読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

村上かるたうさぎおいしーフランス人

諧謔だかギャグだかユーモアだかしらないけれど、いくらなんでもこれはちょっと。

オレ様化する子どもたち

先日読んだ『下流志向』のベースになった本ということで読んでみたが、これまた読みごたえのあるすばらしい本だった。ここ数年巷間を賑わせている「ゆとり教育」をめぐる議論に、とても見通しのよい鳥瞰的視点を与えてくれる。また公教育(普通教育)が担う…

江勢(えせ)物語

id:suikanさんから再三オススメがありながら、品切れらしく本屋の店頭では手に入らなかったこの本。アマゾンのマーケットプレイスで、書籍の値段とは思えないほどの安価で購入。送料の方が高いよ。 『伊勢物語』をはじめとする日本の古典をごちゃ混ぜにして…

外国人力士はなぜ日本語がうまいのか―あなたに役立つ「ことば習得」のコツ

大相撲の「外国人力士」たちは、なぜあんなに日本語が達者なのか――を探った本。 プロ野球などの「お雇い外国人」と違ってハングリー精神があることに加え、相撲部屋という上下関係、なかんずく言葉遣いに厳しい理想的な語学環境があって、部屋周辺の地域社会…

もし、日本が中国に勝っていたら

《如果日本戰勝了中國》という刺激的なタイトルのこの本、趙無眠*1氏が発表した論文の全訳だ。侵略・被侵略の歴史を事実に即してありのままに探究しようという姿勢のこの本、そのあまりに自由な発想ゆえに当然当局の逆鱗に触れ、中国大陸ではもちろん一般に…

東方台湾語辞典

「待望の現代台湾語辞典 ついに刊行!」と帯にある。ホントにそうだよ。私が台湾へ赴任する前、すでに刊行間近という情報があったのだけれど、結局あれから五年近い月日が流れてようやく。あああ、台湾にこれを持って行けていれば、楽しさが倍増したのだがな…

やっぱり美味しいものが好き

弁護士の職をなげうって『ヴォーグ』誌のフード・ライターに転身したという無類の食いしん坊、ジェフリー・スタインガーデン氏のエッセイ。 いやもう次から次に美味しそうなものが出てきて、心拍数があがりお腹が減る。この人のすごいところは、単に美食巡り…

周恩来秘録

周恩来の、主に文革発動期から臨終までの十年間ほどを中心に描く伝記。著者は元中国共産党中央文献研究室という、いわば共産党の「正史」を編纂する部署で、その名も「周恩来生涯研究小組」の組長を務めていたという高文謙氏。氏は1989年の天安門事件に連座…

ネコを撮る

私は「けむくじゃら系」にめっぽう弱い。 道ばたに猫や犬がいたりすると、すぐに引き寄せられてしまう。しかも、学生の頃友人に指摘されて初めて自覚したのだが、その際に奇声を発しているらしい。それは「の〜!」とか「にょ〜!」(猫の場合)、あるいは「…

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ

字幕翻訳者の太田直子氏が、字幕制作の裏話、とりわけ文字数や日本語表現との格闘、さらには映画配給会社との格闘についてぶちまけた痛快な本。「ぶちまけた」とは言っても、そこはそれ、批判的な文脈でなおかつ特定の作品名や配給会社が知れてしまいそうな…

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

フロムの『自由からの逃走』ならぬ、「学びからの逃走」、「労働からの逃走」を主題にした本。ここ数年巷間を賑わせている「格差」とか「勝ち組・負け組」といったキーワードにも連なるものだ。 「学びからの逃走」を取り上げた部分は、著者が勤務している大…

次世代ウェブ

分かったようでいまひとつよく分からないキーワード「Web2.0」。この本ではまず、Web2.0を「極大化されたデータベースの海と、そこから的確に有用なデータを拾い上げるための『UFOキャッチャー』アーキテクチャ」だと「定義」する。その上でここ数年間のネッ…

輸入学問の功罪

学生時代、七割の「ええかっこしい」と三割の知的好奇心とで、いろいろと「洋物」の哲学書に手を出した。けれどたいがい一割も読み進まないうちに睡魔に襲われる。なかには序文で白旗をあげたものすらあった。きちんと最後まで読んだものは果たして何冊あっ…

