インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

ご主人と呼ばれて困惑する

昨日、Twitterのタイムラインで拝見した、こちらのツイート。

なるほど、たとえば夫婦で訪れた客のうち、妻が自分のカードで支払ったのにホテル側はそのカードを夫に返す……と。そんなことがあるのですね。これはいくらなんでも、ひどいです。

私の同僚で、夫が米国人の日本人女性がいるのですが、彼女によると「夫が自分のカードで支払ったのに、私にそのカードを返されることがある」と言っていました。そうそう、日本では「ガイジンさん」は日本語が通じないとハナから決めつけて、日本人(に見えるほう)にカードを返す、あるいは話しかける(その外国人の夫が日本語で話していても!)ということが、割合よくあるようです。これも、ひどい。

完璧なサービスなど存在しませんし、また完璧を追求すべきでもないと思いますが(過剰なサービスの追求は労働の強化となって不幸を生んでいると思います)、こういう硬直化した意識は一朝一夕には変わらないのでしょうかねえ……。

ご飯は女性がよそうもの?

上記のツイートには、そのあとに連投されているツイートがいくつかあって(詳細はTwitterでご覧ください)、その中に「旅館などでお櫃が女性の側に置かれる問題」が含まれていました。

実は先日京都で、細君の快気祝いということで少々奮発して老舗旅館に泊まったんですけど、確かにご飯の「お櫃」は細君の側に置かれましたね。うちはいつも私の担当なので自分でお櫃を移しましたけど、これ、海外の方にも同じようにしているのかなと想像すると、ちょっと危ういような気もします。

だって、何も聞かれずにお櫃が女性の側に置かれたら、「女性の私がよそえってこと?」……となりそうじゃない? くだんの旅館では細君がいわゆる上座に座っていたんですけど、それでもお櫃は細君の側に置かれましたから、やっぱり「女性がよそうもの」というのがデフォルトなんでしょうね。

でもまあ、お櫃が置かれたときに「あ、私がやりますから(笑顔)」と言えば、次からは私の側に置いてくれるのかな。うん、がぜん興味がでてきました。次にあの旅館に泊まることがあったら、ぜひそうしてみたいと思います。

余談ですが、Twitterでは「ワインのテイスティングは必ず男性に振られる」というツイートがありました。確かにそうですね。割とお高いレストランでは「男性に渡されるメニューにだけ金額が書いてある」というのも、実際に経験しています。こういうのも、まあ伝統と言ってしまえばそれまでですけど、最初から男女の役割を決めつけちゃうの、私はやっぱり馴染めません。
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https://www.irasutoya.com/2015/05/blog-post_980.html

奥様と旦那様

上記の旅館では、私達につきっきりでお世話をしてくださるスタッフの方がいたのですが、この方は細君のことを「奥様」、私は「ご主人」と言っていました。たとえば配膳するときに、もうひとりのスタッフに向かって「こちらのお皿を奥様へ」などと指示するなどですね。

この「奥様」や「ご主人」という呼称、私はと~っても違和感があるんですけど、じゃあ自分がスタッフの立場になってみたらと考えると……けっこう難しいです。「お連れ合い」は不自然な感じだし、「妻さん・夫さん」はありえないし、名前で読んだら、披露宴の司会みたいですしねえ。この件に関してTwitterでつぶやいたところ、「お連れ様」という呼称もありますというご意見をもいただきました。

自治体の窓口などでもこうした呼称について色々と苦慮していて、たとえばある自治体では「妻さん・夫さん」に統一しているという話も聞いたことがありますが、こうした議論から新しい日本語が作られ、人口に膾炙していくまでには(そもそもそうした可能性があるのかどうかも含めて)まだまだ時間がかかるでしょうね。