今朝の東京新聞に、ロシアのカレリア共和国の話が載っていました。ロシアによるウクライナ侵攻によってフィンランドとスウェーデンがそれまでの中立路線をを転換し、NATOへの加盟に動いたことで、NATOとロシアの境界線が大幅に伸びることになりました。フィンランドはロシアと約1300キロメートルにわたって国境を接しているからです。その大部分は、このカレリア共和国との境なのです。
カレリアという地名は日本ではほとんど知られていないように思えますが、フィンランド語学習者にはおなじみです。フィンランドにもカレリア(カルヤラ)地方があり、パン屋さんなどでよく見かける「カレリアンパイ(カルヤランピーラッカ)」もこの地方が発祥。そしてもちろん、フィンランドのカレリア地方とロシアのカレリア共和国はもともと一つの地域であり、その一部は1939年から40年のいわゆる「冬戦争」と、その後の1941年から44年の「継続戦争」の舞台となりました。
このあたりの歴史は『物語 フィンランドの歴史』などで把握してはいましたが、カレリア共和国、つまりロシア側の事情についてはあまりよく知りませんでした。その意味で、この新聞記事はとても勉強になりました。
冬戦争と継続戦争ではフィンランドとソ連、そしてドイツの存在が大きく関わっていますが、いままたロシアはウクライナに対して「反ナチス」を掲げて侵攻を正当化しようとしています。その余波が、この記事にもあるようにカレリアの人々の今後にも暗い影を落としている……しかもここでも「ナチス」がキーワードになりつつ。
数年前にフィンランドのカレリア地方をレンタカーで旅しましたが、あの美しくも素朴な風景の向こうにこういう歴史の背景と現状があるのだなと改めて複雑な気持ちになりました。