85階公廁

台湾のOTOKO氏によるネットマンガが本になったもの。いわゆるブログ本だ。シモネタに流れる「お下品」な作品も多いのだけれど、そこここに流れるトホホ感というか悲哀感というか、妙にリリカルな雰囲気が絶妙で笑える。 ほとんどの作品はブログで読めるし、…

挫折し続ける初心者のための最後のジャズ入門

刺激的なタイトルだ。私もジャズのCDは何枚か持っているけど、特に愛聴しているわけでもなくて、何かいまひとつのめり込めない悶々としたものを抱えている人間なので、まさに「挫折し続ける初心者」だと思う。 この本は、そういう初心者の痛いところをぐさっ…

近くて遠い中国語―日本人のカンちがい

帰りの新幹線でさらっと読んでしまった、軽い語り口の本。阿辻氏の独壇場といった感がある日中漢字談義をはじめ、「中国語」の定義、簡体字・繁体字と日本の漢字の違いなど、日本語と中国語が「同文同種」だと勘違いしている方にやさしく「同文異種」ですよ…

人生ピロピロ

ウェブサイトやブログの日記やエッセイが本になって出版された例は多いけれど、これはまたとびきり面白い一冊。楽しく読めるだけではなくて、とくにダイエットと地震に関して書かれた章などは、実用性も十分。 さとなお氏の文章は、自分でボケて自分でツッコ…

翻訳家の仕事

三十七人の翻訳者が、自分の仕事や翻訳への悲喜こもごもを語るエッセイ集。ほとんどが欧米言語の翻訳者、しかも文芸翻訳がメインの方々ばかりなので、実務的なヒントやノウハウを期待などというセコい考えで読んではいけない。 ほとんどの方が行間に、あるい…

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語

id:suikanさんの紹介を読んで、ずいぶん前に購入しておきながら、長らく本棚の肥やしとなっていた分厚い文庫本。 カナディアンロッキーの斜面から見つかったカンブリア紀中期の化石群「バージェス頁岩」をめぐる研究史と、著者の進化観が語られる。翻訳には…

資料日本英学史(2)英語教育論争史

明治維新から1970年代あたりまでの英語教育に関する様々な文章を、主に雑誌や新聞、単行本などから広範に集めてきた本。ネット上の古本屋で購入したのだが、びっくりするほど安価だった。 目次を眺めているだけでわくわくする。なにせ、「英語を日本の国語と…

英語を子どもに教えるな

刺激的なタイトルだが、必ずしも早期英語教育を全面否定する内容ではない。ただし子供たちを英語にふれさせるなら、どんな考え方と戦略で望むべきかを明快に説き、安易なバイリンガル幻想をコテンパンに打ち砕く。 著者は長らくアメリカで、現地に赴任した会…

大地の咆哮

上海総領事をつとめた杉本信行氏が、余命幾ばくもないことを知ってから書き下ろしたという本。中国との関わりから、日本と中国の双方に対する提言まで、面白くて、といっては語弊があるが、一気呵成に読んでしまった。 なかでも対中ODAに関する内容と、現代…

日本人はなぜ英語ができないか

著者の立場は、日本人としてもっと毅然とした態度で、しかも戦略的な展望を持って英語やその他の言語に向き合うべき、といったもの。民主主義的で平等な英語教育にやんわりと疑問を呈し、エリート教育の必要性を説くあたりは『国家の品格』の藤原正彦氏に近…

日本ばちかん巡り

伊勢神宮や出雲大社といった「超老舗」の宗教団体から、金光教や世界救世教といった比較的新しい宗教団体まで、さまざまな宗教の総本山(ばちかん)を訪ねるルポ。ずっと昔に『芸術新潮』で連載されていたものをまとめ、オウム真理教に関する「序章」と、最…

漢字伝来

言語構造の全く異なる中国語から漢字を輸入し、日本語にあわせて使う一方で「かな」を編み出して行く過程を、数少ない史料の解読を通してたどる本。漢字かな交じり文に行き着いた日本、ハングルを発明した朝鮮、漢字に対抗してパスパ文字を生み出すも普及さ…

