東京新聞の朝刊を読んでいたら、「ヨタへロ期」という言葉に遭遇しました。評論家の樋口恵子氏の造語で、健康寿命(自立して日常生活を送れる期間)と平均寿命の間の十年前後を指すのだそうです。加齢により様々な場面で自分の思うように行かないシチュエーションが増え、文字通り「ヨタヨタ、ヘロヘロ」になりながら暮らしている時期だと。ちょっと自虐が入りながらも、自らの老いを受け止め、老いに向き合おうとする意志が感じられて、なかなか味のある言葉だなと思いました。
記事によれば、最新の統計で健康寿命が女性74.79歳、男性72.14歳。平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳。なるほど、この十年前後の期間はたしかに身体の機能が衰え、介護などのサービスが必要になる「ヨタへロ期」ですね。ちょうど私の両親がこの年代で、まだ要介護にまではなっていませんが、帰省するたび暮らしが大変そうで、とても心配になります。
「ヨタへロ期」に対する樋口氏の提言が記事に載っていますが、そのうちのひとつ「シニア食堂」に絡んでおっしゃっている「調理定年」という言葉にもとてもリアリティを感じました。歳を取るにつれて食事作りが面倒になり、簡単に食事を済ませようとする結果、栄養失調などにつながってしまうというのです。
たしかに、私の両親はどちらも料理好きで、出来合いの惣菜や店屋物などをほとんど使わずまめに三食を作っていましたが、歳を取るにつれて「料理が面倒になった」と言っていました。母親など、あれだけ料理好きだったのに、持病のパーキンソン病もあって、現在はほとんど厨房に立っていません。まあ包丁を持ったりするのも危ないので仕方がないのですが。
私自身はいまのところ(もちろん)調理が面倒ということはなく、むしろ生きがいなのですが、それでも歳を重ねるとだんだん億劫になっていくのかなあ。記事には触れられていませんが、なるべく手を抜きつつしかし食事の豊かさは確保するために、もっと冷凍食品や調理家電などを駆使することを考えてもよいかもしれません。私自身はいずれもこれまで(なかばバカにして?)遠ざけてきたんですけどね。
樋口氏はこの「ヨタへロ期」について、昨年末に『老〜い、どん! あなたにも「ヨタヘロ期」がやってくる』という本を上梓されているよし。さっそくネット書店で注文してみました。