インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

音楽があると集中できない

もうずいぶん昔のことですが、絵本作家の五味太郎氏が「絵を描くときはいつも音楽を流している」とおっしゃっていて、びっくりしたことがありました。当時の私は絵を描くのが好き(いまはもうまったく描けなくなりましたが)だったのですが、絵を描くときに少しでも雑音があると、ましてや音楽などがかかっているとまったくはかどらなかったからです。

きのう近藤康太郎氏の『百冊で耕す』を読んでいたら、氏も文章を書くときに音楽を流している(ただし歌詞のある歌は思考の妨げになるので聞かないそうです)とおっしゃっていて、これも驚きました。私は音楽がかかっているとちっとも文章がはかどらないからです。だからコワーキングスペースなどでBGMが流れていたりすると、たとえそれがかすかな音量であっても気が散って筆が進みません。


百冊で耕す 〈自由に、なる〉ための読書術

本を読むときだって、私は音楽などが流れているとどうにも集中できません。だからカフェみたいなところで読むこともほとんどありません。ごくごく軽い読み物みたいなものならなんとかなりますけど、ちょっと小難しい本になるとまず無理です。どうも私は、ひとつの作業にしか集中することができない体質(?)のようです。きわめてマルチタスクな対応が必要な通訳者などという仕事をよくやっていたなあといまにして思います。

きょうもきょうとて、早朝にジムで運動しながらいつものように中国語の講演録を聞いていたのですが、自分の大好きな北宋の政治家で文人の蘇東坡(蘇軾)についてのお話だというのに、流れているBGMが気になって内容が入ってきませんでした。どうしてこんな音楽を入れちゃうんでしょう。もとより中国語には四声があって音楽みたいな言語であるところに、わざわざBGMをかぶせるなんて、中国語の美しさと味わいが台無しではないですか。


www.youtube.com

……なんてことを周囲の友人知人に言っても、みなさんたいがい「何を言ってるんだ、こいつは」というような反応をされます。おのれのシングルタスクっぷりが恨めしいです。