インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

キャリアコンサルティングを受けてきた

私はいま都内某所にある学校で働いていますが、この職場は60歳で雇い止めになります。あと数年しかありません。その後は65歳まで嘱託や非常勤の形で勤務を継続することもできますが、さしたる資産も持っていない私は65歳以降もおそらく何らかの形で働き続けなければなりません。

というわけで、キャリアコンサルティングを受けてみることにしました。厚生労働省のウェブサイトにある「キャリアコンサルティングの活用・効果」というページによれば……

キャリアコンサルティングを通じて、自分の適性や能力、関心などに気づき、自己理解を深めるとともに、社会や企業内にある仕事について理解することにより、その中から自身に合った仕事を主体的に選択できるようになることが期待できます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188827.html

……とのこと。「キャリア形成や職業能力開発などに関する相談・助言」を行う専門家として「キャリアコンサルタント」という国家資格があり、そういった方と面談などを通してこれまでの仕事の「棚卸し」をし、自分にはこれからの人生に活かすことができるどんな能力があり、そもそもこれからどんな人生(職業人生)を歩んでいきたいのかをもう一度見つめ直すということですね。

実は私の妻もこの資格を持っているので、コンサルティングをしてもらおうかなと思っていたら、「身内がやると私情がからんで適切なコンサルティングにならないからだめ」と断られました。妻の同僚にもコンサルタントがいるのですが、そういう人も多かれ少なかれ私のことを知っているので適任ではなく、まったく私のことを知らないコンサルタントにきちんと対価をお支払いしてやってもらうべきだと。なるほど、そのとおりですね。

というわけで、ネットでいろいろと探して、50代からのキャリアコンサルティングを専門にやっておられる方にお願いして、先日行ってきました。初回はまず1時間の相談で、報酬は1万円です。事前に履歴書や職務経歴書も送って、当日はきちんとスーツ姿ででかけてきました。靴も磨きましたよ。かつて転職を繰り返していた頃を思い出して、少し懐かしかったです。

キャリアコンサルティングにはさまざまな手法があるようですが、一般的には、特に初回は、履歴書や職務経歴書をもとに様々な角度から質問を行い、私のようなコンサルティングを受けようとする人の考えや思いをとことん「傾聴」して、自分自身で今後の人生に対する気づきを促すというのが多いそうです。

それで聞かれたことは何でも話そう、自分を盛ったり、逆に卑下したりすることなく……とけっこう楽しみにして出かけてきたのです。いくつになっても、自分を見つめ直すというのは、なにか新しい扉が開くような感じがしてなかなか良いものです。

ところが。

結果は「傾聴マイナス100%」でした。1時間ものあいだ、私のほうがそのコンサルタント氏のお話、それもご自身の自慢話と商売話と人生論みたいなものを延々と傾聴させられたのでした。


https://www.irasutoya.com/2014/11/blog-post_57.html

まるでタチの悪い詐欺師と話しているみたいで、開始5分で席を立とうと思いましたが、いやいやこれはどこかで使える「ネタ」になるかもしれないと思い直し、こっそりスマホのボイスメモをオンにして1時間話を聞いてきました(イヤな奴ですね)。事前に送った履歴書や職務経歴書にも目を通していないことは明らかでしたし、最後まで私に関する問いかけなり質問なりはほぼありませんでした。

またそれにとどまらず、言葉の端々に昭和の古い社会通念や家父長制的なスタンスが透けて見えましたし、私が中国語関係の仕事をしてきたという点を呼び水に、あろうことか民族差別的な物言いまで散見されました。やんわり訂正して差し上げましたけど、たぶん気づいてないでしょうね。

妻は私の録音したボイスメモを聞きながら「こんなやつ、キャリコンの風上にも置けぬ。資格剥奪だあっっ!」などと憤慨しまくっていました。でもまあ、せっかくのネタを仕入れたのですから、職場の同僚(実はビジネス科目や就職指導の担当で、キャリアコンサルタントの資格を持っている講師が何人かいるのです)と「ありえないよね〜」と盛り上がろうと思います。

そして、もう一度ネットで検索して、もっとまともなキャリアコンサルタントを探すのです。