毎日毎日炊事をしていると、ときに「ああ、今日は仕事でひどく疲れたから、手抜きしようかな」という気分になることがあります。そういう時は「もう鍋にしちゃえ」ってんで、しゃぶしゃぶ用豚肉と白菜と葱と豆腐あたりを水炊きにしてポン酢だけで食べたりします。お湯だけの水炊きだと何となく寂しいので昆布を敷いたりはしますけど……。
炊事が好きな人にとっては、食事を作って食べて片付ける過程そのものがある種ストレス発散の方法でもあるので(たぶん。少なくとも私はそうです)、どんなに疲れていても忙しくても何か手を動かして作りたくなるんですよね。よしながふみ氏のマンガ『愛がなくても喰ってゆけます。』冒頭に出てくる「締切間際なのに料理に一手間かけちゃう」というこのシーンには、だからとっても共感できるのです。
だけど、それでもたまに、しんどくなって何も作る気力が出ないことがあります(年に数回もありませんが)。炊事に倦んだのなら、外食するとか惣菜を買って帰るという選択肢もあるんですけど、まず外食は、特に東京のそれは、もう私にとっては味が濃すぎて食べるのがつらくなってしまいました。ほんの少し前まではおいしいラーメン屋さんの食べ歩きなどしていたというのに、最近はほとんど行っていません。
お惣菜は、デパ地下なんかで売られているお惣菜などとてもおいしそうだし、実際確かに珍しい食材なんかもあっておいしいんです。けど、これはなかなか言語化が難しいのですが「おいしすぎて、おいしくない」のです。外食同様に味が濃すぎるというのもありますが、それ以上に味が複雑すぎるというか、いろいろな味がしすぎるというか、食べてて疲れちゃう感じ……。
う〜ん、やっぱりうまく言語化できないなと常日頃から思っていたのですが、先日Twitterでこんなツイートを拝見しました。
市販のうんざりするような味に共感。イモの味がどんどんマスキングされる時点で意味ないもん。 https://t.co/uvxUNoXm9H
— 馬田草織 (@saoribada) 2019年6月23日
なるほど、「うんざりするような味」と。別に添加物がたくさん入っているとか、どこかケミカルな味がするとかではないのに「食べてて疲れちゃう」感じにぴったりなような気がしました。いえ、だからって素材そのまま食べときゃいいなどと野性的なことを言うつもりはありません。
私だって例えばカレーを作るときなど、手持ちのスパイスや調味料なんかを「フリーダム」な感じでいろいろ加えて複雑な味に持って行きます。だけど、市販のレトルト食品や冷凍食品などには「うんざり」しちゃうのです。昨今のレトルト食品や冷凍食品はとっても「進化」していておいしいぞ、バカにできないぞって友人には勧められるんですけど……。