インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

選択的「夫妻」別姓

きのう朝ごはんを食べながらテレビをつけたら、ジャーナリストの青木理氏が「選択的夫妻別姓」について述べておられました。「夫婦別姓」じゃなくて「夫妻別姓」です。なるほど、私もこれまで「夫婦別姓」という言い方に慣れてきましたけど、「夫妻別姓」という言い方には一理あるかなと思いました。

私は自分の連れ合いのことをごく親しい間柄では名前で、それ以外の人前では「妻」と呼びます。妻は私のことを「夫」と呼んでいます。他人の夫や妻のことを呼ぶときは、「あなたの夫」とか「あなたの妻」などは失礼な感じがするので「お連れ合い」とか「パートナー」。「ダンナ」や「奥さん」は、周囲の同僚にはこれらを使う人もいますが、私はちょっと抵抗があって使えません。あと自分の配偶者のことを「嫁」と呼ぶ人もいて、私はこれはちょっとどころか絶対に使えないです。


https://www.irasutoya.com/2020/11/blog-post_65.html

話を戻して「夫妻別姓」ですけど、妻や夫という言い方がよりニュートラルに感じているのだったら、夫婦別姓より夫妻別姓のほうがより使いやすいかな、と思いました。私もこれからは「選択的夫妻別姓制度を早く導入すべき」などと言ってみることにします。

ところで「夫婦」と「夫妻」にはちょっとした違いがありますよね。自分たちのことを「私たち夫婦」とは言えるけど「私たち夫妻」とはふつう言わない。夫妻は自分たち以外のカップルを指す言葉ですよね。とはいえ「あなたたち夫妻」はしっくりきません。やっぱり「あなたたち夫婦」かなあ。「〇〇さん夫妻」と「〇〇さん夫婦」ならどちらも自然だけれど、どちらかというと「夫妻」のほうがていねいな(あるいはよりあらたまった)感じがします。

あ、でも「〇〇さん夫妻/夫婦」という言い方そのものが、夫婦同姓ないし夫妻同性を前提にした言い方ですか。それに夫妻も夫婦も結局は男女のカップルってことが前提になっているような。私は同性婚の法制化にも賛成なので、ここにもちょっと隔靴掻痒感が拭えません。なにかもっとこう、新しい言葉が必要だなと思います。既存の言葉が時代や人々の意識の変化に追いついていないんですね。