インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

フィンランド語 88 …日文芬訳の練習・その21

帰宅途中にZoomミーティングに参加した話を書きました。住宅街の中にある小学校の校門前から日本語と中国語でスマホに向かって話していたのですが、往来の人にはかなり奇妙に映ったと思います。すみません。「屋外でZoom会議をした」というのを、最初は “käv…

いつかたこぶねになる日 漢詩の手帖

私は詩というものが分かりません。いや、唐詩や宋詞にも、俳句や短歌にも、また明治期以降の新体詩にも「いいなあ」と思うものがたくさんあって惹かれ、中には諳んじているものだってあるけれども、自分で紡ぎ出すことができないのです。詩心というものに乏…

腰痛対策用のパソコンスタンド

慢性的な腰痛がいっこうに軽快してくれません。痛くなる場所は決まっていて、歩いたり、ジムで筋トレをしている時はなんともないのですが、デスクワークをしていると痛くなります。これはもう、要するに座って仕事をするときの姿勢に何か問題があるのですね…

你好小朋友 中国の子供達

ネットでたまたま見つけた動画を留学生の通訳訓練に使ってみました。1983年に出版された写真集『你好小朋友 中国の子供達』の写真家・秋山亮二氏の動画です。youtu.be一目見て、いいなあと思いました。子供たちの表情がとてもいい。この写真集は長らく絶版だ…

台湾の“魚酥”

台湾の友人が“魚酥”を送ってくれました。うちの招き猫も喜んでいます。これ、おいしいんですよねえ。“魚酥”はこの「味香魚丸店」が元祖らしいですが、友人がお店を紹介したテレビ番組の動画も教えてくれました。非凡大探索_正宗創始小吃_淡水60年魚酥なるほ…

じい散歩

最近、東京都心をできるだけ歩くようにしています。男性版更年期障害とでも言うべき不定愁訴は週に三回ほどのジムの筋トレでかなり解消されたのですが、有酸素運動が足りません。といってジムのドレッドマシンで三十分も四十分も走り続けるのはあまり面白く…

旅の効用 人はなぜ移動するのか

昨年ベストセラーになった、ハンス・ロスリング氏の『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』に、「世界はどんどん悪くなっている」と考えてしまう「ネガティブ本能」について書かれた一章がありました。ネガティブなニュースは耳目を集めやすいためどんどん伝わ…

フィンランド語 87 …日文芬訳の練習・その20

東京という街は、気候的にはあまり過ごしやすい場所ではないと思います。夏は異様に蒸し暑いですし、冬は異様に寒いですし。東京の冬程度で「寒い」などと言ったらフィンランドの人に怒られそうですけど、たしかに屋外の寒さはそれほどでもないものの、屋内…

翻訳の授業 東京大学最終講義

「翻訳の正しさは原文とは無関係で、百パーセント現実との照合で決まる」と筆者の山本史郎氏は主張します。つまり原文と訳文の間の語彙や文法などよりも、その二つの文が現出させる世界がぴったりと一致していることが何より大切なことなのだと。 翻訳の授業…

アップデートされていない

フィンランド語のニュースサイトをのぞいていたら、橋本聖子五輪担当大臣が東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長就任要請をうけたという話題が載っていました。見出しには“joutui vielä selittelemään omaa ahdisteluskandaaliaan(自らのセク…

大きな声で訳してください

「もっと大きな声で訳してください」。教室で、このフレーズを何度言ったか分かりません。たぶん千回は超えているんじゃないかしら。いえ、これは誇張でも何でもなくて。通訳訓練で、生徒さんの声があまりにも小さくて、すぐそばにいるのに聞こえにくいこと…

試験も評価もやめてしまいたい

学年末が近づいてきまして、私の奉職している学校でも期末試験が始まりました。進級や卒業がかかっているので留学生のみなさんもかなり真剣です。私は自分の担当科目の試験問題を作ったり、他の科目の試験監督を請われたり、試験後は採点に追われたりと、こ…

遺言未満、

紙の新聞って、すっかりお年寄り向けのメディアになっちゃいました。いつも職場の図書館で新聞各紙を読んでいるのですが、まずそこに載っている広告の、ほとんどが中高年やお年寄り向けだなあと思います。そして気がついてみれば基本的な事実を述べる記事(…

その外語を学んで楽しい?

