナーで与えられた時間は限られているというのに、ついついその時間内では話せないほどの大量のスライド資料を作ってしまうということです。話す内容を整理するどころか、スライドを作れば作るほど「コレも入れたい、アレも入れたい」と内容がどんどん膨張していってしまうのです。

通訳者をしていたときに、クライアントから渡されるスライド資料はたいてい細かい文字が満載で、かつ分量も多く、発言時間に比して明らかに情報量が多すぎるものがよくありました。いつも「この制限時間でどうやってこの内容を話すのだろう」、「きっと全部話せなくて、どっさり割愛する部分が出るんだろうな」と思いながら予習をしていました。

で、案の定、当日はスライド資料の三分の一も話さないで終わっちゃう、あるいはせっかく予習したのにバッサリ割愛されちゃう……なんてことが多く、そのたびに徒労感を抱いていました。というわけで、自分が話す立場になったらその同じ轍は踏むまいと思っていたのです。なのに、自分がその立場になってみると、いつもスライド資料を作りすぎてしまう。

f:id:QianChong:20220310102044p:plain
https://www.irasutoya.com/2018/06/blog-post_268.html

だからいま、「コレはいらない、アレもいらない」というふうに、せっせとスライド資料を削っているところです。よく「引き算の美学」なんてことが言われます。言いたいこと、伝えたいことをより際立たせるために、なるべく無駄をそぎ落としてシンプルにしましょうと。

でもたぶん私の場合は、最初からそのシンプルを狙って行くとスカスカの内容になるような気がします。だから最初はアレもコレもと盛りに盛ったうえで、そこからどんどん引いていくという作業が必要なんでしょう。効率とか生産性などとはかけ離れたやり方ですけど、仕方がないかなと思っています。