インタプリタかなくぎ流

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空き家をもっと流通させていければいいのに

先日休みの日に散歩がてらちょっと遠くのスーパーまで歩いて行きました。住宅街を通り抜けていくのですが、途中に古い大きなお屋敷があって、お庭に巨大な木蓮の樹が植わっており、春には大ぶりな(でもチューリップみたいでかわいい)白い花がたくさん咲きます。今はまだ花の季節じゃありませんが、あの木蓮の樹にはもうつぼみがついているかななどと考えながら歩いていました。

ところがそのお屋敷はいつのまにかなくなってしまっていて、区の道路予定地としてアスファルトで覆われ、フェンスが張られていました。もちろんあの大きな木蓮の樹も消えていました。ああ……。ひとさまのお宅ですから私などが感傷にひたってもしかたがないのですが、なんだかものすごい喪失感です。

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私がいま住んでいるのは東京都の世田谷区ですが、空き家率が高く、空き家の数は「5万戸で都内で最多」なんだそうです。あのお屋敷もそういえばあまり人の気配はなかったような。それでも木蓮の樹は毎年花を咲かせていたのですが、ついにお屋敷もろともご家族が処分されてしまったんでしょうね。

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家の付近を散歩していると、たしかに雨戸が常にすべて閉まっているような、空き家とおぼしきお宅が多いです。世田谷区は高度経済成長の頃には憧れの住宅地だったと思いますが、その頃に家を建てて移り住んで来られた方たちが年齢を重ね、物故されたり介護施設などに移って行かれたりして、その一方でお子さん世代は古い不便な家には住みたがらず……というような構図が見えるようです。

こうした空き家は今後もどんどん増えていくでしょうね。識者はとうに指摘されていますが、これから都内(特に23区内)の空き家増加は大きな社会問題になっていくのではないかと思います。世田谷区などへたに(?)高級住宅地のイメージがあって不動産がお高いからよけい流動性が下がって、より深刻な問題になっていくような気がしています。

家というものは、特に戸建ての住宅は、人が住まなくなるととたんに老朽化が進みます。だから私が熊本の田舎に住んでいたときは、地元の家主さんが「住んでくれるだけでありがたいから」と格安の家賃で庭付き一軒家を借りることができていました。東京23区内も行政が介入するなどして、空き家を流通させていければいいのにね。田舎と違ってなまじ資産価値が高いだけに難しいのでしょうけど。