インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

糖分が身体に染みる

「空腹にまずいものなし」といいますね*1。お腹が空いていれば、どんなものでもおいしく感じられると。逆に、何かをおいしく食べようと思ったら、お腹を空かせておく必要があるともいえます。実は最近それをひしひしと実感しています。ただし、食べるものは「甘いもの」で、それをおいしく食べられる前提条件は「筋トレ」です。

コロナ禍で今年も旅行に行くことはあきらめたので、この夏は筋トレの「強化月間」にしました。八月の一ヶ月間、職場の学生は夏休みで、こちらも授業をする必要がないため、出勤時間の調整がかなりしやすくなります。それで毎朝ジムで過ごす時間を少し長めにとって、そのぶんじっくりとトレーニングすることにしたのです。

パーソナルトレーニングのトレーナーさんに相談したら、以下のようなローテーションを提案され、それぞれについて、ダンベルやバーベル、あるいは自重を使ったメニューの正しいフォームを指導してくださいました。

1:胸と上腕三頭筋
2:背中と上腕二頭筋
3:肩と下半身

これまでも似たようなローテーションを組んではいましたが、時間に多少余裕があるので、より細かく丁寧に行うメニューを学び、八月に入ってからここまで三週間、地道に実践してきました。ある意味、こんなに地味な夏の過ごし方をしたのは初めてかもしれません。

こうやってきちんとメニューをこなすと、そのぶんきちんと筋肉痛が訪れます。久しぶりに本格的(?)な筋肉痛に襲われて、逆に普段のトレーニングはかなり惰性に流れていたのかなと思いました。筋トレって、かなり繊細な意識の持ちようが大切なんですよね。惰性に任せてひたすらやっても、ほとんど効果が現れない。もちろん何もしないよりは身体を動かしているだけ健康に資する部分はあるでしょうけど。

そして、トレーニング後には糖質をきちんと補給しましょうということで、トレーナーさんから「おにぎり一個でも、大福一個でもいいので食べてください」とアドバイスされました。それにしたがって、ジムの近くにあるファミマで大福やきんつばなどを買っています。

この甘味が、ちょっと言語化するのに苦労するくらいおいしいのです。もともと甘いものは好きですけど、味とか食感とか以前に、身体全体が甘さを享受している感じが半端ではありません。何でしょう、今までに味わったことのないこの「糖分が身体に染みていく」ような感じは。

和菓子や洋菓子を本当においしく食べたいのなら筋トレをするに限ります。……なんてことを書いてまた、周囲から怪訝な眼差しを送られてしまう自分になっていくのでした。


よしながふみ『西洋骨董洋菓子店』第一巻

*1:空腹にまずいものなし、ひもじい時にまずいものなし、空腹は最高のソース、スパイス、調味料……など、いろいろな言い方があるようです。やや意味がずれますが、中国語だと“飢不擇食”でしょうか。