中国の中学生や高校生に、日本語学習者が急増している理由は? 答えは「大学入試で受かりやすいから」。先日の東京新聞朝刊に興味深い記事が載っていました。「漢字が共通して発音も難しくない日本語学習は『最初のハードルが低い』」ため、英語で大学入試に…

五輪を弔う

森喜朗氏の女性蔑視発言に端を発する五輪組織委員会のゴタゴタが尾を引いています。思い起こせばこの五輪、その招致時から賄賂疑惑や「アンダーコントロール」の吹聴など数多くの問題があり、招致が決まってからも新国立競技場の建設、エンブレムの盗作疑惑…

フィンランド語 86 …日文芬訳の練習・その19

森喜朗氏は五輪組織委員会の会長を辞任しましたが、その後継を巡っても引き続きドタバタしています。つくづく、今回の問題は森氏ひとりの資質のみならず、この国の政治や社会のあり方全体が問われているように思います。人間の資質はもちろん年齢だけで判断…

フィンランド語 85 …動詞の変化ワークシート

フィンランド語の教室はオンラインでの授業が続いています。ここのところは授業の最初に「基本に戻って復習しましょう」ということで、私たち生徒が2〜3人ずつZoomのブレイクアウトルームに分かれて、動詞の復習をしています。誰かが動詞の日本語を言って…

さよなら、男社会

読みながら、ずっともどかしい気分に囚われていました。ときにそれは軽い「吐き気」を催すような居心地の悪さでもありました。尹雄大氏の『さよなら、男社会』の読書感です。もどかしい気分になるのは、自分の中ににも確実にある「男性性」の正体がなかなか…

ダークサイドに堕ちているかもしれない

あからさまな女性蔑視発言をして世界中から顰蹙を買い批難を浴びているのに、ちっとも反省の色が見えない森喜朗氏。氏のみならず、首相も与党幹部も、財界からも擁護なり黙認なりの声が次々に伝わってきて、本当に情けなく恥ずかしい気持ちです。女性蔑視発…

語学で身を立てる

語学関係者ならページをめくるたびにいちいち頷き、付箋を貼りまくり、「そうそう! この本に書かれていることは、この業界ではごくごく当たり前のことばかりなのに、一般に広く知られていないのはなぜだろう?」としみじみ思うはずです。通訳者や翻訳者がや…

ウイルスの世紀

新型コロナウイルスに対するワクチンの接種、日本は非常に遅れているという報道に接しました。news.yahoo.co.jpいつの間にか、「日本は医療や医薬に関して世界でも最先端の体制を整えている」という自負のようなものが私たちにはあったと思うのですが、それ…

フィンランド語 84 …日文芬訳の練習・その18

定年後に悠々自適で読書三昧なんてのは幻想で、年を取ると読書をする体力がなくなるから、体力があるうちにどんどん読めーーてなことが最近読んだ本に書いてありました。大いに同感だったので作文にも使ってみました。「トルストイやディケンズやプルースト…

「エラソー」な物言いを慎みたい

先日の、森喜朗氏(東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長)の記者会見は酷かったですね。もともとコロナ禍で東京五輪の中止を求める声が国民の八割にも達している中、わざわざ大量の燃料を投入してさらに炎上させようと目論んだのかとさえ思える…

留学生から出された質問に対して

先日、通訳訓練の一環で外国人留学生のみなさんに私がいままでしてきた仕事を話すという機会がありました。留学生のみなさんは日本で、あるいは母国や第三国での就職を目指している方が多いので、参考になるかもしれないと周囲には言われたのですが、私自身…

自分の作文を暗誦する

トロイア遺跡の発掘で有名なシュリーマンは「語学の天才」としても名高く、試みにネットで「シュリーマン 語学」とでも検索してみると、十種類の言語をマスターしたとか、十八種類だとか、いや二十二種類だとかの様々な説が見つかります。自著『古代への情熱…

話すことと訳すこと

華人留学生の通訳クラスで、中国語→日本語の訳出があまりにもたどたどしい方が多いので、しばらく「1分間スピーチ」を課題にしていました。学生は日本語をもう何年も学び続けている方ばかりですけれど、やはりアウトプットの機会、それも日常のおしゃべりレ…

Duolingoの中国語版で英語を学ぶ

通勤途中に語学学習アプリの “Duolingo” を使っています。連続記録は今日でちょうど1700日になりました。英語はすでに「スキルツリー」を完成させてしまったので、ときどき「スキルの復元」をする以外はもっぱらフィンランド語の “Duolingo” に取り組んでい…

電子ペーパーで絵を飾りたい

スウェーデンの画家に Simon Stålenhag(シモン・ストーレンハーグ)という方がいて、私はその荒涼としたディストピア感あふれる画風になぜか惹かれています。心躍るような要素はほとんど見当たらないにも関わらず、わずかに漂うユーモア。そして、よくよく…