インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

このあたりで「成仏」しなきゃ

50代になったら「成仏」しなさい、と言われました。大江英樹氏の『定年前、しなくていい5つのこと』という本を読んでいたときのことです。いつまでも会社人生にこだわらないで、新しい人生に向かいなさいという意味だそうです。

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定年前、しなくていい5つのこと~「定年の常識」にダマされるな!~ (光文社新書)

この本は主に比較的規模が大きな企業の、ゼネラリスト系サラリーマン(それも男性)を読者に想定して書かれているようですから、自分の状況とはかなり異なる部分もあるのですが、言わんとされていることはとてもよく腑に落ちました。私もここ数年、どうやってセカンドライフを作り出していこうかなと折に触れて考え続けているからです。

私は現在、主に語学で生計を立てていますが、そのうちメインで働いている職場はあと数年で定年を迎えます。定年後も数年は嘱託という形で仕事を続けることはできるものの、正直なところ、もうこのあたりで卒業、いや「成仏」して、次のステージに行きたいなと考えています。もうひとつの職場は特に定年はなく、健康でいる限り、そして「もうアンタはいらない」と言われない限り続けていくことはできるかもしれません。でもこれも、できればそろそろ店じまいして次に行きたい。行ってみたい。

だから、今のうちから仕事をどんどん次の世代の方々へ手渡そうと思っています。私がやっているのはそう大した技術でもありませんし、仕事上のノウハウや知識のようなものも「これ」という形で存在しているものは少ないので、手渡すったってたかが知れています。ただ、職場にはその他にも細々とした仕事がたくさんあり、それらはできるだけ早めに他の人に引き継いでいってもらいたいと思うのです。

なのに、これは大規模な人事策が取りにくい小規模の職場にありがちなことなのですが、なかなか新しい人が職場に入ってこず、現役の職員がそのままごっそり塊で持ち上がって次々に定年を迎えそうです。もちろん人事については経営側が考えればよいことですから、私のような末端が悩む必要もないのですが、それでも職場を去るにあたって修羅場を見たり巻き込まれたりするのはちょっと気が重いです。

ただ、これも先日読んだ堀内都喜子氏の『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』という本には、こんなエピソードが紹介されていました。

以前、日本に出張中のフィンランド人に言われて、忘れられない言葉ある。「コップに砂をいっぱい入れて指を突っ込んでみて。指を抜いたらどうなる? 穴ができるのは一瞬。あっという間に穴が埋まってしまう。それは組織と同じなんだよ。自分が抜けても、必ず周りがその穴を埋めてくれる。だから安心して抜けていいんだよ。(217ページ)

おお、そういやそうだ。私の今の職場だって、前任者が急に辞めてしまって現場が混乱しているときに、たまたま声をかけられてご縁ができたのでした。その時はもちろん引き継ぎもへったくれもなく、いきなり現場でなんとかして! と懇願されるような状態から仕事を始めました。それでもまあ、何とかなってる。

そう考えると、気が楽になりました。今年も引き続き、これまでやってきた仕事から徐々に手を引きつつ、次への移行を模索していこうと思います。「昔取った杵柄系」にはなりたくないので、できればこれまでとはぜんぜん違う方向がいいな。

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