インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

「お連れ合い」一択で

「ご主人」と呼ぶのは無神経だと抗議の電話をかけたのは是か非か。昨年末のことですが、そんな議論がありました。

togetter.com

この「ご主人」(あるいは「奥さん」など)については、昔から何度も論争になってきました。同様の論争が繰り返されるということは、それだけこの問題にいまだに「解」が見つからないということですよね。言葉は変わっていくのが常なのに、この件はなかなか変わらない。Twitterではへフェリン・サンドラ氏もこうおっしゃっていました。

そう、その代案なり解なりがなかなか見つからないんですよね。ただ、私も若い頃から「奥さん/ご主人」は絶対ヤダってんで「パートナー」とか「妻さん/夫さん」などいろいろ試すも、どれもしっくりこなかったのですが、歳をとって「お連れ合い」をごく自然に使える自分に気づきました。白髪まじりで老眼メガネのオジサンが使うと、「お連れ合い」は不思議に違和感がないのです。

それから、いまの職場には外国籍の人もいるので、お連れ合いの名前を知っている場合には「〇〇さん」と名前で呼ぶのが一番自然な感じになりますし、実際そうしています。また私のように過去に事実婚とか再婚とか色々あって、それを知っている付き合いの長い人たちは旧姓で呼んでくれたり、苗字や名前で呼んでくれたりもします。歳を取るとその辺がいい具合にこなれてくる。

自分のお連れ合いを「嫁」と呼ぶ人は私の周囲にもいますが、これはどうしても馴染めません。やっぱり「もらう」とか「出す」とかに結びつくからでしょうね。モノ扱いかと。そう、言葉の選択基準は、その言葉そのものだけでなくコロケーションにもよるのです。だからたいへん失礼ながら、言葉のコロケーションに人一倍敏感であるはずの語学の先生や、通訳や翻訳をやってらっしゃる方が「嫁」を使っていると、少々意外な感じがいたします。

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https://www.irasutoya.com/2013/05/blog-post_9028.html

「女将さん」や「旦那さん」は落語の世界みたいで好きですが、自分ではあまり使いません……というか、まだそこまで人間が熟(こな)れていない。自分の連れ合いをカタカナで「カミサン/ダンナ」と書けばちょっとした諧謔味はありますけど、これは文章の中だけですからねえ。当面、他人の配偶者に対しては「お連れ合い」一択で行こうかなと思っています。自分側は「妻」のみ。以前は文章の中だけ「細君」を使っていたんですけど、これもちょっとキザで、かつ自分の身の丈に合わないような気がして、最近は使わなくなりました。

qianchong.hatenablog.com