クオピオからさらに東を目指して、車をひた走らせます。その前にクオピオの「生活」で出た瓶や缶などをスーパーでリサイクルに出しました。たぶんあるだろうと予想して大きなスーパーに行ったら、果たして「Pullopalautus(瓶の回収)」という表示が。
隣の人に倣って、見よう見まねで機械に瓶や缶やペットボトルを入れてみると……おお、自動で仕分けされた上にリストが表示され、OKのボタンを押すとデポジットの代金が記されたレシートが出てきます。これはスーパーのレジで金券として使えるのです。素晴らしいシステムですね。
さて、クオピオを後にすると周囲はどんどん田舎になっていって、時たま現れる街もほんとうにこぢんまりとした佇まい。幹線道路だって前後にほとんど車が走っていないような状態です。
クオピオで食べたムイックが本当においしかったので、もう一度食べたいなと思っていたら、休憩に寄ったスーパーの駐車場に「Voissa Paistettuja muikkuja」(たぶん「バターで焼いたムイック」みたいな意味だと思います)という看板の屋台がでていました。
どうやって注文したらいいか分からなかったのですが、とりあえず「一人分」と言ってみたら、ハンバーガーを入れるような紙のパックにどっさり盛ってくれました。う〜ん、そんなに要らないと言ったんですけど「これが一人前だから」とおじさん。こんなにたくさん食べきれるかしらと思ったのですが、この焼きムイックも本当においしくて、あらかた平らげてしまいました。ムイックはマスの仲間なんだそうですが、食べた印象はワカサギのフライという感じです。
そんなこんなでついにカルヤラ(カレリア)地方に入りました。もう少し行けばロシアとの国境という場所です。今日はヴァルティモ(Valtimo)という田舎町のそのまた郊外にある農家を利用したB&B(ベッド&ブレックファスト)に泊まります。ここはフィンランド政府観光局の公式トラベルガイド「VisitFinland.com」に載っていた記事で見つけた宿です。
B&Bなんだけど、夕飯も希望すれば出してくれるということで、周りに何もない田舎なのでお願いしました。野菜たっぷりのサラダが二種類に、カルヤランピーラッカ(カレリアパイ)とライ麦パン、それにゆで卵を練り込んだものと、ハーブを練り込んだもの二種類のバター。さらにメインで羊肉のローストが出ました。カボチャのパンケーキと、高菜みたいな野菜の炒めたのが添えてあります。
これがとても素朴だけれど、どれも今までに食べたことのない独特の味わいでとてもおいしかったです。サラダはハーブや花が多用されていて香りが豊か。羊肉はほとんどクセがなくてびっくりするほど柔らかく、カボチャのパンケーキと「高菜いため」との相性も抜群です。「この(カルヤラ)地方の伝統的な料理なんですか」と聞いたら、そうだと言っていました。お勧めしてくれたビールも、カルヤラ地方の中心都市ヨエンスーの地ビールみたい。
食事の後に、離れにあるサウナに入るかと聞かれたので「もちろん」と答えると、「一緒にビールはどう?」と別の地ビールを勧められました。
ビールを持ってサウナへ。温度は少し低めですが、とても心地よいサウナでした。夕焼けを眺めながら涼みました。
翌朝はビュッフェ形式の朝食がついていました。これも野菜や花を多用したおいしい食べ物ばかり。ヴィッキーという名前の飼い犬が、何度も私の膝のところに顔を載せてくるのは謎でしたが(単に親愛の情を表しているだけで、食べ物を欲しがっているわけではなさそう)。
この宿は予約したときには「朝食つき」ということだけだったんですけど、結局夕食と地ビール二本とサウナも楽しませてもらって、特に追加料金は取られませんでした。どういうシステムなんだろう。お客さんは私の他に、フランス人のご夫婦だけ。とても静かで鄙びた環境で、部屋にはテレビすらないですけど、こういうのもいいですね。