インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

セカンドキャリア本をあれこれ読む

現在勤めている職場はあと数年で「定年」になるので、最近はよくセカンドライフやセカンドキャリアについて考えます。実際には定年後も嘱託や非常勤で働き続けることもできるのですが、コロナ禍でどんな業界にも様々な変化が訪れている昨今、あれこれと考え、行動していくことは大切じゃないかなと。

とはいえ私はもともと「ずぼら」な人間で、かつ「意識高い系」ともいえないので、これまで特に積極的に行動をしているわけではありません。とりあえずセカンドライフに関して書かれた本を探して片っ端から読んでいるだけ、という感じです。それでもまあ、何もしないよりはマシかなと思います。なにせ、それらの本にはほぼ例外なく「定年になってから『さてどうしよう』を慌てる人がけっこう多い」と書かれていることですし。

こうした定年後の人生を考える系の本にはいくつかの系統があります。まずは「老い」とどのようにつきあっていくのかという健康系で、これには身体の健康と心の健康のふたつがあります。紙の新聞など読んでいると、書籍の広告にはこうした系統が実に多いです。紙の新聞の読者層が明らかに中高年以上に偏っている証拠ですね。

もうひとつは定年後の悠々自適な生活を彩るためのいろいろなアイデアを紹介している生活系ですが、これは当たり前ですが比較的蓄えや資産のある方々向け。いずれも乏しい私にはさしあたってあまりご縁はなさそうです。そしてさらに、定年後も働き続けたい人向けの職業系、最近はこれをあれこれと読んでいます。セカンドライフというか、セカンドキャリアに関する本ですか。

まだそれほどたくさんの本にあたったわけではありませんが、興味深いのは五年ほど前にベストセラーになったリンダ・グラットン氏の『LIFE SHIFT』をひいて「人生100年時代」を前提に話を説き起こす本がいくつもあることです。60歳や65歳が定年といっても、それから人生はまだ数十年続く、だから前もってきちんと準備しておこう……という流れでセカンドキャリアに向き合わせると。

ずぼらな私など「人生100年時代」といわれてもちょっと途方に暮れてしまって、せいぜい平均寿命くらいまで生きていられたら御の字だと思っています。あまりに長すぎる老後を考え始めたらかえって計画が立てにくくなるんじゃないかとも。それでもまあ、定年を迎えてから少なくとも五年や十年は何らかの形で働いて暮らしを維持していかねばならないのは確実ですから、少なくとも「さてどうしよう」と慌てないようにはしておこうと考えて、いろいろ本を読んでいます。

もうひとつセカンドキャリアについて書かれた本に共通しているのは、これまでの仕事や人生の「棚卸し」をするということ。お金の問題も含めて、今後どうしていきたいのかを見定めるために、これまでどんなことをしてきて、いまどんな状態にあるのかをきちんと「見える化」しておきましょうと。なるほど。まずはここから着手しましょうか。

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https://www.irasutoya.com/2019/10/blog-post_193.html

蛇足ながらセカンドキャリア本を読んでいて感じるのは、その多くが比較的規模の大きな企業で長年にわたって働いてきた方向けのアドバイスが中心になっているということ。これは当然定年を迎える社会人のボリュームゾーンがそこにあるからでしょうから、仕方がないというか当たり前なのかもしれませんが、私のように社会人になってからこちら、何度も転職や退職をし、失業もし、仕事の業界すらあれこれ変わってきたような人間にとっては、ちょっと隔靴掻痒な感じのするアドバイスも多いです。

またセカンドキャリアで役立つ資格として「通訳案内士」が挙げられていたりして、2018年にこの資格が業務独占資格から名称独占資格になり、無資格でも有償の業務ができるようになっている今日ではちょっと首をかしげざるを得ないような記述も散見されます。さらには今回のコロナ禍で仕事の環境が大きく変わった後の世界に対応するセカンドライフ本はまだまだ少ない模様(たぶんこれから増えてくるのでしょう)。

周囲の同僚、とりわけ同世代の同僚にこんな話を向けてみると、「まだまだ、もうちょっと先」と考えている人がけっこう多い印象を持ちます。実のところ私も最近まではそう考えていました。でもその気になっていろいろと本を読んでみると、私の年齢ではむしろ遅いくらいかもしれないと思い直しました。今後もいろいろと学んでいこうと思っています。