ハルキ・ムラカミと言葉の音楽

村上春樹作品の英訳者として知られる、ジェイ・ルービン氏の村上春樹論。 デビュー作『風の歌を聴け』から最近の作品まで、自ら前書きで「私は村上春樹ファンだ」という熱い気持ちをぐっと抑えて、冷静に紹介し分析する。もともと英語圏の読者向けに英語で書…

大奥(2)

待ちに待った第二巻。 第一巻のさらに前史が語られるのだが、はは〜、よくまあここまで設定を考えたもんだ。 世にも珍しい「時代劇SF」(?)、日本のマンガはここまで到達したかと、自分の手柄なんぞじゃまるっきりないにも関わらず誰かに向かって胸を張りたく…

毎日が豆腐主義

ご飯を炊くのさえ面倒なときは豆腐を主食にするくらい、豆腐が好き。ほぼ毎日食べているといってもいいくらい。それと通訳者の遠いご先祖・大村益次郎が、適塾時代に豆腐を主食のようにしていたというエピソード*1にもこっそりあやかって。 豆腐の料理本はた…

いまどきの なべ

夕飯を作るのがとことん面倒なときは、手っ取り早く鍋にする。 最近よくやるのが、豚+野菜しゃぶ。大根やズッキーニをピーラーで幅三センチ、長さ十五センチくらいの短冊状にスライスして、豚肉の薄切りと一緒にしゃぶしゃぶ風に食べる。簡単で、野菜がいっ…

黄泉の犬

藤原新也氏の最新刊。 学生時代に写真好きの友人から藤原氏の本をすすめられて以来、『印度放浪』や『西蔵放浪』を皮切りにいろいろと読んできたが、いつも引き込まれて一気に読了してしまう。硬派で、あまり取っつきやすい文体ではないのだが、この人の文章…

英会話学校に行かない人ほど、うまくなる

羽田空港で買って、飛行機の中で読み終えた。 それくらいすぐに読める薄い本だけれど、なかなか含蓄のある記述にあふれている。言っていることはただひとつ、「語学に王道なし」。 先日読んだばかりの『記憶力を強くする』に出てきた、学習成果の現れ方に関…

テポドンを抱いた金正日

中国にいる時、古本屋で購入した『十萬個為什麼(十万個の「なぜ?」)』という本がある。現在でも再版を重ねて出版されている有名なシリーズで、数学や物理学、化学や天文学といった自然科学の様々な知識をやさしく解き明かした子供向け科学読み物全集だ。 …

手塚治虫 原画の秘密

フランク・ステラという美術作家がいる。ストライプを基調としたミニマル・アートで有名な人で、私が学生の頃、とても人気のある作家だった。後年は作風ががらっと変わるが、若い頃は端正な抽象絵画ばかり発表していた。 ある日、友人の一人がステラの回顧展…

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方

昔から人の顔と名前が一致しない、というか人の名前をなかなか覚えられない。これは断じて年のせいではなく、昔からそうだったのだが……って、声高に強調するようなことでは全然ないのだけれど、とにかくあまり記憶力のよい方ではない、と自分では思う。 とい…

Fine. 1 (1)

美大を卒業するも就職せず(できず?)、ファインアートの芸術家を目指す二十代後半の男性が主人公。 『東京タワー』のリリー・フランキー氏が、「美術大学というところは特殊な価値観の中、学生が温度の低い優越感を抱いている。もう、そこに入学しただけで…

打ちのめされるようなすごい本

米原万里氏の全書評集。前半は亡くなる直前まで連載されていた『週刊文春』の「私の読書日記」、後半は様々な媒体に発表された、長短・硬軟とりまぜた書評や文庫本の解説などが収められている。 米原氏の博覧強記と旺盛な批評精神、それにユーモアあふれる文…

イキガミ(1)

「魂揺さぶる究極極限ドラマ」と帯やカバーにある。 「国家繁栄維持法」が施行されている日本。就学時に全国民が接種を受ける「国繁予防接種」には、千人に一人の割合で特殊な「ナノカプセル」が混入されており、十八歳から二十四歳までの特定の年月日にカプ…

現在官僚系もふ(6)

安倍新政権が成立直後に中国訪問だ、北朝鮮の核実験だと世の中が動いているなかでは、現実離れにも一段と拍車がかかってしまうが、いちおう第五巻から始まった「対中ODA『外務省』編」の続きなので、読む。 中国としては、ODAの大半を占める「有償援助」は使…

