ポルトガルのワインと料理を楽しみながら、彼の地の食文化を知るという集いに参加してきました。編集者・ライターで「ポルトガル食堂」を主宰されている馬田草織氏とIDÉE SHOP共催のイベントです。
イベリア半島の西側、南北に細長く伸びる国土のポルトガルは、冷涼な北部から温暖な南部まで様々な気候風土があり、たくさんの土着葡萄品種があって、様々なワインが生産されているよし。かつて通ったワインスクールでは、やはりフランスやイタリアなどのワイン大国の存在感が大きくて、ポルトガルワインはあまりテーマに挙がらなかったのですが、それでも「ヴィーニョ・ヴェルデ(緑のワイン)」や酒精強化ワインの「ポート」「マディラ」などはけっこう飲みました。
今回は「夏の終わりを楽しむ」がテーマということで、爽やかな酸味が特徴の「ヴィーニョ・ヴェルデ」のほかに、比較的軽い味わいのワイン、さらに酒精強化ワインまで10種類ほどを少しずつ飲みながら、軽いおつまみを食べるという楽しいイベントでした。
ポルトガル料理って、イワシの塩焼きがあったり、お米を多用したり、他にもカステラや鶏卵素麺(実家がある福岡で一番好きなお菓子です)みたいなのが日本の甘味として定着していたりして、わたしたちの好みにも近いような感じがします。
かつてポルトガル領だったマカオへ行った際に食べたイワシの塩焼きは、オリーブオイルがかかってとても美味しかったです。ポルトガルの方はこれに赤ワインを合わせるそうですが、なるほど「ヴィーニョ・ヴェルデ」のような酸味が強くて軽い赤ワインなら、シンプルな魚料理にも合いそうです。
ワインはどれも美味しかったですが、やはり「ヴィーニョ・ヴェルデ」、それも珍しい赤の「ヴィーニョ・ヴェルデ」(赤い緑のワインですから、まんま補色で矛盾してますが)と、アルコール度数高めながらマスカットのような香りで軽やかな「アランブル」という甘口のワインが特に印象に残りました。
https://www.wine-kishimoto.com/details/kip109.html
http://www.pontovinho.jp/shop/g/g71287820/
おつまみはポルトガルふうの豚肉サンドイッチ「Bifana」のほかに、クミンの効いた人参とネクタリンのマリネ、サラダ、オリーブ、マルメロジャムと塩気の強い羊乳チーズの組み合わせなど。どれも肩肘張らないシンプルな料理でワインによく合いました。
最近はあまりお酒を飲まなくなったのですが、たまにはこうやってあれこれ試飲するのも楽しいです。それでも「明日しんどくなると困るから……」と酒量は控えめ。後顧の憂いなくがぶがぶ飲むというのはもうできないし、あまりやりたくもない……そんな「お年頃」になってしまいました。
ところで、今回のイベントを主催された馬田草織氏はポルトガル料理に関する本を何冊も出されていて、私は以前から『ポルトガルのごはんとおつまみ』を愛読しています。この本にはワインによく合うポルトガル料理がたくさん載っていて、私もいろいろと作ってみましたが、ポルトガルならではの干し鱈「バカリャウ」のかわりに甘塩のタラを使うなど、日本で手に入る普通の食材で作れるのがとても親切です。
さらにこの本で一番共感したのが、炊き込み系のごはんを「お酒のつまみ&シメ」として位置づけ、多くの紙面を割いていること。酒飲みはふつう「ご飯に酒~?」と敬遠しがちな組み合わせですが、これがもう、本当に美味しいのです。とくにそれほど高級でもない、気安く飲めるワインをどんどん開けながら炊き込み系のごはんを食べるのは至福のひととき。……続けていたら、確実にお腹周りがふくよかになりそうですけどね。