インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

どこが癇に障ったのかしら

けさ同僚から、ニューヨーク・タイムズ紙のこんな記事を教えてもらいました。

www.nytimes.com

中国のいわゆる「ゼロコロナ政策」を事実上転換に追い込んだ市民のデモに関連して、そうしたデモの背景を外国の勢力と結びつけたい中国当局の思惑について報じています。そうやって内なる不満を外に向けようとするのは、かの国の常套手段ではありますが、同僚と私が注目したのはその矛先が中国国内のフェミニズムにも向けられているという点です。特にこの部分……

The police asked about the women’s book clubs, where they had read Chizuko Ueno, a prominent Japanese feminist scholar. They pointed to their use of Telegram, the messaging app, which is blocked in China without special software. At least some of the women had studied overseas.

上野千鶴子氏の著作の読書会を行った」というのも当局が圧力をかける理由のひとつになっているみたい。これはあれですね、“豆瓣”による「昨年中国で最も高く評価された書籍」の第一位に上野千鶴子氏と鈴木涼美氏の『往復書簡 限界から始まる』(中国語題:《始于極限》)が選ばれたという、つい先日のこのニュースとリンクしていますね。

news.livedoor.com

私はこの本をまだ読んでいないので、さっそく読んでみようと思います。この本を読むことのどこが、中国当局の癇に障ったのか興味があります。というか、かの国の当局が抑え込みにかかる対象は、およそ既存の体制に少しでも異議を唱えようとするものすべてですから、読んでもはっきりしないか、あるいは逆に当たり前すぎるくらい当たり前という感想しか抱けない可能性もありますけど。


https://book.douban.com/subject/35966120/