ブラッカムの爆撃機

英国の児童文学作家・ウェストールの作品集。表題作『ブラッカムの爆撃機』に心酔する、宮崎駿氏によるマンガがついている。ウェストールという人の作品を初めて読んだけれど、これは確かにすごいリアリティ。第二次世界大戦中、ドイツを何百機という単位で…

夢と魅惑の全体主義

先日、長春へ出張した際、街の中心街に威風堂々たる姿を見せるいくつかの建築物が目を引いた。いずれも旧満洲国の時代に建てられたもので、頂部に特徴的な瓦屋根を載せている。特に関東軍司令部庁舎として建てられ、現在は吉林省共産党委員会として使われて…

魯菜情縁

東京は四谷で、伝説の“魯菜(山東料理)”店「済南賓館」を営む佐藤孟江氏の自伝。『済南賓館物語』(絶版らしい)の中国語版だ。派遣先の先生に貸していただいた。 この本によれば、いわゆる四大中華料理とは、広東料理・四川料理・上海料理、そして山東料理…

日・中・台 視えざる絆―中国首脳通訳のみた外交秘録

大陸と台湾双方で、それぞれ周恩来と蒋介石の日本語通訳者をつとめたふたりの台湾人へのインタビューを軸に、戦後中国・台湾・日本外交史の舞台裏をさぐるノンフィクション。 通訳者にまつわるエピソードもさることながら、「日中国交正常化」とそれに伴う「…

なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか

宇宙人にさらわれたと訴える人々(アブダクティーと呼ぶ)を新聞広告で募集し、多くの体験談をもとにアブダクティーの心理に迫った本。新宿の地下街で、待ち合わせの時間つぶしにと適当に選んで買った本なのだが、これが思わぬ掘り出し物だった。ものすごく…

「そうじ力」であなたが輝く!

家や部屋の中が散らかっていたり汚かったりすると、それだけで人生がマイナスに向かい始める……ということを説いた本。主に女性向けに書かれた本なので、全編かわいらしいイラストがついている。私のような男が電車の中で読むにはかなり勇気がいる。大昔にベ…

幸福に驚く力

『ゲド戦記』の翻訳者である清水眞砂子氏の講演録。すごくおもしろい。私たちは物語を介して世界と関わっているとか、人生を肯定的にとらえたいとか、世界は自分が考えているよりもっと深くて広いとか、他の人が話したら何となく胡散臭く感じてしまうかもし…

アジアエコー

台湾への行き帰り、日本アジア航空の機内でCFのメイキング映像が流れていた。 オセロの二人が出演している「♪台湾台湾行きたいわ〜ん、JAAで行きたいわん」というアレだ。以前の志村けん+金城武のバージョンもよかったけれど、今回も台湾の魅力たっぷ…

クライマーズ・ハイ

台湾へ向かう飛行機の中で一気に読んだ。どっしりした構成でぐいぐい読ませる。ただ個人的にはあんまり好きな文体ではなかったので、いまひとつ物語に入り込めなかった。これは著者の力量とは関係なく、単に嗜好の問題。 読了間近、かの航空機墜落事故に翻弄…

貝と羊の中国人

徹底した現実主義である「貝の文化」と、激烈なイデオロギー性である「羊の文化」。二つの文化を使い分ける行動様式を皮切りに、言語文化・死生観・歴代のヒーローや英雄・「中華思想」など、かの国の人々を理解するための切り口が数多く盛り込まれた本。雑…

りえちゃんとマーおじさん

派遣の仕事で通っている学校の先生が貸してくださった。童話の体裁をとった「お料理ファンタジー」だそうだ。著者の南條竹則という人は『中華満喫』でその豊富な蘊蓄を披露されている学者さんだが、本来の専門は英国文学とのこと。へええ、“多才多藝”な方だ…

中国は社会主義で幸せになったのか

タイトルに惹かれて買った。タイトルからして、最近あまた出版されている挑発的な中国批判書と同工異曲なのだろうなと思ったのだが、意外にきまじめな本だった。さまざまな政治体制改革や政治革命が次々に起こった清朝末期から現在までの中国近現代史を時系…